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【書き起こし】「ラ・ラ・ランド」の監督デイミアン・チャゼルが語る、作品背景と監督志望者への助言

森澤

2017/03/27(最終更新日:2017/03/27)


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【書き起こし】「ラ・ラ・ランド」の監督デイミアン・チャゼルが語る、作品背景と監督志望者への助言 1番目の画像
 日本でも大人気の映画「ラ・ラ・ランド」は、互いに夢を追う男女の苦悩と愛を描いたストーリーである。詳しい情報は、こちらで紹介されている。日本公開以前に既に記録的な興収を挙げていたこの作品は、第89回アカデミー賞にて「タイタニック」、「イヴの総て」に並び史上最多ノミネートとなった。

 この歴史的偉業は、驚くべきことに32歳の若手監督デイミアン・チャゼルによって成された。彼は、2014年の映画「セッション」の監督・脚本も務め、今では名監督の仲間入り。

 本稿で扱うインタビューは、米テレビ番組「Made in Hollywood」によるものである。彼は若き名監督として何を語るのか。以下がその書き起こしである。

映画は、パーソナルであればあるほど良い


ーーこの映画は素晴らしかったです。ミュージカルというと、恥ずかしがり観ないという方が多いですが、どのような人でも楽しめるような作品だと思います。この映画を監督するにあたって、目標はどのようなものでしたか?

チャゼル:そうすることが目標だったよ。僕はこの制作で、ミュージカルを好きではないと思っている人に手を差し伸べることに固執した。思うに、ミュージカルが好きではないと思っていても、本当は好きな人が沢山いる。ミュージカルが、いわれのない偏見を得ていただけだと思うんだ。

ミュージカルやこの映画で取り戻したいと思ったことは、実際には非常にシンプルな考えに基づく―もし感情が高ぶったなら、歌を歌う―というね。それは、十分に感情が高ぶって、恋に落ちたとするならば、常識や論理的思考はもう通用しないということなんだ。

つまりこの、非常に自由で感情豊かな映画製作やストーリーが、素晴らしい方法で音楽を取り入れることを可能にする。

ーー私はライアン・ゴズリングやエマ・ストーンに圧倒されました。ライアンがピアノをあのように弾くのは、他の人が弾いていたと思いました。

チャゼル:みんなそう思うんだ。このことをQ&Aとかで「ライアンの手だよ」というとみんな凄く驚くから、それを言うのが本当に楽しい。

ーー主人公2人のダンスを準備するのに、振付師にはなんと指示をしましたか?

チャゼル:振付を担当したマンディ・ムーアとは本当に協力的で素晴らしい関係を持っていたよ。彼女はただ素晴らしい振付師というだけではなく、新米ダンサーを扱うのにも優れていた。ライアンとエマは、ダンス経験は少しあったけど、プロではない。

だから、彼女は彼らを何カ月かトレーニングして、彼らを基にした振付を作った。これら全てが本当に素晴らしい過程だったと思う。というのも、振付は彼らに押し付けられていず、彼ら特有の動きから考えられたからだ。

ーーこの映画のようなロサンゼルスを私は見たことがなかったです。エマが70もの違う場所で撮影したと仰ってましたが、あなたはどう感じました?

チャゼル:ストレスフルだったよ。この映画はロケが本当に大変だった。撮影の1つの楽しみは、バックロットで撮影されてた昔のハリウッドミュージカルを、実在する場所で撮影するという挑戦だった。

僕らは先ず、交通渋滞した高速道路のダンスナンバーから始めたのだけど、これを実在する渋滞高速道路で撮らなければならなかった。ライアンとエマはダンススタジオでトレーニングを重ねた精巧なダンスを、窪み、坂、未舗装道路がある場所でやらなければならなかった。

これはダンスを更に難しくするけど、僕が映画に欲っしていたリアリズムの側面を足してくれた。

ーー沢山のアカデミー賞のノミネーションをもらったそうですが、どう感じましたか?

チャゼル:最高だよ。

ーー将来監督になりたいという若い人に何かアドバイスはありますか?

チャゼル:僕が(監督経験で)学んだのはなるべくパーソナルにすると良いということだね。そうすることによって完全なる自由を手に入れられる。そういう世界に行ったことがなくても、サイエンス・フィクションや中世の映画をパーソナルにすることは可能だと思うんだ。

それは文字通り自伝である必要はない。「セッション」でもそうだけど、僕は過去に感じたことのある感情に語り掛けるような映画作りをしたかったんだ。僕は実際に(感情が高ぶるあまりに)ワッと歌い始めたことはないし、ライアンとエマがこの映画でしたように星まで浮いて行ったことはない。

でも、その中に表現されたものは感じたことがあると思う。つまり、僕にとって(パーソナルにするということ)はそういうことなんだ。(作品と)文字通りの一対一関係である必要はなく、何を撮影しようと確実にパーソナルにすることなんだ。

EW0001:Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.
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