家事にかける時間や手間を短縮するのに、いまや最新家電は手放せない存在になっている。しかし、これまで洗濯・乾燥を終えてから洗濯物を畳む作業は、人の手に託されている家事のひとつだった。
そんな面倒な家事を解決してくれるのが、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが手掛ける「ランドロイド」という家庭用ロボットの存在だ。なんとこのロボット、衣類を自動で折り畳んでくれるという驚きの機能を搭載している。
2017年5月30日、メディアイベントにてついにその全容が明らかになったので、詳細を紹介しよう。
コンセプトモデルは2015年10月に登場
「ランドロイド」は、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズが2005年から開発してきた、全自動で衣類を折り畳む家庭用ロボットだ。2015年10月のCEATEC JAPANでコンセプトモデルがお披露目されている。
2016年4月にはセブンドリーマーズ、パナソニック、大和ハウス工業の3社が合弁会社を設立し、それ以来開発が進められてきた。開発には国立研究開発法人新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)による助成も受けている。
2017年3月に東京・表参道にオープンした「ランドロイドカフェ」では、開発中のティザーモデルが設置された。外観などの詳細は明かされていなかったが、公式サイトで先着100人限定でプロジェクトに協力してくれるメンバーを募集したところ、限定モデル「ランドロイド・ゼロ」を先行入手できるとあって、すでに定員の100人は集まったそうだ。
AIが衣類の種類を認識して折り畳む
ランドロイドは、一見すると大きな冷蔵庫のようだ。
室内のどんな空間にもマッチするようにと、4つのモデルが用意されおり、いずれのモデルも前面には強化ガラス、側面に天然木のウッドパネル、ダイヤルなどの操作部にレザーをあしらうなど、インテリアとしての美しさも意識したデザインに仕上がっている。
最下段の引き出しに乾いた衣類を投げ込むと、本体内部で画像を解析し、衣類の形や向きを認識。
そのデータをもとに、内部にあるロボットのアームが1枚あたり5~10分のペースで折り畳む。なお、一度に投げ込める枚数は30枚程度となっている。
対応する衣類は、Tシャツ/カットソー、ボトムス、ホームウェア、フェイスタオル/バスタオル。
ストッキングや下着類といった衣類には対応しておらず、現時点では開発途中だが、靴下の模様を画像解析で読み取り、ペアにして畳む機能も実装を検討中だ。
折り畳んだ衣類は種類別や持ち主別に中断の引き出しに収められる。
持ち主別に分ける場合は、最初に設定が必要だが、以降はボトムスのポケットのサイズといった衣類の情報から誰の衣類なのかをAIが学習して分類する。
引き出しの開閉や作業の開始などの操作は、本体中央部のダイヤルを回して行う。
畳んだ衣類のデータ管理はスマホで完結
畳んだ衣類のデータは、専用のスマホアプリから確認可能。衣類1枚ずつの着用頻度がわかったり、持っている衣類の色の傾向を分析できたりする。
さらに、持っている衣類を種類別や持ち主別でチェックできる「オンラインクローゼット機能」も搭載している。
ランドロイド自体は自宅のWi-Fi経由でインターネットに接続する仕様で、同社のクラウドと連携してソフトウェアをアップデートできるのはIoT家電ならではといえるだろう。
家電ベンチャーやファッションレンタルサービスとも協業
左からエアークローゼット CEO 天沼聰氏、セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ 社長 阪根信一氏、Cerevo CEO 岩佐琢磨氏 ランドロイドは今後、他社と協業することも発表された。
第1弾として連携するのは、家電ベンチャーのCerevoが開発している、音声操作が可能なデスクライト「Lumigent(ルミジェント)」だ。
現時点では英語のみだが、Amazonの音声認識技術「Alexa」を活用して、デスクライトに話かけるだけでランドロイドのオン/オフなどの操作を音声で行える。
Cerevoの岩佐琢磨CEOは「今年の後半から、Alexaなどの音声認識サービスがフィーバーすると考えている」と話した。
これまでなかなか音声による操作がブレイクしていない日本だが、「日本人は無機質なものに話しかけるのを恥ずかしがる傾向があるが、知性を感じるものならそうはならない」と考えているそうだ。
さらに、月額制ファッションレンタルサービス「airCloset(エアークローゼット)」とも協業を予定している。ランドロイドのスマホアプリで着用頻度の低い衣服のデータを抽出し、該当する衣服に合ったカットソーやボトムスなどをairClosetのスタイリストが選んでレンタルできる仕組み。
airClosetの天沼聰CEOは、「あくまでも弊社が提供したいのは服ではなく、新たなファッションとの出会い」だとし、「ユーザーのクローゼットの中身を知ることができれば、もっとコーディネートの幅が広がると思う」と話す。
ランドロイドは非常に便利な家電であるが、想定価格はなんと185万円! セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズの阪根信一社長は「世界初のデバイスなので高級感のあるものとして提供したい」と説明していたが、「何年かかるかはわからないが、いずれは食器洗い乾燥機ぐらいの価格帯で普及させたい」と語った。
今回の予約は、3月からTwitterなどで実施していた「#ランドロイド購入宣言」キャンペーンの参加者限定で受け付ける。一般向け予約受け付けは9月下旬~10月上旬に始める予定で、出荷時期は「年度内には確実」とのこと。
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