「俺、文章書くの得意なんだ!」
そんなことを堂々と胸を張って言えるビジネスパーソンはどれほどいるだろうか。
文章を生業にしているライターや小説家ならまだしも、営業や接客など、文章メインではない職種の人にとっては苦手意識があるかもしれない。
しかし、どんなビジネスパーソンであれ“文章”との縁は切り離せない。
ビジネスシーンならばメールや社内チャット、企画書。
プライベートでもLINEのやりとりやSNS投稿など、私たちは常に文章と生活を共にしている。
そんな日常的に使っている文章には「人を操る力」がある、とメンタリストのDaiGo氏は自身の著書『人を操る禁断の文章術』で述べている。
3つの「ない」で人を操る
DaiGo氏が著書で伝えているのは、きれいな文書の書き方ではない。
「自分の思うがままに相手を行動させたい」という、より実践的な伝わる文章の書き方だ。
伝わる文章の例としてわかりやすいのが、書店にある本の紹介ポップ。
「辞めたい、辞めたい、辞めたい」「今年こそはムリなく痩せる」「なんだか今日は泣きたい気分」
書店に足を運んだときに、同じような感情を持っている人には上記のような言葉が入ったポップはすんなりと視界に入り、興味を引く。
たったの1文で、特定の人にその本を認知してもらうことができるのだ。
心を動かす文章には「3つの“ない”」が揃っている
伝えたことが人の心を動かして、行動をさせる文章。
そんな伝わる文章には「3つの共通項」がある、とDaiGo氏は綴る。
心を動かす文章に共通する3つの原則
- あれもこれもと書きすぎない
- きれいな文章を書こうとしない
- 自分が書きたいことを書かない
心を動かす文章というのは、読み手のことを「何かをしたくなる」という状態に持っていくことができている。
心を動かす文章は「何かをしたくなる」状態にさせている
どれだけきれいに文章を書いたところで、読み手が「何かをしたくなる状態」になるわけではない。
心を動かす文章の「3つのない」で、伝わる文章の書き方を細かく見てみよう。
適切な情報量でなければ、イメージができない
3つの原則の1つ目「あれもこれもと書きすぎない」は、文章にあえて余白を残すことで読み手に「想像」させるテクニック。
買ったばかりの機械の説明書を読んでも全く頭に入ってこないのと同じで、読み手にとって最適な情報量ではないと戸惑ってしまうのだ。
読み手がイメージしやすくするためにも、シンプルに短く伝えるることを意識してみよう。
お利口さんが書く小綺麗な文章は読まれない
2つ目の原則「きれいな文章を書こうとしない」は、メールでもなんでも、論理的すぎる文章は人を動かすことができない、ということ。
飾り気のない、感情的でエモーショナルな文章はどんなに粗くたって心を動かすことがある。
しかし、メールの定型文などの表面的な文章では、書いてあることを理解できてもそれ以上のことは何もないのだ。
使い古された時候の挨拶を見て「うららかな春の様子」を思い浮かべる人が、どれだけいるだろうか。
読み手にある「感情」と「想像力」を刺激する、感情的な文章で人を行動させてみよう。
読み手の心を読んで書けば、自分で書こうとしない
文章を書く前に、ペンを置いて一呼吸。
「自分は今から誰に向けて書こうとしているのか?」というのを一度考えて、その読み手の心理を読み解いてから文章を書き始めよう、というのが3つ目の原則「自分が書きたいことを書かない」だ。
SNSであれば友人や知人。提案書や企画書であればクライアント。ビジネスメールであれば同僚や取引先の人。
読み手たちがどんな心理状態なのか?ということを考えた上で、文章を考え始めるのが人の心を動かすためには必要不可欠なのだ。
以前に紹介した『まんがでわかる 伝え方が9割』と同じく、相手のことを考えてから言葉にすることの重要性を説くDaiGo氏。
同氏が「メンタリスト」という人の心を読み解くプロだからこそ、素早く人の心理を察することができるというのもあるかもしれない。
しかし、筆をとる前、キーボードを打つ前に1度目を瞑って、読み手の姿を思い出してみてほしい。
その人を説得するような気持ちで書けば、きっと「人の心を動かす最高の文章」が出来上がっているはずだ。
テレビで活躍している姿だけを見ると「人の行動を予想するすごい人」というパフォーマンス的な要素ばかりが注目されがちなDaiGo氏。
同氏が普段どんなことを考えているのか?という、彼自身の等身大の思考回路が少しだけ見えるような気がする本書は、“文章術”の本として勉強になるだけでなく、メンタリストとして一躍有名になったDaiGo氏の新たな一面を知る楽しみもある。
文章だけでなく、人の心理に興味がある方にもぜひ手にとってほしい一冊だ。
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