シリーズ累計興収が1兆円を突破し、さらなる上乗せは確実な「アベンジャーズ」シリーズのマーベル・スタジオだが、同社の作品中、アメコミ&映画ファンの間で一際賛同者が多いのは、全然ヒーローらしくない宇宙のはぐれ者集団が悪を挫く「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」だろう。
その続編「リミックス」は、型破りな上に意外にもハートウォーミングなSFヒューマンアクションとしてセットアップされた。
ピーターの前に父親を名乗る男が現れて…
今回もガーディアンズたちは端からキャラが立っている。オープニングクレジットを引っ張る樹木型ヒューマノイド、ベビー・グルートは毎度学習能力ゼロなのだが、戦いの雌雄を決するクライマックスでは制御不能な戦闘能力を発揮するし、アライグマのロケットは毒舌で怒りっぽいのは相変わらず。
スキンヘッドでマッチョな破壊王、ドラックスはその天然ぶりで周囲をどん引きさせるが、チームリーダーのトレジャーハンター、ピーター・クイルの前に父親を名乗る謎の男、エゴが現れたことで、物語は俄然、父と息子、そして、家族(=仲間)とは何か? という究極のクエスチョンがチーム全員に投げかけられるという展開に。その間には、緑のボディが艶めかしい殺人兵器、ガモーラのピーターへの変わらぬ愛もしっかり描かれる。
宇宙海賊のヨンドゥが持って行く!
しかし、続編を最終的に持って行くのはかつて少年だったピーターを地球から誘拐し、悪事を叩き込んだ宇宙海賊のリーダー、ヨンドゥ(演じるのは前作に引き続きマイケル・ルーカー。好演!!)だ。
銀河全体を脅かす恐るべき計画が実行されようとする時、ヨンドゥがピーターに対してとった行動の意外性にこそ映画のテーマが集約されている。
待望の続編が“ヒューマン”と呼ばれる理由はそこにある。マーベル史上最もユニークなキャラクターたちの個性を楽しみつつ、ラストで待ち受ける感動を心から味わって欲しい。
今回も随所で70年代サウンドが炸裂
来日会見で揃いのスカジャンを羽織って壇上に並んだ面々。 ピーター役のクリス・プラット、ガモーラ役のゾーイ・サルダナ、ドラックス役のデイヴ・バウティスタに、シリーズ成功の立役者でもあるジェームズ・ガン監督を加えた4人は映画公開前に来日し、PRミッションを果敢にクリア。
会見の席上で「続編ではどのオールディーズが使われているか?」という質問を受けたガン監督。前作では10ccの“I’m Not in Love”やデヴィッド・ボウイの“Moonage Daydream”などの70年代サウンドがSFアクションの世界観と絶妙にマッチしていたからなのだが、今回も劇中で突然、ジョージ・ハンスンの“My Sweat Road”が流れたりして、音楽ファンのハートをくすぐりまくり。型破りなマーベル・ヒーロー映画として耳にも楽しい構成になっている。
因みに、ピーター・クイル、ロケット、グルート、ドラックス、ガモーラ、ガモーラの妹、ネビュラは、現在撮影中の「アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー」(2018年5月4日全米公開)にも参戦。
トニー・スターク、ソー、キャプテン・アメリカ、ドクターストレンジなど、お馴染みスーパーヒーロー軍団にワケあり軍団が新たに加わることで、シリーズがどう活性化されるのか? アメコミマニアの眠れぬ夜は続く!!
【作品情報】
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」
©︎Marvel Studio 2017
5月12日(金) 全国ロードショー
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