BaseCamp社(元37signals社)のCEOを務めるジェイソン・フリード氏は、斬新な経営者だ。彼は未来のことを考えることを無駄に感じており、「自分のための製品開発をする」という理念を持っている。詳しくは、こちらだ。
本稿も前回の彼の記事同様、"Big Think"によるものである。このインタビューでは、彼は起業家に「物事を半分に考える」というアドバイスをしている。
「基本に集中することが大切だ」
起業家に向けての大事なアドバイス
フリード:僕らがよく言うのは、「不完全(米俗語:half-assed)ではなく、半分(half)に」ということ。つまり、何をするにしても、半分にして考えることだね。最初は恐らく、壮大すぎる考えを持つことだろう。物事を半分にし続けるんだ。さもないと、いい加減な出来になる。
壮大なアイディアを実現しようとしても、何も上手くはいかない。だったら、1つのことだけに集中して、最高の出来にしたほうが良い。
さらに、「基本」に集中するのがいい。基本が大事だ。例えば、ホテルに宿泊したとして、上質な家具、大画面のテレビがあるとする。だけど、ベッドが心地良くなければ、そのホテルは最悪だ! 飛行機にしても同じ。そこに優れたWi-Fiがあったとしても、いつも飛行機が2時間遅延してたら、最悪だろ?
つまり、基本がちゃんとしていないといけないんだ。ホテルだったらベッドが良くなきゃいけないし、航空業界は定刻通り到着しなければならない。電車が遅れてはいけないようにね。インタビュー業界にいるなら、良いインタビューができなければならない。
何よりもまず基本に取り掛かることだ。それだけでも、凄く大変だよ。1つの問題と、同時に他10個の問題を解決できるだろうという考えはまずい。だから、僕は人によく「わけて、わけて、わけるんだ。それでその根幹、していることの核心まで行って、それを上手くやるんだ」とアドバイスするよ。
基本に集中しよう。基本は魅力的ではないが、廃れることはない。付箋紙は20年後も絶対に使われ続けている。保証するよ。だけど、最新のメモ帳は使い続けるかな? それはわからないけど、多分廃れるだろう。でも付箋紙は使う。あれは、ちゃんとしているし、不可欠なものだからだ。
自分のアイディアを単純なエッセンスになるまで半分に分けることだ。それを人に言い続けているよ。
37signals社(現BaseCamp社)の将来で楽しみなこと
フリード:僕は遠い先のことを考えるのはそこまで好きじゃないんだ。何故明日を迎えるのが楽しみかって? 明日やることが好きだから。それは6か月後にしていることが好きという訳ではなく、僕にとっては、今や明日していることが大切なことなんだ。そして、僕らは現在やっていることに対して、今でもワクワクしているよ。
今、僕らには現行製品を良くするために“統一する”という考えがある。僕は研磨するということにすごくハマっていて、我々は今あるビジネスを磨くことをよく話す。ソフトウェアの世界では、最新を重ねていくのが簡単なんだけど、僕は今あるものを磨いていくことが好きなんだ。
それで改善するということは、何もピカピカで、目立つものを作るということではない。ただただ良くして、物事が効率的になるように最適化すること――僕はそのプロセスも大好きなんだ。例えば、以前まで2分かかった物事を1分10秒に縮めるのは、とても達成感がある。まだまだ改良の余地はあるんだ。
フリード氏がやりがいを感じること
フリード:僕は現在、ベンチャー企業や中小企業がひどいソフトウェアを使わずにすむことをとても嬉しく思うよ。僕は彼らのためにソフトウェアを作りたい。多くの大企業は、自社の主力製品から様々な要素を取り除いて、それをスモールビジネス向けのソフトウェアだと称するんだ。それはスモールビジネスに対しての侮辱だよね。
だから、僕は彼らが必要とするものを開発したい。その過程は大好きだし、彼らに会って、我々の製品がいかに彼らの人生を変えたかを聞けるのは本当にやりがいを感じる。
僕が今熱中しているのは、自分のチームが伸びるのを見ることだ。それは数が増えるということではなく、みんなが成長すること。それが大好きなんだ。僕はその指導的、教育的側面が好き。最近では製品そのものに関わることは少なくて、指導や教育が多くなってきた。これにも、やりがいを感じるんだ。
だから僕は今それを楽しみながらやっている。そして、間もなく出る僕らの本、『Rework』についても、わくわくしているよ。
(中略)
「人々は物事をそんなに真剣に考えるべきではない」や「自分にとって厳しくする必要はない」だったりね。僕はこのアイディアを世界に発信したいんだ。
僕が会う起業家たちの多くは、物事の難しさ、厳しさにまいっていて、「何が大変なんだ?」と聞いてみると、無駄なことばかりなんだ。
取締役会議や会議を四六時中行ったり、いつも計画を書き出したり、将来のことを常に考えたりする必要はない。それを伝えるのが待ち遠しいし、これらのことが今僕を活気づけてくれるよ。
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