スティーブ・ジョブズ氏の訃報から、5年と数か月経った。死してなお、彼は伝説の実業家、イノベーターとして人々に影響を与え続けている。
今回そんな彼の「失敗について」のインタビューを書き起こす。これはアップル社で会長職以外を剥奪され、再びCEOに就任する数年前に行われたインタビュー動画だ。なお、この動画はシリコンバレー歴史協会が1994年に撮影したドキュメンタリー映画「スティーブジョブズ:人生の秘訣(2012)」の一部である。
「失敗を恐れていては、そうそう成功に近付けない」
実際、長年僕は「ほとんどの人がそういう(助けられるような)経験をしないのは、決して助けを求めないからだ」を真理だと思っている。今まで助けを求めて、僕を助けたくないという人を見たことがない。
これは老いを感じさせる話だな――僕は12歳の頃、ビル・ヒューレット(HP社の共同創業者)に電話をかけたんだ。当時彼はパロアルト(カリフォルニア州の都市)に住み、まだ電話番号が電話帳に載っていたんだ。
彼本人が電話に出て「もしもし?」と言い、僕は「こんにちは。僕は12歳、高校生のスティーブ・ジョブズといいます。周波数カウンタを作りたいんです。もしよければ余分な部品をくれませんか」と聞いたんだ。
彼は笑って、その周波数カウンタのための余分な部品をくれただけではなく、その夏HP社でナットとボルトを組み合わす組み立てラインでの仕事を与えてくれた。それも周波数カウンタを作る場のね。まさに天国にいるような心地だったよ。
僕は電話をして断られたり、電話を切られたことはない。ただお願いしただけだよ。だから助けを求められた時は、その時の恩義を返すつもりで出来るだけ応答している。
ほとんどの人はまず電話を手に取って、かけようとしないし、助けを乞うこともしない。それが時折、「成し遂げる人」と「ただ夢を見ている人」をわけるんだ。行動しなければならない。そして、失敗する覚悟がなければならない。ぶつかって、燃え尽きる覚悟もね。
電話をする人や、起業する人、なんでもだ――失敗を恐れていては、そうそう成功に近付けない。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう