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FOVE小島「言語化できないスキルのほうがレアリティが高い」キャリアに悩む20代社会人に贈る言葉

Rikaco Miyazaki

2017/11/08(最終更新日:2017/11/08)


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FOVE小島「言語化できないスキルのほうがレアリティが高い」キャリアに悩む20代社会人に贈る言葉 1番目の画像

 10月26日(木)、株式会社ビズリーチが運営するレコメンド型転職サイト「キャリアトレック」は、20代社会人が“はたらく”ということについて考えるコミュニティ「BalconiiTalk(バルコニートーク)」をオープン。

 コミュニティオープンを記念して、株式会社FOVEの小島由香氏とRetty株式会社の奥田健太氏によるパネルトークが行われた。

 トークテーマは「人生100年時代のキャリア」「働き方」。キャリアに関する悩みを抱える若手ビジネスパーソンのイベント参加者たちに、2人はどんなことを語ったのか?

 2人のパネルトークの様子だけでなく、FOVE小島氏に聞いた「リスク」と「スキル」の話についても紹介したい。

FOVE小島×Retty奥田のトークから見えてくる「20代のキャリア」

 イベントオープンを記念したパネルトークは、Q&A方式で話が展開された。

 今回はその中でもキャリア観に関する内容や、20代のときに抱えていた悩み、想いについての内容に触れていきたい。

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Q:当時(20代の頃)なりたかった姿、なりたくなかった姿はなんですか?

奥田氏:なりたかった姿は「10年後に想像できない人生」、なりたくない姿は「予定調和な人生」

 総合商社の中でも大手の三菱商事に入社した後、創業して3年にも満たないRettyに転職した奥田氏。

 その転職理由は「このままいくと、10年後の自分はこうなんだな、っていうところがわかってしまった」という、10年後の自分が見えてしまう“予定調和”からだったそうだ。

会社は自分のために作られた「オーダーメイドスーツ」ではない

 奥田氏は続けて、入社した会社の仕事が「ものすごく面白い」というのはありえない、と話した。

 その理由を「スーツ」に例えて、以下のように話している。

奥田氏:入社した会社の仕事が「めちゃくちゃ面白い!」というのはありえないんですよね。誰かが作ったスーツで、僕のために作ったわけじゃないスーツを着て、何もかもがぴったり!なんてことはないんです。

ぴったりってわけでもないけど、丈は合うし、かっこいいし……っていうのが既成のスーツで。

それに対してオーダーメイドで作ったスーツは、しっかり体にフィットする。でもオーダーメイドで作るのは、お金がかかるし、キャリアでいうとリスクをとらなければいけない。

 

 「既成のスーツ」が一般企業なら、「オーダーメイドスーツ」は自身で起こした会社。就職活動や転職活動で「ここの会社なら」と自分で選び取ったとき、恐らく試着できた人はあまりいないのではないだろうか。

 着せられたようなスーツを自分の体になじませていくのも、そのスーツに納得するか否かも、自分次第なのだ。

自分で決めたことであれば失敗しても納得できる

 また、奥田氏は「コントローラビリティを握れない人生は嫌だな」と話した。その理由が以下の通りだ。

奥田氏:例えば「ここに転勤してください」とか、そういう辞令。別に転勤自体は自分にとって、結果的にはいいことなんです。

でも、“転勤”というのを自分で決められない/決めないことに、ものすごく違和感を感じる性格だったんですよね。

自分で決めたことであれば、失敗しても納得できるんです。4年前にRetty行ったとき、たとえRettyが半年で潰れたとしても、全然なんの後悔もなかったと思います。

 奥田氏の言うように、自分で決めないことは後から後悔するし、言い訳もできるという人も多いのではないだろうか。

 奥田氏には、自分で決めた選択の先にある「プラスなこと」はもちろん、「リスクやマイナス」といったことを全て受け止める覚悟があるのだ。

小島氏:当時なりたかった姿は「ジェノヴァ・チェン氏のようなゲームデザイナー」、なりたくない姿は「縛りの中だけで仕事をする人」

 一方で小島氏は、当時なりたかった姿は「ジェノヴァ・チェン氏のようなゲームデザイナー」で、なりたくない姿は「縛りの中だけで仕事をする人」、と回答している。

小島氏:当時は明確にやりたいことがあって、ゲーム界では“伝説”って言われているソフト「風ノ旅ビト」を作ったジェノヴァ・チェン氏のようになりたかったんです。

そこに至るためにどうしたらいいか?と考えた結果、ソニーは私にとって理想的なポジションだったんですよね。

尊敬するジェノヴァ・チェン氏のゲームがソニーからリリースされていることもあって、「ここに入れば絶対に(彼みたいに)なれる!」って思ってたけど、現実は甘くなくて……。

