多彩な趣味を持つ男性たちのプライベートのお楽しみ空間を、海外のHouzzから集めた。筆者の、父への思いとともに綴っていく。
私が持っている父のイメージとは「なんでもできる人」。子どもの頃から、父は何かが壊れれば必ず直してくれた。
それは物理的に壊れたものだけではなく、心の問題も、優しい言葉や愛情で状態をよくしてくれたのが父。
スポーツもでき、DIYやガーデニングも得意(イギリス人なので当然だが)、芸術的センスもあって、とにかく何にでも興味がある父を、今でも私はオールマイティーな人だと思っている。
父は22才の時、バイクに寝袋と荷物を積んで世界旅行を目指して生まれ故郷のイギリスを旅立った。
2年間かけて、旅行中に描いたスケッチや水彩画を売って稼いだ、わずかなお金を生活や旅費にしながら日本にたどり着いたのだ。そして東京で母と出会って結婚して……おっと、それはまた別の話になる。
とにかくそんなたくましさが、70代半ばになった今でもそのままの父を、私は尊敬している。
そんな父は、趣味やリラックスタイムを楽しむために、家のあらゆる場所に自分だけの大小さまざまな「男の空間」を持っていた。それは大切な道具を置いたり、作業をする場所だったり、楽しむ場所、紅茶を飲みながら新聞を読むための、家族は使用禁止の専用チェアまで。
それらのスペースは父にとってある意味、自分だけの小さなお城だっただろう。仕事のことも忘れ、一人の時間を楽しむための特別な空間だったのだと思う。
今でもそうだが、父は自分の時間をとても大切にしている。「男の空間」とは、そのためのスペースではないだろうか。
今回は多才で夢を持つ素敵な男性たちのために「男の空間」の実例をご紹介しよう。
DIYや修理がはかどる部屋
最近ではDIYが得意な日本のお父さんたちも増えてきた。
そんなお父さんたちがきっと夢みるのが、自分だけのDIY用ワークルーム。
作業ができたり、工具を収納できるこんな素敵なスペースがあれば、ますますスキルアップして、素晴らしい作品を作れるようになるのでは?
こちらはシルバーグレーで統一された、センスあふれるDIYコーナー。
欧米ではガレージこそが「男の空間」。作業場や工具置き場としてよく使われる。
車の用品やキャンプグッズ、ガーデニングツールを置くのにも便利な場所だ。
サーフィン、スノーボード、バイク、DIY。この部屋のご主人は趣味が豊富そうだ。
大切な道具のお手入れも趣味の一環。このような広々としたスペースがあれば、お手入れにもかなり専念できるに違いない。
こちらは、もともと家の裏にあった小屋をバイク専用のスペースに改造したのだとか。
バイクの色とインテリアのアクセントカラーが上手にコーディネートされ、作業場と呼ぶのがもったいないくらいおしゃれな空間に。
はっきりした原色、床の太い黄色い線に、力強さと男らしさが感じられる。
お酒を楽しめる空間
ワインセラーと言えば、地下室にある洞窟のようなレンガ造りの暗い空間をイメージすることが多いかもしれないが、最近は明るくコンテンポラリーなスタイルも増えてきた。
ワイン好きな男性は、飲むだけではなく、コレクションを眺めるのも大きな楽しみなのでは? ガラス張りで上品な、ジェントルマンのためのワインセラーだ。
お酒好きにはたまらないホームバー。昔、父の夢はイギリスのパブのようなバーコーナーをリビングにつくることだった。
もちろんそれも実現し、得意のDIYでカウンターをつくり、ホームパーティではいつも大威張り。
男性のおもてなしといえばやっぱりお酒。腕を振るうのにぴったりなスペースだ。
映画を楽しむホームシアター
まるでハリウッド俳優の家を思わせるホームシアター。
実はアメリカではこのような部屋は珍しくないそうだ。防音を考え、地下室にホームシアターがつくられることもよくある。
もちろん、リビングとはまた別だ。一人でのびのびと、または友達を呼んで、映画鑑賞パーティもできる。
スポーツファンのための空間
こちらは奥さまにとっては悪夢のような部屋かもしれない。
