「マッドマックス 怒りのデス・ロード」(15)の寡黙で献身的なロードウォリアーぶりが記憶に新しいイギリスのセックスシンボル、トム・ハーディが、巨匠リドリー・スコット率いるプロダクションカンパニー、Scott Free London と共に製作し、主演も兼ねるドラマシリーズ「TABOO」。
今年1月にイギリスBBCでシーズン1が放送された際、初回視聴者数が700万人を突破し、すでにシーズン2の製作も決定している話題作の放送が、いよいよ来週から日本でも始まる。
19世紀初頭、アフリカからイギリスに帰還した男、ジェームズ・ディレイニー
トム・ハーディ本人と実父で脚本家でもあるチップス・ハーディが原案を考え、ハーディの主演作「オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分」(14)の監督&脚本家であるスティーヴン・ナイトが脚本を執筆した物語は、端から挑戦的でスキャンダラスだ。
なぜなら、19世紀初頭の粗野極まりない河岸の町、ロンドンに、アフリカからダイヤモンドを手に帰還した主人公のジェームズ・ディレイニー(ハーディ)が、非業の死を遂げた父親に代わって家業の海運業を再興しようとする時、彼の行く手に立ちはだかるのは第2次黄金期を迎えた大英帝国と、植民地の権益を独占するイギリス東インド会社だからだ。
「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(03〜)でジャック・スパロウと何かにつけて対立する"東インド貿易会社"とは、東インド会社を想定したものであることは周知の事実だ。
東インド会社に果敢に戦いを挑んだ男は実在の人物か? それとも…
「TABOO」では、ディレイニーの今は亡き父、ホラスが命と引き換えに死守しようとしたカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の探検航行の拠点で、植民地戦争の紛争地でもあった実在の場所、ヌートカ・サウンドの所有を巡って、ディレイニーと東インド会社、さらに列強の思惑が複雑に絡んでいく。
シーズン1を観た視聴者から、「もしかしてディレイニーは実在の人物か?」との疑問が噴出したのは、栄華を誇った母国の歴史に敢然と戦いを挑んだ男のプロフィールが、あまりにもリアルで魅力的だったからだ。
ディレイニーは歴代の悪役たちに通じるダークサイダー
しかし、ハーディはそれを否定。同時に、「ディレイニーは“嵐が丘”のヒースクリフやハンニバル・レクター、または、オリバー・ツイストに登場する窃盗団の頭、はたまたギリシャ悲劇のオイディプス王に通じるダークサイドを持っていると思うよ」とコメントして、かつて名作を彩ってきた悪役たちを例に挙げて、ディレイニーがそれらと匹敵する魅惑のキャラクターであると明言。
ハーディは同時に、西アフリカのガーナで今も使われている言語、トウィを役のためにマスターして、ディレイニーという人物にさらなる臨場感を書き加えている。
全裸は却下。次期ボンド候補の代表作になる!
ディレイニー役に没頭したハーディは、歴史に忠実であろうとして一部シーンで股間を隠さず、全裸でカメラの前に立ったこともあったとか。
しかし、それらのシーンはレイティング上あえなくカットされた。一部はメディアにリークされたらしいが。リドリー・スコット作品特有の重厚な色彩を背景に、激しい怒りを抑制した演技で表現し尽くすハーディにとって、これは過去の出演作や今後も相次ぐ待機作(次期ジェームズ・ボンド候補にも挙がっている)以上に面目躍如の代表作になる可能性は高いのではないだろうか。
【作品情報】
『TABOO』 スターチャンネルにて独占日本初放送(全10話)
【STAR1 プレミアム】4月25日(火)スタート 毎週火曜 よる11:00~ほか
(※4月25日は第1話無料放送)
【STAR3 吹替専門】5月 4日(木)スタート 毎週木曜 よる11:30~ほか
(※5月4日は第1話無料放送)
© Taboo Productions Limited 2017
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