大きい会社が作った「既成のスーツ」はぴったりフィットしない

 理想の会社に入社した小島氏は、会社のルールや縛りという現実を目の当たりにした。

 「理想のスーツ(会社)=オーダーメイドスーツ」だと思っていたら、小島氏の体には“理想のスーツ”はフィットしなかったのだ。

 本当にやりたいことは、大きい会社が作った既成のスーツの中ではなかなか実現できないんだな、と会社に入って実感する毎日だったと小島氏は話している。

選択自体に失敗はない。選択した後の行動によって決まる

 「就職先」というスーツは一度決めてしまうと、なかなか返品することはできない。何故こんなものを選んでしまったのだろう……と後悔することもあるだろう。

 しかし、小島氏がキャリアに悩んでいるときに背中を押してくれた言葉は、選択そのものに“失敗”という概念はない、といっている。

 「選択そのものに失敗という概念はなくて、選択したあとにどういう行動をとるかによって、選択の失敗/成功が決まる」。

 小島氏は、この言葉によって選択に対するリスクや「あ、これこわいな。これで私の人生決まっちゃうな」っていう気持ちがなくなった、と話している。

 つまり、どんな選択をしても後でリカバリーできるチャンスはいくらでもあるのだ。

言語化できないスキルを大切に。FOVE小島が20代社会人に伝えるメッセージ

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 社内コンペでの挫折体験をきっかけに、VR用ヘッドセット「FOVE 0」を開発・起業に至った小島氏。

 イベント参加者たちがワークショップを行なっている間、彼女に「"仕事ができる”の定義」「転職リスク」についてU-NOTEが独占インタビューを行なった。

 小島氏と話していくうちに、「リスクを恐れない方法」と「若手ビジネスパーソンにとって必要なスキル」に関する一つの答えが見えてきた。

FOVE小島に学ぶ「リスクを恐れない方法」と「若手社会人に必要なスキル」

——イベント中、“仕事ができる人”という言葉を何度かお話ししていたかと思いますが、小島さんにとって“仕事ができる”ってどういうものだとお考えですか?

小島氏:私自身も悩んでいるところで、自分もエクセルが作れるタイプでもあまりないですし、すごく社交的というわけではないんですよね。

でも、仕事は総合格闘技なので、最終的に万人が認めなくてもトータルで見たときに「これができるな」ってものがあればいいと思うんですよ。


——「これができる」というのは?

小島氏:例えば、英語が喋れるとかエクセルを作るのが早いとかパワポが上手いとか以外に、「なんかよくわかんないけど、この人はこのジャンルの企業だけは契約とってくるよね。他は全然できないけど」っていうのも、一つの価値だと思っていて。

そういう言語化できないスキルのほうが、レアリティが高いんですよ。レアだから言語化できないんです。ニッチなんですよね。

会社だと「いわゆる、わかりやすいビジネススキル」が求められがちなんですけど、「自分でも言語化できないけど、ここは他の人よりもすごくできるな」ってものが、社会人数年やっていれば出てくると思うんです。それを大事にしたほうがいいと私は考えています。

人に認められにくいスキルは、差別化要因になるんですよね。実際そういった言語化できないスキルが、自分を支えている要因にもなっています。

——転職をしようかどうか悩んでいる人は「リスク」を考えて二の足を踏んでいると思いますが、小島さん自身は「転職にリスクがある」と思いますか?

