ニッポン放送、Cerevo、グッドスマイルカンパニーの3社は、クラウドファンディングを通じて開発したワイドFM対応ラジオ「Hint BLE Radio(以下、Hint)」を9月初旬に発売する。メーカー希望小売価格は2万2000円(税別)。7月20日から先行予約が開始され、発売は9月初旬を予定している。
Hintは、「カッコいいラジオが欲しい」という想いから、ニッポン放送のアナウンサー・吉田尚記氏が立ちあげたプロジェクトから生まれた。
開発資金は「CAMPFIRE」で実施したクラウドファンディングによって集められ、目標額を大きくオーバーする234%を記録。
目標達成時点(2016年9月時点)で、CAMPFIREの全プロジェクトにおいて過去最も支援金額を集めたプロジェクトになった。このクラウドファンディングで購入した人に向けては、7月20日から順次発送が開始される。
今回の一般発売が決定したのは、クラウドファンディング終了後にも購入希望者が多数いたため。
ニッポン放送、Cerevo、グッドスマイルカンパニーに加え、ビックカメラ.comや全国のビックカメラ、コジマ、ソフマップのラジオを取り扱い店舗でも9月初旬から販売が開始される。
2度の延期を経てついに完成
発表会には、前述のニッポン放送アナウンサー・吉田尚記氏に加えて、Cerevoの代表取締役・岩佐琢磨氏、グッドスマイルカンパニー代表取締役社長・安藝貴範氏、SF.Incのデザイナー・メチクロ氏が登壇した。
今回の発表会が開催された7月20日は、昨年クラウドファンディングを開始すると発表してからちょうど1年。当初の目標額は1300万円に設定していたが、最終的には1250人から3045万5500円を集めた。
安藝氏は、Hintをアピールする当時の吉田氏を「鬼気迫るものがあり、ラジオを愛する気持ちが一気に伝わった。大変な伝播力だった」と評した。
しかしながら、資金は順調に集まったものの開発は難航。当初の予定では2017年3月に発送されるはずだったが、2度遅延された。その理由は、一同が「大変でした」と口を揃える“攻めた”仕様にある。
「縦型にしようというミチクロさんのアイデアは素晴らしかったが、(実際に開発してみると)なんでそんなことを言ったんだと。攻めた美観にしたことによって、設計が難しくなってしまった。冷静に考えると作ってはいけない設計です(笑)」(安藝氏)。
当初よりグレードアップした仕様に
Hintは、FM放送用周波数を使ってAM放送を補完的に放送する「FM補完放送」(通称・「ワイドFM」)に対応する。ワイドFMには雑音が少ない、ステレオ放送に対応するといった特徴があり、従来のAMよりもクリアな音質でラジオを聴取できる。
クラウドファンディングが好調だったため、当初の想定よりも仕様がグレードアップされた。当初は本体上部のみだったスピーカーに加えて、音質の向上を図るためウーファー、ツイーターなどの3WAYスピーカーを採用。いずれも無指向性なので360度どの位置からでも最適な音を楽しめる。
ラジオだけでなく、Bluetoothスピーカーとしても利用可能。スマホやパソコンに保存している音楽やポッドキャスト、ストリーミング配信サービスなどの音楽をワイヤレスで再生できる。
また当初、本体には充電器を搭載しない予定だったが、最終的にはスマホの充電に利用できるmicroUSBケーブルをつなぐことで給電と充電ができる仕様になった。
外部アンテナも同梱される。本体下部のカバーを外すと端子があり、ここに差し込むことで、電波環境が不安定な場所でも受信感度を高めることができる。
ラジオの最大の魅力「声」にこだわる
サウンド面では、「声」に特化した音作りにこだわった。ミチクロ氏によると、一般的な小型スピーカーは、本体が小さいのに低音が鳴りやすい設計になっているが、この設定だとラジオの魅力である声の帯域が聞こえにくくなってしまう。
チューニングを重ねるなかで着目したのが、一般的な日本語話者の母音成分が多く含まれる400Hz近辺。この周波数帯の“盛り方・削り方”にこだわることで、「声がスーと伸びて聞こえる」(ミチクロ氏)という。
吉田氏がこだわったのが、起動の素早さ。テレビやradikoなどは、起動してから実際に音が流れるまでに数秒のタイムラグがあるが、Hintは起動すると瞬時に声が出る仕様になっている。
また、「ラジオの音声に反応して近くのスマホにURLを送信する」機能にも対応。放送局が「DTMF音」(“ピポパ”という電話のダイヤル音)を送信すると、Hintがそれをデータとして変換し、近くのスマホに自動転送される。
この機能を利用することで、番組サイトの紹介や、写真・動画のシェア、中継場所の地図情報の共有、ECサイトの商品ページへの誘導などがしやすくなるという。
今回の発表会には、声優の野島健児さん、中村繪里子さん、田所あずささんも登場。クラウドファンディング支援者向けに開発された3人の特別モデルが紹介された。
特別モデルは、起動時や終了時に各人の音声が流れる。その音声を収録した際のエピソードなどが披露され、会場の笑いを誘った。
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