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秋元康が「天才」と認めた男の全思考:SHOWROOM前田裕二が明かす『人生の勝算』

Rikaco Miyazaki

2017/07/24(最終更新日:2017/07/24)


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 「SHOWROOM」というサービスをご存知だろうか。

 アーティスト、アイドル、モデルなどのライブ配信を無料で視聴することができるサービスで、誰でも気軽に応援することができる。

 人気アイドルグループである乃木坂46、欅坂46のメンバーが個人配信をスタートしたことでも話題となったSHOWROOM。

 そんな“仮想ライブ空間”とも呼ばれるサービスを創り出した人物が、前田裕二氏だ。

「秋元さん。僕は、ビジネスにも人生にも、勝算があります」

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 20代後半でSHOWROOMを立ち上げて起業家となった前田氏。

 同氏は、秋元康氏と出会ったときに「ビジネスにも人生にも、勝算がある」と伝えたそうだ。

 そんな前田氏が大事にしている考え方を一冊の本にまとめた書籍が『人生の勝算』。

 同氏が読者に伝えようとした「絆の大切さ」「人生という壮大な航海においてコンパスを持つことの大切さ」について紹介したい。

すべてのファンビジネスの根幹は「スナック」にある

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 筆者は本書で、どんなビジネスでも共通して「コミュニティ」が鍵となる、と話している。

 そんな筆者は、ビジネスにとって重要なコミュニティを築く上で大切な本質は“スナック”にあると言う。

スナックは「人との繋がり」にお金を払う

 地方の観光地や下町の外れで、夜になるとポツリと看板に光が灯るスナック。

 「本当にここ営業しているの?」と思ってしまうような店が多いが、筆者は大体のスナックが15年〜20年ほど続いている、と述べる。

 お客が入っているようには見えないが、一体何故続いているのだろうか。

 その理由は、ママとの人間的な繋がりや絆の対価としてお金を払う「ママと常連客との温かいコミュニケーション」にある。

廃れていく商店街でスナックが潰れない理由は「ヒト」

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 廃れていく商店街の中でスナックが最後まで潰れないのは、消費対象が「ヒト」だから。

 同じ商店街にある花屋、肉屋、魚屋など、コンテンツそのものを欲して対価を払う「モノ消費」は、景気や需要に左右されてしまう。

 一方でスナックは、ママとの人間的な繋がりや絆の対価、そのコミュニティに対してお金を払っている。

 そのコミュニティに所属している、という普遍的な所属欲求や商人・自我欲求が満たされるのがスナックの強みなのだ。

コミュニティがより強くなる5つの本質

 景気や需要に左右されないスナックには、人との絆やコミュニティという強みがある。

 そのコミュニティをより深めるには、5つの要素があると筆者は言い切る。

コミュニティを形成する5つの本質

  • 余白があること
  • クローズドの空間で常連客ができること
  • 仮想敵を作ること
  • 秘密やコンテクスト、共通言語を共有すること
  • 共通目的やベクトルを持つこと
 本書でコミュニティビジネスの成功例として挙げられている、アイドルグループのAKB。

 AKBにおける「余白」とは、ちょっとダンスが下手、お世辞にも顔がすごく可愛いわけではないけど努力家、など「応援してあげよう!」とファンが思う要素のこと。

 未完成なアイドルを、自分の応援やアドバイスで成長させていくような感覚。ファンはその成長過程(余白)に熱狂しているのだ。

世の中の課題はモチベーションで解決できる

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 筆者は、モチベーションで万事が解決するわけではないが、目的を達成するための燃料として必要だと本書で述べている。

 そのモチベーションを高めるためにも必要なのが、「人生という壮大な航海においてコンパスを持つ」ということだ。

 方角を示すコンパスを持たずに、大海原へと航海に出ることを想像してみてほしい。

 きっと、航海を続ける途中でどこに向かっているのかわからなくなり、海の上で一人途方に暮れることになってしまうだろう……。

 コンパスがなければ、いずれモチベーションが下がってしまうのだ。

一度陸に戻ってでも自分自身のコンパスを取り返す

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 「自分が何をしたいのか」「何を幸せと定義するのか」「どこへ向かっているのか」——人生という荒波を乗り越えていくとき、自分のコンパスはあらゆる物事を決める指針になる

 もしコンパスを持たずに航海に出て、モチベーションを失ってしまったとき。遠回りに見えるかもしれないが自分のコンパスを取り戻しに行こう

 きっとそれがベストな選択肢だ。

 「人生にもビジネスにも勝算がある」そう話す前田氏は、次のコミュニケーション革命はすぐ近くまで来ていると予想。

 また、データ通信料という「ネット環境の制約」が取り払われ、データコストを気にしなくなったとき、人々は「動画」でのコミュニケーションを強く求める、と予見している。

 幼い頃に見極めた「コミュニティの本質」を武器に、自身のコンパスに従って航海を続ける前田氏。

 10年後に船上から見るのは、美しい景色なのか、はたまた荒波が立っている景色なのか。前田氏の船旅の行く末を見守る一人として、未来がとても楽しみになる一冊だ。

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