9月5日、トランプ米政権がDACAの撤廃を告げた。DACA制度というのは、子どもの頃に、両親に連れられて不法入国してしまった若者たちを守る法律。
この撤廃は、多くの反対意見を呼んだ。Appleの現CEO、Googleの現CEOなど多くが反対意見を表明している。
中でも注目されたのが、米前大統領、バラク・オバマ氏のFacebookでの長文投稿。彼はトランプ政権の決定を「無慈悲で自滅行為」、しまいには「これは我々の国の精神、常識に反している」と痛烈に批判した。
オバマ前大統領のFacebook投稿全文
移民問題は物議をかもす問題です。我々はみな、安全で確実な国境と活発な経済を求めています。
そして、全員が規則に従うためにと、移民制度の思索について善意を持つ人々が正当な反対理由を持つこともあります。
しかし、本日ホワイトハウスが取った行動には正当性がありません。これはアメリカで育った学校で勉強する子供たち、キャリアを始めたての青年たち、我々の国旗に忠誠の誓いをした愛国者たちに問題を与えています。DACA制度に守られている若者たち(通称:ドリーマーズ)は心から、精神から、どのような側面から見てもアメリカ人なのです。ただ一点を除いて。それは書類上の話。
彼らは時に幼児として、この国に両親により連れてこられたのだ。彼らはこの国以外のことを知らないかもしれない。英語以外の言語を知らないかもしれないのです。
彼らは仕事に応募したり、大学に入る時、免許などを申請する時まで自分が不法移民だということを知らない場合が多い。
何年にもわたって、両政党の政治家たちは一丸となってその若者たち――我々の若者たち――に「子供の時に両親からアメリカ合衆国に連れてこられ、何年もこの国に滞在している者がいて、もし大学や軍に志願すると言うならばここに滞在し続けて、市民権を得るチャンスを与える」という法を実現させることに取り組んできました。
そして私が大統領であった間、連邦議会にその旨の法案を送るように頼んでいたのです。しかし、その法案が来ることはありませんでした。
親の行動を理由にして、才能と活気を持ち、国を愛している青年たちを彼らが唯一知るこの国から追放するのは道理にかなわないと思いました。
そのため私の政権は彼らが我々のコミュニティー、国に貢献し続けられるようにと、この若者たちから追放という暗雲を取り除こうと動いていたのです。
我々はそれを訴追裁量の確立された法理に則り行った。アメリカ合衆国の移民税関捜査局の人員は限られており、我々を脅かす不法侵入者に焦点を絞った方が理にかなっていますから。
それによって、犯罪者の追放件数は上がりました。およそ80万人の若者たちは邁進し、厳しい条件を満たして身元調査を受けたのです。その結果、アメリカはより強い国になりました。
しかし本日、群抜いて賢く、特別な若者たちにまたもや暗雲がさしかかった。彼らを標的にするのは間違えています――彼らは何も悪いことをしていないのですから。
そうすることは自滅行為です――彼は新たな事業の開始、研究室のスタッフとして勤務、我々の軍に入隊し、我々が愛すこの国に貢献しているからです。
そしてこれは残酷なこと。
我々の子供たちの理科の先生や、親しい隣人がドリーマーだったらどうでしょう? その人をどこに送還すればいいと言うのですか? 彼が知りもしなければ、覚えてさえもいない国、加えて言語さえもままらない国へ彼を追放するのですか?
はっきり言いましょう(オバマ氏のキャッチフレーズ、『Let's be clear』)。本日行われた決定というのは法律上必要なものではないのです。それは政治的決断であり、倫理的問題。
アメリカ市民が不法移民に対して抱く不満や不安があるのだとしても、彼ら自身に責任も脅威もなく、我々から何も奪っていない若者たちの将来を脅かすべきではないです。
彼らは我々の子どもたちの少年野球チームのピッチャー、災害の後に自分のコミュニティーを助ける一番手(おそらくハリケーン「ハービー」の英雄ヘスス・コントレラス氏を指している)、自分にチャンスを与えてくれた国の軍の征服を着る以上を求めない予備役将校訓練課程生。
彼らを強制送還することによって失業率は下がらないですし、税は安くなりませんし、誰の給与も上がりません。
この行動は我々の国の精神、常識に反しているからこそ、ビジネスリーダーたち、信仰指導者たち、経済学者たち、全政治的色彩の者たちが政権に今日取った行動を取らないように要求したのです。
そして、ホワイトハウスが若者たちへの責任を連邦議会へ転嫁した今、若者たちと我々の未来は彼らにゆだねられた。
私は「自分たちが彼らを守らなければならない」と言う声に励まされました。そして「自分こそがやらねば」と倫理的な切迫感――ドリーマーが感じているようなのと同じような切迫感――を持って行動する大多数のアメリカ人に私は賛同します。
究極的に、これは基本的な良識の話。これは我々が未来のある若き努力家をアメリカから追放するような人間なのか、自分の子どもに望ましい接し方を彼らにできるような人間なのか。つまり我々がどんな人間で、どのような人間になりたいかなのです。
我々をアメリカ人にするのは、外見、名前の由来、祈りの手法ではないはずです。我々をアメリカ人にするのは、我々が持つ理想への忠実性。
その理想というのは、「我々は平等の名の下に創造されたこと」「思い通りに人生を歩むチャンスが万人に与えられるべきだということ」「我々が最も大切とする価値観を次世代に継ぐこと、立ち上がって意見を発するという共通する責任感」です。
これがアメリカがここまで栄えた所以です。そしてそれを続ければ、我々は最終的に更に完璧な国になれます。
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