フラッグシップのPCとデザインテイストを合わせ、Windows 10 Mobile搭載でも話題を集めた「VAIO Phone Biz」が、OSをAndroidに変え、生まれ変わった。「VAIO Phone A」が、それだ。
VAIO Phone Aは、OSにAndroidを採用したSIMフリーのスマートフォンで、好評だった筐体はVAIO Phone Bizのものを流用。アルミから削り出したボディや、最終的な検品をVAIO社の工場で行う「安曇野FINISH」はそのままに、ソフトウェアだけをAndroidに乗せ換えた格好だ。
Androidを搭載して生まれ変わった「VAIO Phone A」
Windows 10 Mobileは、PCのWindowsと共通のアプリが使えたり、大画面の出力してPCのように利用できるContinuumを備えていたりと、他のスマホにはない特徴があった一方で、後発ゆえにアプリが少なく、コンシューマーには使いづらいOSだった。
「ポケモンGo」や「パズドラ」など、スマホでは一般的なゲームも利用できない。VAIO社もVAIO Phone Bizは法人をターゲットにしており、ドコモと協業して販路を開拓していた。
アルミを削り出して作った筐体は「VAIO Phone Biz」そのまま。 これに対し、VAIO Phone Aでは、仕事でも自らのスマホを使う一般コンシューマーをターゲットに据えている。このような利用者に向け、3GとLTEのデュアルSIM、デュアルスタンバイ(DSDS)に対応。会社のSIMカードと個人用のSIMカードの両方を入れ、同時に着信を待ち受けることが可能になる。
ほかにも、音声通話をLTE上で行うVoLTEに対応。データ通信だけでなく、通話もヘビーに使うユーザーにとっては、うれしい仕様だ。
SIMフリー端末では、NTTドコモのVoLTEに対応した機種がまだ少ないだけに、売りになる機能と言えるだろう。また、海外出張で使いやすいよう、3Gの対応周波数を広げ、「Band 5」に対応。北米での使い勝手もアップした。
デュアルSIM、デュアルスタンバイに対応。 これらの機能は、ソフトウェアで対応したものだ。ハードウェア自体はVAIO Phone Bizと同じだが、Windows 10 Mobileの制約ゆえに使えなった機能が、Androidで開放されたというわけだ。
一方で、ハードウェア自体はVAIO Phone Bizとまったく同じ。チップセットにはクアルコムのSnapdragon 617を採用し、メモリ(RAM)は3GB、ストレージ(ROM)は16GBとなる。ディスプレイは5.5インチのフルHDだ。
LTE上で通話を行うVoLTEにも対応する。 チップセットこそやや古い印象はあるが、スペックを見ると、最新のSIMフリーモデルと比べてもそん色ないレベルに仕上がっている。
そのうえで、VAIO Phone Aは、想定実売価格2万4,800円という低価格路線を打ち出してきた。市場全体を見渡すと、性能の近いモデルでは、ファーウェイの「nova」が3万円台後半、ASUSの「ZenFone 3」も3万円台後半と、VAIO Phone Aよりも1万円以上高い価格設定になっている。
もちろん、これらの機種にはカメラやau VoLTEへの対応など、VAIO Phone Aにはない機能的な魅力もあるが、このスペックで2万円台半ばというのは、やはり割安感を感じる。
低価格を実現できた理由として、VAIO社は筐体のデザインや金型を流用できたことを挙げている。昨年発売されたVAIO Phone Bizで、ある程度減価償却できてしまったということだろう。
紆余曲折はあったものの、PCで築いた高いブランド力や知名度もあり、VAIO Phone Aは魅力的な存在だ。
ただ、Androidを採用したがためにPCのVAIOとの関連性が薄くなり、ストレージも16GBと少ない。OSもAndroid 6.0で、最新バージョンへのアップデートは今のところ計画されていないなど、不満点がないわけではないが、コスパは高く、SIMフリースマホデビューを考えている人には、オススメできる1台になるだろう。
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