小島氏:みんな思ってるほど、リスクはリスクじゃないです。一回、なんとなく「こわいな」と思っていることをノートに全部書き出してみたらいいと思います。

今の世の中を分けてるのって「情報量の差」と「リスクをとるか/とらないか」だけだと思っていて。

頭の良さも影響するとは思うんですけど、わたしより頭のいい人はいっぱいいるし、わたしよりも仕事のできる人っていっぱいいるんですよね。

ただ、リスクをなんとなくリスクだと思って動かない人が多いんですよ。  

「もしかしたら転職失敗するかも」とか「給料下がるかも」とか。でも、そういう不安を全部ノートに書き出してみると、自分が思ってるほどリスクって大きくないんだなって思えるんです。

思っているほどリスクは“リスク”じゃない

 実は小島氏も、自分のリスクを客観視するために「スタートアップする前」と「ワーキングホリデーに行こうか悩んでいる時」にノートに自分の不安を書き出したそうだ。

 書き出すことで「ああ、自分が悩んでいたことは大してリスクでもないんだな」と客観視することができるようになったと話している。

 不安な気持ちを取り除いたら、あとは「実際にやるか、やらないか」。それだけなのだ。

20代社会人のためのコミュニティ「BalconiiTalk(バルコニートーク)」

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 今回、FOVE小島氏とRetty奥田氏によるトークセッションが行われたイベントでは、参加者同士のワークショップも大いに盛り上がっていた。

 参加者同士の交流が盛んな「BalconiiTalk」だが、その誕生の裏側には20代のビジネスパーソンが抱える“キャリアへの不安”があったようだ。

約81%が「今後のキャリアやキャリアの悩みについて気軽に相談できる知人がもっと欲しい」

 20代のキャリアトレック会員アンケートによると、ビジネスパーソンの9割以上が「ロールモデルが必要」と回答している。

 また、「今後のキャリアやキャリアの悩みについて気軽に相談できる知人がもっと欲しい」と約81%の人が回答するなど、若手ビジネスパーソンたちの多くがキャリアに関する悩みを誰かに相談したいと考えているのだ。

 FOVEの小島氏がソニーを辞職する際も、社内の人には相談できず終いだったと話していた。気軽に話せる同世代や社会人の先輩はとても貴重でいて、大事な存在だということが伺える。

ロールモデルや社会人の仲間を見つけるきっかけになる!

 20代の若手ビジネスパーソンが抱えるキャリアの悩みは、人それぞれ。

 「こんな配属にされるとは思っていなかった」「職場の人間関係がとにかく面倒臭い」「転職するべき状況なのかどうかわからない」「今の会社にいるままでいいのだろうか」など、一人ではどうにも解決できないことばかり。

 一人で悶々と悩んでいるとき、少しでも人に話を聞いてもらえるだけで背中をポンと押され、励まされるような気持ちになることもあるのではないだろうか。

 誰かにキャリアの話について聞いてもらいたいときに役立つのが、20代のビジネスパーソンが社外で新しいつながりを見つけて、自分のキャリアを考えるきっかけになるコミュニティ「BalconiiTalk(バルコニートーク)」だ。

 コミュニティを利用することで、同世代や少し上の先輩社会人たちと話すことができる。

 今後「BalconiiTalk」では、副業や独立、転職などのキャリア選択に関するコンテンツを「トークセッション」と「ワークショップ」形式で提供していく予定とのこと。

 社外に相談できるような相手がいない……と悩んでいる20代のビジネスパーソンは、バルコニートークで社外の新しいつながりを見つけに行ってみてはいかがだろうか?

【プロフィール】

■株式会社FOVE CEO&Co-founder 小島由香(こじま ゆか)氏

 お茶の水女子大学を卒業後、株式会社ソニー・コンピュータ エンタテインメント(現 ソニー・インタラクティブエンタテインメント)に入社。

 ゲームプロデューサーとして「俺の屍を越えてゆけ」などの著名タイトルをプロデュース。その後、グリー株式会社へ入社しソーシャルゲームのディレクションを務める。

 2015年、株式会社FOVEを起業。2017年1月より、目の動きで仮想世界を操作できる視線追跡型VR用ヘッドセット「FOVE0」を発売している。

■Retty株式会社 経営企画室長 奥田健太(おくだ けんた)氏

 東北大学工学部原子力工学科を卒業後、三菱商事リスクマネジメント部にて大型融資案件の分析と意思決定業務に従事。

 2013年、日本最大級の実名制グルメサービスRettyに参画し、CFOとしてファイナンス事業や採用業務を担当。現在では経営企画室の立ち上げに携わっている。


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