シャープは、フラッグシップモデルの名称を、夏モデルから「AQUOS R」に統一。それに合わせ、18日にはキャリアの発表に先立ち、新機種を披露した。
シャープのフラッグシップモデル「AQUOS R」
ソニーのXperiaやサムスンのGalaxyとは異なり、これまでシャープは、フィーチャーフォン時代の慣習をそのまま引きずる形で、キャリアごとに端末を作り分けていた。ドコモは「AQUOS ZETA」、auは「AQUOS SERIE」、ソフトバンクは「AQUOS Xx」と、それぞれのブランドを作り、機能やデザインにも、細かな違いを設けていた。
キャリアにとっては、自社のニーズを細かくくみ取ってもらえるメリットがある一方で、リソースが分散してしまい、ブランドの認知度が向上しなかった現実もある。「スマホがますます成熟化する中で、ブランドで選ばれるお客様が増えている」(IoT通信事業本部 パーソナル通信事業部 商品企画部長 小林繁氏)という状況に、対応できていなかったのだ。
キャリアごとにブランドを変えるのを止め、「AQUOS R」に統一。 結果として、販売台数は年を追うごとに低下してしまっていた。シャープの決算資料を見ると、2014年度の携帯電話販売台数が556万台なのに対し、2015年度は371万台と大きく低下。
2016年度は第3四半期までしか数値が出ていないが(本稿執筆時点)、トータルでは微減傾向にある。MM総研の調査では、シェアも京セラに抜かれ、1位のアップル、2位のソニーに引き離されてしまった格好だ。
ブランド統一は、この苦境を脱するための一手となる。宣伝、開発などのリソースを1つに集約し、「統一的にマーケティングを行うことで、AQUOS Rの認知率がより上がっていく」(同)からだ。副次的な効果として、「ユーザーがケースを探すうえでも、シリーズを統一した方がいい」(同)という。
端末自体も、フラッグシップと呼ぶにふさわしい1台に仕上げてきた。チップセットには、クアルコムのSnapdragon 835を採用。得意のIGZO液晶は解像度をWQHDに上げ、精細感を増した。
HDR動画の再生にも対応する。他社と同様、防水にも対応するが、シャープならではの機能として、濡れた状態でも操作できる仕様を盛り込んだ。カメラは超広角の22mm、F1.9のレンズを採用。より明るく、広々とした写真を撮れるようになっている。
IGZO液晶が高精細化し、HDR再生にも対応した。濡れた状態でも、操作が可能。 さらに、メーカーとしては異例となる、アップデートの保証を行う。小林氏によると、「発売後、2年間OSのバージョンアップを約束する」という。
日本のAndroidスマホは、通常、アップデートはキャリアから配信される。そのため、機種によっては発売時のまま、OSのアップデートが放置されてしまうこともあるが、シャープは、安心感を持って使うためには、これが欠かせないと判断したようだ。同社はワイモバイル向けに、アップデートを保障したGoogleの「Android One」を提供しているが、ここでの“気づき”も多かったという。
OSのバージョンアップを、2年間保証するという。 ロボホンで培ったノウハウも投入。人工知能でユーザーに話しかける「エモパー」を進化させ、クレードルに挿すと、AQUOS Rがユーザーの方向に向いて話しかけてくれる「ロボクル」機能にも対応する。
シャープのスマホは、“親しみやすい“という独自のブランドイメージを持つ。ロボット技術を生かすことで、それをさらに強化した格好だ。
ユーザーの方向に回転して話しかけてくれる「ロボクル」。 これまで、Androidスマホといえば、XperiaとGalaxyが知名度の上では「ツートップ」だった。シェアの上ではシャープも健闘はしていたが、存在感を十分発揮できていなかったのが実情だ。
この二強に、ブランドを統一したAQUOS Rがどこまで迫れるのか。新たに生まれ変わるシャープのスマホは、夏モデルの中で注目しておきたい1台と言えるだろう。
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