皆さんこんにちは。初めまして、西原さつきです。
私のことを知らない方も多いと思うので、少しだけ自己紹介をさせて下さい。実は私、今から15年前に性別を男性から女性へと変更しました。
性別を変えるためには、ホルモン治療、性別適合手術、本名の変更などいくつかのステップが必要になるのですが、一応全て終わっています。最近ニュースなどで、もしかしたら耳にする方もいらっしゃるかもしれませんが「トランスジェンダー」と呼ばれる存在です。
トランス = 超える・逆境を行く
ジェンダー = 社会的性別
つまり本来の性別を超えて、他の性別に移行する人たちのことを主にトランスジェンダーと呼ぶそうです。
ただ「性別を変えただけ」なんです
「トランスジェンダー」という言葉が頻繁に使われるようになったのは、ここ最近の話で、それまではメディアは私たちのことを「オカマ」とか「オネェ」と呼んでいました。
もちろんそういった方たちを否定するわけでは無いのですが、例えば私のように「元・男性です」と伝えると「じゃあ、面白いことやってよ!」と言われることが多かったように感じます。けれど、私は何か特別面白い一芸を持っているわけでも無いですし、テンションだってどちらかというと大人しめです。
じゃあどうして、わざわざこのような場所に、何を伝えにきたんだと怒られてしまうかもしれませんね。でも、少しでも皆さんに考えて頂けたら嬉しいなと思って今、原稿を書いています。
性別を変えようと本格的に動き出したのは16歳の頃でした。自身の身体に女性ホルモンの投与を、誰にも言わずに始めました。当然家族にも秘密です。
当時はまだ「性同一性障害」という概念すら浸透していなくて、私たちのような存在は「オカマ」と罵られ、差別の対象になっていました。
「女の子になりたい」なんて口にしようものなら、変態もしくは気が狂った可哀想な人だという認識だったと思います。
そんなリスクを承知の上で、実家を飛び出してホルモン治療を始めました。寝る場所に困って、住み込みのアルバイトをしながら学校に通っていました。どうしても女の子になりたかったのです。
いろいろ大変だった時期(特に性別適合手術前後)を乗り越えて、今では24時間365日を女性として生活していますが、正直こんな生活が送れているなんて夢のようです。
「一生を日陰で送る覚悟を持て」と、当時の先輩にはよく言われていたのですが、最近では「LGBT」という言葉の浸透と同時に、私たち「トランスジェンダー」の社会的認知も進んできているように感じます。
ありがたいですね。
私は現在、自身の経験を講演会や執筆などでお伝えしたり、テレビタレントやモデルとしての活動を生業としています。
そういった場では自身のセクシャリティをオープンにしているのでしょうがないのかもしれませんが、正直かなり特殊な人間を見ているような視線を感じます。
たしかに、なかなかそういった方には会う機会も無いのかもしれませんが、実はそれほど少なくはないのですよ。諸説ありますが、ざっくり言うと「学年に一人はトランスジェンダーがいる」と言われている時代です。皆さんの記憶の中に、思い当たる方はいらっしゃいますか?
話を戻しますが「性別を変えました」と言うと、なんだかすごく特殊な存在のように勘違いされて、差別されたり、気味悪がられたり、逆にすごい才能を期待されたりと、何かと振り幅が大きめな反応が返ってくることが多いのです。
けれど、私からすると「ただ性別を変えただけ」なんです。
ただごく普通に接して欲しいだけなのです
性別を変えたこと以外はごく普通の人間で、当たり前ですけれど友達がいて、仕事仲間がいて、好きな人がいて、産んでくれた親がいます。
性別を変えたことっていうのは、あくまで人生の一部であって、全てでは無いのです。
私の場合、お仕事では自分のセクシャリティに関してたくさんお話しさせてもらいますが、実はプライベートではほとんどその手の話はしません。
結構さっぱりしている性格なので、聞かれたら正直にお話しするんですけどね。
でも、本当に仲の良い人達には案外何も聞かれません。
けれどその方が正直、居心地が良いです。私は何か特別な扱いをして欲しいというわけじゃなく、ただごく普通に接して欲しいだけなのです。
そう思っているトランスジェンダーの方、多いんじゃないかなぁ。
もし皆さんの周りにも私と同じような方がいらっしゃったら、どうかこの記事を思い返してもらえたら嬉しいです。
まとめ
- 性別を変えた人「トランスジェンダー」は、だいたい学年に一人はいる(諸説あり)
- トランスジェンダーは性別を変えたこと以外は、普通の人間である
次回の話では、トランスジェンダーの雇用問題についてお話しします!
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