学生と社会人では、ノートを使う場面が大きく変化する。とはいえ、上司にノートの使い方を今更聞く事もなかなかできないはず。
また、社会人歴の長い人でも、もしかするとそのノートの使い方は間違っているかもしれない。
そこで、本連載では“デキる社会人”が普段からどんなふうにノートを使っているのかを紹介する。
今回は、文具メーカーであるキングジムの開発本部 商品開発部 ステーショナリー課の清水映輪奈さんに、自身のノートの使い方を聞いた。
プロジェクトごとにノートを分冊して検索性を重視
今回お話を聞いた清水さんは、ステーショナリーの商品開発をしている。これまでに担当した主な製品は、ノートシリーズの「テフレーヌ」だ。
テフレーヌは上下セパレート式のリングを採用したノートシリーズで、書くときにリングに手が当たらないのが特徴。2017年2月にはこれまで出ていた5色に加え、新色が5色加わり、清水さんは新色の追加を担当した。
――リングノートは学生が使うイメージが強いですが、社会人にも使う人は多いのですか?
清水:テフレーヌは、2015年にバインダーノートタイプを発売したのですが、2016年6月に登場したリングノートタイプは社会人のユーザーも多いです。とくに、A5サイズは学生が使用するルーズリーフよりひと回り小さく、持ち運びのしやすさに優れています。
ページを抜き差しできるので、打ち合わせのときにも使われているようです。あとからページの順番を入れ替えたいときにも使いやすいので、自分でも何冊か使っています。
――何冊か使われているとのことですが、どのように使い分けているのですか?
清水:担当する企画ごとに使い分けています。最初の頃は、1冊のノートにまとめていましたが、どこに何が書いてあるのかがわからくなったんです。検索性を高めるために、途中から企画ごとにノートを変えるようにしました。
――「ノートは1冊にまとめたほうがいい」というブームもありましたが、分けてしまうと使いづらくないのですか?
清水:私は社内でのミーティングが多いため、いまのところ不便は感じていないです。営業職や広報職など外に頻繁にノートを持ち出す人は、1冊にまとまっていた方が使いやすいかもしれませんね。
――すべてのノートが同じサイズや厚みではないんですね。どういった基準でサイズを選ばれているのですか?
清水:打ち合わせに使うものは、持ち運びやすさとある程度の筆記面を確保できるようにB5のテフレーヌにしています。逆に、工場見学などでは立ったままでも書きやすいので、ポケットサイズの「モレスキン」を使います。
あとは、会社で使うソフトの使い方や庶務に関するメモなどを付箋に書いて、A4のノートに貼り付けています。このノートは持ち歩かないので、サイズは大きくていいかなと。
“リケジョ”の経験が活きたノートのまとめ方
――覚え書き用のノートだけ付箋にメモを取るんですね。直接書かないのには何か理由が?
清水:最初は直接書いていたのですが、自分の席以外でメモを取ることが多く、そのままノートに書くと汚くなってしまうので、付箋にメモして貼っているんです。場合によってはノートに直接書き直すこともあります。
いまのところ、付箋の色によって重要度を変えるなどの工夫はしていないですね。分けた方が見やすいので今後改善したいとは思っています。
――アイデアを付箋で整理するのはよく聞きますが、ストックする情報をこうやってまとめるのも面白いですね。
清水:ノートに直接書いていると、ひとつに対して長く書こうとしがちなのですが、その必要はないと気付いたんです。これなら社内の運用ルールが変わった場合にも、新しい付箋を貼り付ければいいだけ。使い勝手はこっちの方が断然いいですよ。
――こうやって重要なことだけがまとまったノートがあると便利ですね。
清水:基本的な業務に関する情報を別のノートにまとめようと思ったのは、理系の学生だった経験が活きています。
実験結果のノートのほかに、すべてのテーマに共通する基本的な実験の操作や試薬の組成を1冊のノートにまとめていたんです。その習慣を社会人になっても続けてみました。
日付と見出しを必ず書くのがマイルール
――普段ノートにメモを取る際に気を付けていることはありますか?
清水:注意して書くようにしているのは、日付と見出し。何の打ち合わせのメモなのかが冒頭を見るだけでわかるようにしています。あと、なるべくメモを取るときは箇条書きにして、見やすさも意識していますよ。
なるべく同じレベルの情報は横方向に書くようにしています。見出しは左に寄せて、メモの始まりは一文字落とす。それよりも小さい情報はさらにひとつ落とすのが私のルールです。
――すごくきれいにまとめられていますね。色分けなどのルールもあるのですか?
清水:特に大きく決まったことは、色を変えたり、アンダーラインを引いたりして目立つようにすることで、検索性を高めています。
愛用しているのは3色ボールペン。学生の頃は1色ずつのペンを使っていましたが、ペンを持ち変えるのにもたもたしてしまうので、なるべく1本で済ませようとしています。
書き心地でお気に入りなのは、三菱鉛筆「ジェットストリーム」の「ジェットストリーム 3色ボールペン」。すぐに乾きますし、インクが滲まないのが個人的に好きです。
あと、パイロット「フリクション」の「フリクションボール3」も使っていますね。これは寸法を計算したり、あとから考えて消したいメモを書いたりするとき用です。パッケージなど印刷物の校正をするのにも愛用しています。
――ビジネスマンに向けたノートの使い方のアドバイスはありますか?
清水:ノートを取るときの自分のルールを決めて、それを守るようにするのがいいと思います。私自身、いまは何冊かのノートを使い分けていますが、適当にメモをしてしまうと大変なことになってしまいます。書くときに自分なりのルールがあると、あとで探しやすいのが最大のメリットです。自分にとって一番やりやすいやり方で、ルールを決めるのが、大事かなと思います。
自分にどういう使い方が合っているのかは、職種や性格によっても変わるので難しいところですが、そこはいろんな方法を試してベストな方法を見つけてみてください。
Text:今西絢美(ゴーズ)
Photo:海老澤芳辰
Photo:海老澤芳辰
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