今ほとんどの人が使用しているマウスは光学式マウスである。それまでは機械式マウス(ボール式マウス)という、内蔵されたボールがマウスの動きを検知するものが主流だった。
この機械式マウスは定期的な手入れや解体清掃が必要で、なかなか手間がかかるものであった。そこで一世を風靡したのが、今回取り上げるスティーブ・カーシュ氏による光学式マウスである。
なお彼は、当時Apple社のスティーブ・ジョブズ氏に「専用のパッドがなければならないのが気に入らない(発明当時の光学式マウスは専門パッドが必要だった)」という理由で生産を断られ、結局自分で起業。今はジョブズ氏の評価を聞き入れて、改善しなかったことを後悔しているようである。
このインタビューはシリコンバレー歴史協会による「光学式マウスの発明」だ。
僕は一貫して発明好きだった
光学式マウスは、必要に迫られて開発しただけだよ。僕は一貫して発明好きだったからね。問題を見つけて「こうした方がいいんじゃないかな?」って気付いたりしていたよ。
そこでMIT(マサチューセッツ工科大学)にいた頃、光学式マウスをひらめいたんだ。光学式マウスの方が故障が相次ぐ機械式マウスよりも信頼できるように思えたから。
設計して、開発したよ。そのための装置からソフトウェアの製作までね。
それから、みんなが光学式マウスというアイディアを気に入ってくれたことは知れたけど、企業は製造してくれるほどの興味を持ってくれなかった。
だから結局、MITを卒業してから起業したんだ――長年の貯金で$40,000あったからね。その金額では長持ちしないということは、思い浮かばなかったよ(笑)。
「起業するのは平凡な人のみだ。頭のいい人はもっと慎重なはずだから」という古い格言がある(笑)。
カーシュ氏のキャリア
僕はカルフォルニア州で育ったから、ここは地元だった。大学を出て就職活動をした時(起業前)、ROLM社(シリコンバレーにあったテクノロジー企業)からの内定が一番魅力的に感じた――ここから遠くもなかったしね。それからもずっとここにいたよ。
自分で起業したMouse Systems社に何年かいた後、チャールズ・コーフィールドという青年に出会う。
彼はデスクトップ・パブリッシング(卓上出版)の試作アプリケーションをプログラムしていて、興味を持った。
Interleaf社(技術出版のソフトウェア会社)は当時大成功していたし、結局コーフィールドの発明を追求するための会社を作った(Frame Technology社)。最終的にこれが驚くほど成功したんだ。
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