KDDIは8月2日、IoT(Internet of Things=モノのインターネット)向けの通信サービスを提供するソラコムの株式を取得し、8月下旬を目処に連結子会社にすると発表した。それを受けて、KDDIとソラコムによる共同記者会見が実施された。
ソラコムは、低料金でセキュアなIoT通信ができるプラットフォーム「SORACOM」を提供するIoTスタートアップ。
2015年9月に国内でサービスを開始し、2016年11月に米国、2017年2月には欧州でもサービスを提供している。わずか40名程度のベンチャー企業だが、創業からわずか3年で急成長し、現在では120を超える国・地域で約7000の顧客を抱えている。
KDDIとソラコムは、2016年12月に提供を開始したIoT向けの回線サービス「KDDI Iotコネクト Air」を共同開発するなど、以前からIoT分野で協力関係を深めていた。
今回の子会社化により、国内だけでなくグローバルにも通じるIoTプラットフォームの構築を推進する。
両社の強みを生かしてシナジーを生み出す
KDDIでは、ソラコムを子会社化することでさまざまなシナジーを生み出せると考えている。
ひとつは「新たなIoTビジネスの創出」だ。
KDDIとソラコムがこれまで取り組んできたIoTサービスの導入実績などを組み合わせることで、幅広い顧客に対応できるユースケースが蓄積されていく。これによって新たなIoTビジネスを生み出せる。
また、KDDIが持つ通信ネットワークとソラコムの技術を組み合わせることで、グローバルにも通じる「日本発」のIoTプラットフォームが構築できるという。
さらに、KDDIは600社以上の海外通信事業者とパートナーシップを結んでおり、世界に100以上の拠点を持っている。
これらを利用すれば、グローバル市場への進出に積極的なソラコムの海外展開も加速できるとした。
“Exit”ではなく“Entrance”
ソラコムの代表取締役社長 玉川憲氏は、KDDIグループに参画した理由を語った。
「ソラコム単独では、次世代通信を使ったサービスをいち早く開始できるか、クラウド上でのコア通信ネットワークサービスの範囲をどのように拡大していくかが課題でした。KDDIの通信ネットワークと、ソラコムの技術を組み合わせることで、とてもよい次世代ネットワークがを作れるのではないかと考えています」
「グローバルでの交渉力・営業力に加えて、資金やリソースをどのように調達するかも課題でしたが、KDDIの傘下に入ることで、KDDIが持つ海外事業者とのパートナーシップや海外事業拠点、安定した事業基盤を生かすことができます。こうした理由から、KDDIがベストパートナーだと結論付けました」
今後の意気込みについては、以下のように述べた。
「シリコンバレーのベンチャー企業は、8~9割はM&Aで他の企業に吸収されます。それを“Exit”という言い方をしますが、それには事業を止めてしまうニュアンスがある。
私たちはまったくそのようには考えていません。今回の子会社化によってソラコム単独では成しえないような大きな事業に取り組んでいきたいと考えているので、“Exit”というよりは“Entrance”と考えています」
「我々は今回の発表で、第2の創業期を迎えたと考えています。しかし、創業当初に掲げていた“世界中のヒトとモノをつなげる”というビジョンは持ち続けています。
それを実現するための努力を継続することで、日本発のグローバルなIoTプラットフォームを作り上げたいと考えています」
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