オバマ前大統領は、大統領候補者の当時、アカデミー・オブ・アチーブメントが開催する式にてゴールデン・プレート賞を受賞した。
そこで彼は、「自分の人生を変えた出来事」「変革は起こりうる」などと、非常に興味深く、刺激的なスピーチをする。なお、この動画はCorporate Valley社によるもの。
「不正や不平等が世にはびこっている意識はおぼろげにありました」
ありがとうございます。本当にありがとう。
この賞(公共サービスの分野での受賞)の受賞者になれたこと、またこのすばらしい場で話せることを大変嬉しく思っています。
まず最初に、受賞式を実現したすべての方々に感謝を述べたい。また、ここを代表する若者たちからどんなに刺激を与えられていることか。これがこの学校が創設された理由に思えます。
私のヒーロー、デスモンド・ムピロ・ツツ氏(南アフリカの平和運動家)もいらっしゃるので、手短にお話しします。
オバマ氏の大学生時代
君たちの年頃の時、私が何をしていたか話します。こういう話をすると年を感じざるえません。ツツ氏もそうでしょうけど(笑)。
(会場笑)
79年、私はカリフォルニア州、オクシデンタル大学の1年生でした。私は困難多き青春時代をティーンエージャーとして送ります。
父は家におらず、高校時代は祖父母と共に過ごしていた時期もあり、時々問題を起こしたりもしました。その時期のことを、母親は「グッド・タイム・チャーリー」、そう呼んでいます――「勉学や仕事に不真面目だった」という意味で。
世の出来事をある程度認知しており、不正や不平等が世の中にはびこっている意識はおぼろげにありました。でも、その意識は十分に発達しません。
そして、79年、大学1年生として入学し、1年生がするであろうこと――つまり授業選択や学習習慣の適応、カフェテリアのメニューが何なのか知ろうとしたり――をしていました。
(会場笑)
ある日キャンパスに南アフリカからアフリカ民族会議の代表者青年たちが来訪。
彼らはアパルトヘイト(人種隔離政策)に打ち勝つための努力について語ります。およそ1時間、私たちは自分たちとさほど年も離れていない青年たちの話を聞きました。
彼らが語ったのは並はずれの苦労や犠牲。中には正義は勝つと信じて牢屋に入れられ、暴行や拷問にあった方々の話も。
「機会があれば平凡な人々は非凡なことをできる」
その短い公演は私の人生を変えました。
まず公演が私に教えてくれたのは、「機会があれば平凡な人々は非凡なことをできる」ということです。
私たちはしばしば、リーダーは「派手な学位や教養がなければならない」や「地位を有さなければならない」と考えますが、あの青年たちはその中の何も持っていませんでした。
彼らが持っていたのは怒りです――ポジティブに変えることができる不正への。そこで私は「自分の人生が向かうかもしれない道しるべ」を頂いたように思えました。
私はキャンパスでの反アパルトヘイト運動を積極的に参加。でも、私たちの抗議はむなしく、オクシデンタル大学は結局変わらなかったことを憶えています。コロンビア大学に転校した時も、同じような抗議運動がありました。
しかし私は最終的に、10年後法学生として南アフリカの解放を目撃し、プレッシャーを与えるという形で貢献した反対運動の一員であったことをありがたく思っています。
ネルソン・マンデラ氏が刑務所から出所した映像を未だに覚えています。この歴史的事件とマンデラ氏の自由への長き闘いは、彼1人が成し遂げたことではなく、世界中大勢の協力によるものです。
私が政治に関わることになったのは、このことに由来しています。
反対学生運動をまとめた結果として、私はコミュニティのまとめ役になります。その結果、法学校卒業後に公民権法専用の弁護士になり、州議会委員になり、そして今、アメリカ合衆国の上院議員、大統領候補としてみなさんの前に立っています。
「世界は君たちを待っている」
受賞した私が最も伝えたいメッセージは、「みなさん全員が変革へのとてつもないポテンシャルと可能性を象徴している」ということです。
みなさんは、我々全員がアメリカ合衆国の貧困地域などで、不正が未だにはびこっていることを知っているからです。全土にわたって「静かな絶望」があり、若者たちの人生には悲痛、絶望、アナーキー、カオスがあります。
世界中でも同じです。
上記のような絶望的な現状が中東などの地域で起こっています。このような地域のことは、惨事になるまでみんな関心を持たず、記されることは滅多にありません。
非凡なことを今にもしようとしているみなさんが持つその才能、エナジー、想像力を「世界がよくなるためにはどうすればいいのか?」と考えるために使ってほしいです。
みなさんがその疑問に応じようとするならば、変革は起こりうると確信しています。私たちは、「変革、新しいものへの渇望」、「平凡や自己中心の殻を破る欲」は世界中どこにでもある時代に生きているからです。
世界は君たちを待っている。
受賞者たちを見て、「君たちに刺激を与えたり、先の人生をよい道に導こうとする会だということに気付いて頂ければな」と思います。
ご清聴、ありがとうございました。
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