YouTubeの登場によって、間違いなく世界は変わっただろう。YouTubeは、一般市民がユーザーたちに向けて動画を発信することを可能にした。今では、YouTuberという職業があるほど。
YouTubeは3名の青年によって創設されたサービス。スティーブ・チェン氏、ジョード・カリム氏、そして今回取り上げるチャド・ハーリー氏だ。
彼は、非営利団体LIVESTRONG財団のLIVESTRONG.COMにインタビューされる。なおこの動画は、映画プロデューサーのピーター・グーバー氏によるシリーズ「Winning Voice」だ。
動画では「YouTube誕生秘話」「YouTubeの功績」「成功とは」「次に手を伸ばそうとして思う分野」が語られている。
「YouTubeが世界を変えるところを直に見れるのは、すごく特別なことだよ」
動画1:00~より抜粋
ーーYouTubeは間違いなく世界一の情報発信を成し遂げましたよね? 個人が大勢に発信することを可能にしました。きっかけはなんですか?
ハーリー:すごくシンプルなアイディアから始まったよ――「僕たちの動画を家族や友達と共有したい」というね。共同創設者のスティーブは宴会のビデオを、僕は遠くに住む家族とシェアしたいビデオをたくさん持っていたんだ。
それから、僕たちは「動画を共有すること」がいかに難しいか観察した。その中で、僕たちは人が発信したがる話の種類をよく学んだ。
僕にとって、ソーシャルメディアは自分の生活を発信するものなんだよ。
ーー興味深いです。物語の力というのは原始時代からありましたよね。元祖のキャンプファイアーが今はYouTubeになりました。ある人はYouTubeをとても効果的に使います。またある人はまったく効果的に使いません。違いはなんでしょうか?
ハーリー:YouTubeにある動画の大多数は、携帯スマートフォンやデジカメで瞬間をとらえている人によるもの。YouTubeは従来のメディアとは種類が違うんだ。
一般家庭のテレビでもないし、映画ほどの物語もない。YouTubeの動画は、それらよりも凝縮された、インターネット世代の人々に向けて作られている動画だよ。
インターネットをする時、大体の人はマルチタスクをしていて、引けるのはたった数分の注意。だから、自分の物語をできるだけ速く伝えなければならない。
ーーそれは大切なことですね。つまり、視聴者が他のことをしたがる前に注意を引かなければならないということですね。 長い間投稿すれば、上達することは可能だと思いますか? それともやはり才能でしょうか?
ハーリー:まぁ、才能がある少数は存在するね。生まれつきのストーリーテラーたちが。
何においてもいえるけど、長く続ければ上達するさ。それはYouTubeでもそうだ。
僕たちには投稿者がたくさんいる。家で撮影を始めた人が、のちに視聴者を稼ぎ始め、その上に視聴者が求めているものをより効果的に提供するようになる。
ーーアカデミー賞やゴールデングローブ賞を獲得した時、ほとんどの人にとってそれは成功の典型例ですよね。スポーツでMVPを獲ったり。あなたはインターネットのMVPを獲得......。
ハーリー:(割り込んで冗談っぽく)トロフィーはもらえるのかい?
ーーええ。トロフィーの名前は「ドル紙幣」、もしくは「たくさんのベンジャミン(100ドル紙幣)」と言います。
ハーリー:(笑)
ーーあなたとYouTubeは切っても切れない関係にあります。「Mr.YouTube」という称号を取っ払って、他の人が興味を持ち、投資してくれるだろうことは何でしょうか?
ハーリー:幸運なことに僕たちはシリコンバレーにいて、人々は過去ではなく未来のことを考えているから、そんなことは起きないよ。
ーー成功を満喫していますか?
ハーリー:もちろん!
ーー成功して一番良かったことは?
ハーリー:あなたと一緒に過ごす、この時間だよ(笑)。
ーー嘘つかないで(笑)。
ハーリー:今考えているよ。一番か……。いつでも新聞を見れば、YouTube関連のことが載っていることかな。人の人生をどれだけ良い方向に変えれたか――例えば人々から認知されたり、契約を取ったりね。
最近だと「アラブの春」が我々のサイトに載ったことかな。YouTubeがどう世を変えたか直に感じられることはすごく特別なことだよ。
ーーYouTubeは目的のある話を運ぶ有効的手段です。未だかつてない方法で、メッセージをアウトプットすることを可能にしました。興味深いのは、YouTubeは自己管理制であること。ユーザーは自分たちのために、YouTubeを管理しています。
ハーリー:それはYouTubeに組み込んだソリューションの1つだよ。最終的に僕たちは動画の良し悪しの判断に関与していないんだ。その判断は、ユーザーが自ら行う。
それには、個人が動画投稿をし、仮にその動画の体験談や話にメッセージ性がなかったとしても、興味を持っている人が現れるかもしれないという潜在性がある。
ーーそれがとても面白いことだと思います。私はメディア業界に40年ほどいますが、あなたが及ぼした変革はすごい。ニュースや映画、本、ラジオショーなどでは伝えられない話がたくさんあります。
ニッチな人や集団に、独特な方法で手を伸ばすことも可能にし、彼ら同士が通じ合えるようになりました。あなたのしたことは、製作者と観客の距離を破ったのです。それはとてつもなくすごいことです。
ハーリー:そうだと嬉しい。
ーー今狙っている分野について話してください。「この分野に加担したい」と思っているような。何かありますでしょうか?(中略)
あなたはファッション業界に興味を持っていましたよね。今はどんな分野に手を伸ばしたいですか?
ハーリー:特定の1つを選ばなきゃならないんだとすれば、ディスカバリー(発見)の分野。
現在、未だかつてないほどの情報量が生産されている。メールやTwitterの更新情報、アプリ、動画、音楽とか――情報過多だ。
でも、未だに解決されていない問題は、莫大な情報をどうやって整理するか、それをどう消化して、掘り下げていくかだ。これらが今後見ていきたい問題。
つまり消費者たちのために、的確で合理的な解決策を作ること。「閲覧経験で、消費者は目的の情報を検索する過程に介入できるのか」ね。
ーーほとんどの人だったら「その過程はもう終えた」と言いますが、あなたは「我々はスタート地点に立ったにすぎない」と言います。これがあなたをビジョナリー(先見の明を持つ人)にしていると思います。
ハーリー:ありがとう。世界にはまだまだ問題があるからね。僕がすごく悲観的なだけかもしれないけど、改善点はたくさんある。
ーーわかります。我々はまだ第一章にいるにすぎないのですね。
ハーリー:そうだね。
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