Googleの音声エージェントサービス、「Googleアシスタント」が日本でサービスを開始した。対応するのは、Android 6.0以上の端末で、5月末から数週間かけ、順次各ユーザーに配信されていく形を取る。
ホームボタンを長押しすると、Googleアシスタントが起動するほか、設定しておくと、「OK、Google」と呼びかけるだけで、端末のロック画面などから起動できる。
「OK、Google」で呼び出せるGoogleアシスタント
Googleアシスタントは、音声でスマホをコントロールしたり、ネット上のサービスから最適な答えを返してくれる機能。Googleが開発したAI(人工知能)が搭載され、普段人と会話するような自然言語でのコミュニケーションが可能なところに特徴がある。
検索はもちろんだが、GoogleフォトやGoogleマップなど、同社の提供するサービスとも密接に連携している。たとえば、「昨日撮った食べ物の写真を見せて」と話しかけると、自動的にGoogleフォトの中を検索。AIによって食べ物と判別された、1日前の写真が一覧で表示される。
指定した写真が、Googleフォトから自動的にピックアップされた。 日本語は、英語をはじめとする海外の言語と異なり、主語を省くことがある。上で挙げた例文もそうで、誰が撮った写真かは、文中で明示されていない。文脈上、これが私であることが分かるからだ。Googleは、Googleアシスタントを日本語化するにあたり、こうした言語の違いもきっちりサービスに反映させた。自然に話すだけで結果が返ってくるのは、そのためだ。
ユーザーが話したことを、会話として認識しているため、タップの必要なく、続けて操作することもできる。一例を挙げると、「この辺のレストランは」と聞き、一覧が表示される。その結果に対し、「2つ目は」と言うと、2つ目に表示されたレストランの詳細を表示してくれるのだ。
会話の流れを把握し、適切な結果が返ってくる。 ただ、実際使ってみると分かるが、上で挙げた例はあくまでベストケース。サービスとしては、まだまだブラッシュアップが必要だと分かる。たとえば、「今届いたメールを開いて」と話しかけても反応してくれないし、Googleフォトも、人物の名前の読み方が認識できないためか、子どもの名前を言っても適切な答えが返ってこない。
また、「タクシーを呼んで」というように、Googleのサービスの範疇を超えてしまうアシストもできない。これについては、今後、「Actions on Google」という取り組みを日本に拡大する予定で、アプリ側が対応していけば、実現が可能になる。一方で、何ができて、何ができないのかが明確ではないため、ユーザー側にも、Googleアシスタントを使いこなすためのスキルが求められてしまう。アシスタントと呼ぶには、まだまだ頼りない存在なのだ。
望んでいる答えが返ってくることは、まだまだ少なく、Web検索に飛ばされてしまうケースが多い。 むろん、サービスはまだ始まったばかりで、機械学習が進んでいけば、今後、精度はもっと上がっていく可能性はある。AIを活用した音声アシスタントサービスというと夢が広がるが、現時点で、過剰な期待は禁物だ。
同種のサービスは、AppleがSiriを、AmazonがAlexaを投入しており、日本ではLINEがClovaを開始するほか、キャリアではNTTドコモもAIを使った音声エージェントサービスの開始を2018年に予定する。
まさに群雄割拠の状態になりつつあるが、それぞれに、得意、不得意があり、連携できるサービスにも限りがある。現状の精度や使い勝手を考えると、まだどの事業者が覇権を取るのかは判断が難しい状況と言えるだろう。
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