「ゴルフも観たいけどサッカーも観たい」としょっちゅうチャンネルの行き来をしているスポーツ観戦好きのわが夫も羨ましがりそうな一室だ。
この写真は内緒にしておこう。週末はずっとここにこもってしまいそうで危険かもしれないので。
こちらはゴルファーにはたまらない部屋だろう。
昔ながらのカントリークラブを思わせる、高級感あふれるインテリア。ずっしりした重みのある家具に、男らしい力強さが感じられる。トロフィーを飾れば完璧だろう。
ゴルフ仲間との集まりも盛り上がりそうだ。
いつまでも健康でいたいなら
職場での長い一日を過ごした後に帰宅し、こんなホームジムとサウナで一汗流してからビール、これは最高の贅沢かもしれない。
家にジムがあれば、軽く運動してから出勤、といったことも可能だ。
ミュージシャンパパのお部屋
グレーの壁と楽器や機械類が自然に調和している、シックで落ち着いた雰囲気のミュージックルーム。ゆっくり過ごせそうな空間だ。
うず高く積み上げられた本がまるでオブジェのよう。大丈夫かなあ、とやや気になる一方、部屋にいい味を与えていて素敵だ。
みんなで楽しめるゲームルーム
友達が遊びに来た時にも楽しめる、おしゃれなゲームルーム。
ブルーに塗られた壁、紫のビリヤードテーブルやバーカウンター、照明や角のオブジェなど、インテリアへの強いこだわりが感じられる素敵な空間だ。
父はダーツの大ファン。日本に住み始めてから、イギリスのパブの次に恋しかったのがダーツだったらしく、ダーツの輸入の仕事を始めてしまったほどだ。
そのため、わが家には常にダーツボードが。週末になると父の友人が必ず集まり、ダーツボードを囲んでビールを飲みながら夜遅くまで騒いでいたことを覚えている。
当時まだ若かった私は、ただ「うるさい」としか思わなかったが、今振り返ると本当に楽しかったんだなあ、と思う。
自慢のコレクションルーム
せっかくのコレクション、しまったままではもったいない。
ヴィンテージのミニチュアカーの大切なコレクションのために、特別につくられた一室。ブルーの棚がカラフルな車たちを際立たせ、蒐集の趣味の楽しさや魅力を感じさせてくれる空間だ。
伊達男のためのクローゼット
おしゃれな男性に喜ばれそうな、広いウォークインクローゼット。
単なる洋服の収納のための場所ではなく、好きな写真を飾ったり、インテリアにこだわったりすれば、さらに自分らしい、気持ちのよい空間に。まるで高級メンズブティックのようだ。
ガーデニングの空間
庭の一角にあるポッティングシェッドは、ガーデニング用品を収納する場所、そして苗を育てたり、鉢の植え替えをする場所としても使われる小屋のことを言う。
父と同様、多くのイギリス人男性が休みの日にのんびりと過ごすのが好きな空間だ。
ガーデンシェッドは秘密基地
庭小屋という意味のガーデンシェッドは、基本的にはガーデニング用品や工具が置かれる場所だが、リフォームして「隠れ家」的に使う人もいる。
お気に入りの椅子を置いて、家族に迷惑をかけずに音楽を聴いたり、静かに読書するための最適な場所であり、ちょっとした「逃げ場」にもなる。
釣りが趣味の方に
海の近くの家のガレージの一部に設けられた、釣り専用コーナー。
釣り道具が床の無垢材や家具や壁の淡い色といったビーチスタイルの空間に自然となじんでいて、まるでこのスタイルのために置かれたオブジェのようだ。
くつろぎのスペース
大切なのは仕事や遊びだけではない。
さわやかなお天気の週末に、ゆっくり昼寝することを大きな楽しみにさせてくれそうなハンモック。時間がゆっくりと過ぎていくのを実感できそうだ。
定年になってから、毎日お昼ごはんの後30分間、昼寝をするのが父の習慣。それが今でも元気でオールマイティーでいるための秘訣なのかもしれない。
そんな父にこのようなハンモックをプレゼントしたら、喜びそうだなと思った。
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