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未来の女性ビジネスリーダーたちへ捧げるアドバイス:リクルート×パソナ共催イベントを徹底レポート!

Rikaco Miyazaki

2017/06/13(最終更新日:2017/06/13)


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 “未来の女性ビジネスリーダー”に向け成長と交流の場を提供するイベントの記念すべき第1回目が、6月10日(土)に秋葉原UDX 4Fギャラリーにて行われた。

 イベントを主催するのは、株式会社リクルートキャリアと株式会社パソナ パソナキャリアカンパニー。会場にはキャリアについて悩む女性たちが多く集まった。女性向けのイベントといえども、リーダーシップを発揮する立場にある男性ビジネスパーソンにも関わる話が盛りだくさんの内容。

 それではさっそく、イベントの模様についてレポートしよう。

女性管理職の割合が少ない理由は「無意識バイアス」にある

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 3部構成で行われた今回のイベント。第1部では、『女性が管理職になったら読む本』の翻訳・構成を担当した小崎 亜衣子氏が登壇し、本イベントの主題である「自分らしさとリーダーシップの両立」について語った。

 スピーカーの小崎氏は、民間金融機関に勤めたあとに留学・出産育児を経験。5年のキャリアブランク後、NPOでアルバイトをして2007年に日本のシンクタンクの研究員に。

 2015年からは現在も所属している株式会社Warisに参画し、彼女のキャリアビジョンである「働き方の選択肢を増やすこと」と「自由に働く女性を増やすこと」を実現させるためにワークスタイルクリエイターとして活躍中だ。

“リーダーになりたくない”という気持ちの原因は「無意識バイアス」

 小崎氏がまず語ったのが「リーダーになりたくない。無理!」という気持ちの背景にあるものについて。

 日頃働いているビジネスパーソンならわかるように、日本は女性管理職の割合は決して高くない。

 独立行政法人 労働政策・研修機講のデータによると、2013年時点では管理職に占める女性の割合は、アメリカが43.4%、フランスが36.1%、フィリピンが47.1%という水準に対し、日本は11.2%という数字にとどまっている。

 小崎氏は、全体における比率が35%を超えなければ「個」として捉えられないと話した。何故、日本の女性管理職の割合が世界と比較して、こんなにも低水準なのだろうか?

 これには、リーダーシップに関する“無意識バイアス”が働いているという。アメリカのラドガース大学のラドマン教授らによると、「男性が上、女性は下」といった暗黙のルールが人間の中に存在し、そのルールと現実が異なるときに反発が起こるそうだ。

 その無意識バイアスのもとで、「あるべき男性像=リーダーのあるべき姿」「あるべき女性像≠リーダーのあるべき姿」という意識が生まれてしまう。

 仮に、好戦的で怒りっぽい、その場をコントロールしようとする女性リーダーがいたとしよう。その場合あなたは、好戦的な女性リーダーに対し「女性らしさ」を感じるだろうか。

 「女性らしくしないといけない」という意識が、無意識に「リーダーになること」を避けてしまっているのだ。

男性の名前か。女性の名前か。それだけで評価が変わる

 小崎氏は“無意識バイアス”についての理解を深めるために、興味深い研究結果を提示した。

 アメリカのイェール大学、ラシュキン教授らは「ジェニファー(女性)」「ジョン(男性)」、この2人に年収をいくら提示するか? というアンケート調査を行なった。結果は、「ジェニファー $26,508」「ジョン $30,238」。名前だけで、年収提示額に差が出てしまったのだ。

 コロンビア大学ビジネススクールのフランク・フリン准教授は、とあるリーダーについての文章を読んでもらう調査を実施。リーダーの名前は「ハワード(男性)」「ハイデイ(女性)」の2パターンで、読了後に文章に登場したリーダーの印象について質問をした。

 結果は、「ハワード=有能で結果を出せる。一緒に働きたい」「ハイデイ=謙虚さに欠ける。権力欲が強く、自己宣伝がすぎる」——無意識バイアスの存在を否定できない調査結果だ。

 性別によってバイアスがかかっていることを前提に、アメリカのとあるオーケストラ楽団では入団希望審査を「ブラインド審査」で行なった。演奏する姿を見ずに審査をした結果、元は女性団員が5%だったのに、現在では女性が平均25%を占めるようになったそうだ。

あなたが抱えている女性上司への不満、男性上司だったら?

 幼少期に「女の子らしくしなさい!」と言われたように、女性らしさという概念(=バイアス)は世間一般的にあるもの。

 「女性というのは、思いやりがあって、利他的でなくてはならない」という女性らしさバイアスが自分自身に影響を与え、結果的にビジネスシーンで自分を過小評価してしまうことなどに繋がる。

 このように女性が女性自身にかけるバイアスだけが、リーダーになることを阻んでいるわけではない。

 男性が働く女性に対してかけている女性らしさバイアスも、女性がリーダーになることを阻んでいる原因の1つだ。

 小崎氏は「女性リーダーに対する批判があった場合、そのリーダーの性別が違ったらどう?」と考えを促した。

現在求められているのは「変革型リーダーシップ」

 「少々暗い話が続いてしまいましたが、次は女性にとって明るい話をします(笑)」と小崎氏がにこやかに話し始めた次のテーマは、「女性こそリーダーに向いている!」という話。

 リーダーシップには「交換型」と「変換型」があると語る小崎氏。報酬と服従を“交換”する交換型リーダーシップと、相手の内面にある価値観を“変革”する変革型リーダーシップ。その2つのリーダーシップの特徴が以下の通りだ。

交換型リーダーシップ

  • 将来より現状にフォーカスする
  • 部下の利己心(損得勘定)に働きかけて動機付ける
  • 部下を服従させるために、報酬と懲罰(アメとムチ)を駆使する

変革型リーダーシップ

  • 現状より将来にフォーカスする
  • 部下に対して、グループ全体の利益を最優先するように促す
  • 感情に関係する資質を駆使して目的を達成する
 小崎氏が言うには、現在の社会において求められているのは「変革型リーダーシップ」とのこと。これはアカデミックの世界でも同じことが言われているそうだ。

 交換型と変革型が対極にあることはわかるが、変革型リーダーシップを身につけるには一体何が必要なのだろうか?

