サラ・ブレイクリー氏は女性用下着会社スパンクス社の創業者である。2016年フォーブス誌による「世界で最もパワフルな女性100人」にて90位に輝いたブレイクリー氏は、わずか5,000ドルで起業し見事成功した。
彼女は成功への着想をどう得たのだろうか。今回はポータルサイト"Big Think"による『起業するのに大金やビジネスの授業は必要ない――サラ・ブレイクリー』を書き起こす。
「オートパイロットはやめて、生活の1つ1つのもの、行動を観察しましょう」
起業家として、私はみんなが起業家のように考えることを推奨しています。その人自身起業家になりたくなかったとしても、そのような考え方はどんな場面でもすごく便利。
企業の中で起業家のように考えるにしろ、事業を始めるにしろ――これを人に教えるのは大好きなのですが――私はこうアドバイスします。しばらく目を閉じて、仮に誰からも教わらなかったとして、自分のやり方を考えてごらんなさい。
何が思いつくでしょうか。考えてみれば、ほとんどの人はオートパイロットで動いています。私たちは他人から教わった方法か、観察によって学んだことをしているにすぎません。
真の変革というのは、他のみんなとは違う方法で何かをした時のみに起きるのです。だから、私はよく「ちょっと待って。従来みんながこの方法でそうしているのは知っているけど、これが一番いい方法なのかしら?」と考えます。そして何か思いつくか見るのです。
他には、日々ものを観察して「これをどう改良できるかしら?」と考え、アイデアやイノベーションの着想を得たりもします。
たった5,000ドルでブランドを創業した人間として、それまで存在していなかったアイディアを思いつかなきゃなりませんでした。私は一番最初に何かを世に紹介した人のことを考えるのが大好きで、ガムを作った人のことを考える。
想像できますか? 私も大変な思いをしましたが、ガムを紹介した人は歩き回って「噛んでみてよ。これを口に入れてだね......」と言い、人々は「は?それでどうすればいいんだ?」と言ったことでしょう。その人は「飲み込んではいけない。ただ噛むのだ」と。
最初は人を納得させるのが困難だったことでしょう。あと、たぶん最初のガムは味がないから、もっとすごい。えんぴつからフォーク、イスから車まで――どのようなものでも初めは誰かが着想し、世に広めたのです。
ですからオートパイロットはやめて、生活の1つ1つのもの、自身の行動を観察しましょう。例えば、歯を磨く時「他にいい方法はあるかしら?」「正しい方法なのかな?」だったり。それから何が浮かぶのか見てみましょう。
会社を立ち上げるのに、大金は必要ではない
私はスパンクス社を5,000ドル(日本円約55万円)貯めて始めました――7年間クリアウォーター(フロリダ州)にてドアツードアでファックス機を売ることによってね。アパートの裏で始め、ビジネスの講義を受けたことはありませんでした。さらに、ファッション業界や小売業界で働いた経験はなかったです。
それでも、自分を含めた女性のために下着を作ることを決めていました。ファッション界の中でも女性用下着は不完全な分野に感じていたのです。
最初の2年間で最も大変だったのはアイディアが形になるまで。2年もの間、「ノー」と言われ続けました。ストッキング製造工場を電話したり、1週間の休暇をもらいノースカロライナ州中をドライブし、試作品を作ってほしいと面と向かって懇願したりもしたわ。
開始2年の間は時間がたっぷりありましたので、色々な事をしました。特許を申請したり、本屋で特許とトレードマークについての本を購入。他には仕事終わりに友だちのコンピューターを借りて包装デザインの作成、渋滞で「スパンクス」という名前を思いつき、家に帰り150ドルをクレジット払いで商標登録したり。
計画は他言無用
これらのことをしている間、私はこの計画を誰にも話しませんでした。友人や家族は私のアイデアを知らなくて、それは私の旅路において極めて重要でした。「自分は正しい」という確証を得るだけのために、話したくなかったのです。アイデアを擁護や説明するのに時間を割くよりも、アイデアの追求に時間の限り尽くしたかったから。
多くの場合、人は大金になりうる、すばらしいアイデアを持っているのにも関わらず、まず最初に同僚や友人、夫や妻に相談します。それらの人々は愛や心配から「やっぱりやめたほうがいいか」と思わせるようなことを言う。
当時私は「他人に頼ること」を疑っていましたので、インスピレーションやモチベーションを掻き立てるような講義ばかり見ていました。今思えば、ビデオを見たり、運転しまわったり、自分を激励したりして、誰も信じない中自分自身を信じることは、大変なことです。
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