男性も知っておきたい変革型リーダーシップの資質

 1つ目に必要な資質は「信頼」。“その人らしさ”に溢れた魅力で尊敬される、というもの。

 2つ目に必要な資質は「モチベーション」。部下にビジョンを示して、みんなに活力を与えられるかどうか。依頼した仕事に意義があるという実感を与えて、人を巻き込むこと。

 3つ目に必要な資質は「刺激」。聖域をつくらず、あらゆる前提を疑って相手の意見の相違を認める雰囲気を醸成すること。どんな意見もどんどん言えるような環境づくりができる能力だ。

 4つ目に必要な資質は「コーチング」。人々の幸福と能力開発に高い関心を持っていること。周りの人を気遣うとともに受け入れて、サポートする力。

 これら4つの資質が要される変革型リーダーシップ。実は男性よりも女性のほうが少なからず得意だ、と小崎氏は語る。

 女性ビジネスパーソンは、自らに無意識バイアスをかけず、自分の中にある“リーダー”としての素養を認めてあげてほしい。

 男性ビジネスパーソンで部下を抱える立場の読者は、ぜひ変革型の資質を取り入れたリーダーシップを発揮できるように意識してみてほしい

“自分らしいリーダーシップ”の実現に「真似」は必要ない

 小崎氏は「リーダーに向いている性格」というのはない、と話す。つまり、誰もがリーダーになれるということ。それぞれの個性のある、自分らしいリーダーになれるのだ。

 自分が実現したいビジョン、自分だったらこういう価値を実現したほうがいいんじゃないか? ということを考えながら、「自分らしいゴール」を目指していこう。

 「(リーダーシップは)誰かの真似をする必要はない」という小崎氏の発言が特に印象に残った2つ目のテーマだった。

キャリアを止めているのは、他でもない自分かもしれない

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会場にて配られた資料など
 小崎氏は結びに、女性のキャリアを前進させるアドバイスをした。これは女性部下をもつ男性にも知ってほしいことだが、女性というのは「完璧なロールモデル」を求めがちだ。

 しかし、完璧なロールモデルというものは存在しない、と小崎氏は語る。自分の周囲の数モデルから自分の考えに合うものを部分的にピックアップして自分カスタマイズさせていくことが、正解だ。

 女性のキャリアパターンは無数だ。最初は挑戦、中盤はバランス、最後には自分らしさ……と、その時々によって重視するものが変わってくる。

 女性活躍推進を考えている会社のビジネスパーソンのみなさんにはぜひ、女性社員が本当に自分らしく、自分が置かれた環境でベストを尽くせるように、協力してほしい。

 女性ビジネスパーソンは、自分自身が“ひとり人間”として目指すべきもののために自分らしく、少しずつ前進してみよう。

 最後に小崎氏は「誰かが(前に進むことを)止めていたわけではなく、自分が止めているのかも」と、会場にいる女性の背中を押すような言葉を投げかけ、第1部の講演を終えた。

まだまだ活躍できる伸び代がある!

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 第2部では、複数企業から現在も自分らしくバリバリ働いている女性社員4名によるパネルディスカッションが行われた。

 アビームコンサルティング株式会社・織田 美穂氏、株式会社神戸製鉄所・小倉 聖子氏、スリーエムジャパン株式会社・宮下 有希氏、株式会社リクルートライフスタイル・小沢 友希氏が登壇。(写真、右から順に紹介)

 パネルディスカッションでは、自分らしく働くために心がけていること、リーダーシップを発揮する際に気をつけていることなどが話された。

 ディスカッションの最後にはイベントに来場した女性たちに、4人それぞれが伝えたいことを話した。

 株式会社リクルートライフスタイルの小沢氏は「まだまだ女性が活躍できる伸び代がある。キラキラした女性になっていけるように、皆さん頑張りましょう!」とイベント会場全体の女性が、スクラムを組むような気持ちになるエールを送った。

登壇者たちとの座談会タイムも!

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 第3部では、女性社員との座談会を実施。パネルディスカッションに登壇した女性社員4名と小崎氏が、5つのブースにわかれて会場に訪れた女性たちとトーク。

 女性ならではの悩みや、赤裸々な会話で会場も盛り上がった。訪れていた女性たちも積極的に手を挙げて質問するなどしていて、イベント来場者と登壇者との交流も盛んに行われ、第3部は終了。

 今回イベントを主催していた株式会社リクルートキャリアと株式会社パソナ パソナキャリアカンパニーは、どちらも女性が仕事で活躍できるように推進している企業。そんな女性活躍を応援している両社が企画するイベントは、第2回目の開催も予定中。
 
 国の成長戦略の1つである「女性活躍推進」は、今後もますます注目されていくはず。“女性のキャリアのあり方”について、ぜひ男性ビジネスパーソンも1度考えてみてほしい。

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