「Android One(アンドロイド・ワン)」というスマートフォンをご存知だろうか。Googleが各国のパートナーメーカーと協業し、その国にあったハードウェアとGoogle標準のAndroidをベースに展開するブランドだ。
日本ではY!mobileから、2016年にAndroid One,507SHが発売。そして本年、Android One 「S1」「S2」の2機種が発売された。モバイル市場において注目すべきトレンドの一つである。
そもそも「Android One」とは何か?
「Android One」プロジェクトが発表されたのは、2014年6月のGoogle I/Oカンファレンスでのこと。同年9月には、第一弾となるAndroid Oneがインドで発売。これを皮切りに、東南アジアなどの新興国を中心に販売されてきている。
主に展開にしているのは、ローエンドからミッドレンジまでの低価格帯モデルだ。2016年7月のGoogle Japanブログの記載によると、当時において「世界21ヶ国で展開」している。
Android Oneの最大の特徴は、最低1回のOSアップデート、および一定期間におけるセキュリティのアップデート配信が保証されていること。低価格帯モデルが中心となる新興国においては、OSのアップデートが配信されないことが多いため、Googleが提供するブランドならではのメリットとなる。
一方、Googleにとっては、Android Oneが売れることによって、メーカーにカスタマイズされていない「標準的なAndroid OSを搭載する端末」を普及させられるメリットがある。同社の長期的な戦略として、新興国ユーザーに標準Androidを浸透させられる。
2016年発売「507SH」が好調
2016年には日本でも、ソフトバンクが展開にする格安ブランド「Y!mobile」で「Android One, 507SH」が発売。同機は「国内初のAndroid One」として注目を集めた。
同機の製造はシャープが担当。キャップレス防水、防塵に対応するほか、SDカード、ワンセグなどをサポートする所謂「日本仕様」の端末として発売された。
また、省電力性をウリにする「IGZOディスプレイ」を搭載するほか、オクタコアCPU、1,310万画素の背面カメラ、3010mAhバッテリーなどを搭載。標準的なミッドレンジ帯の端末として登場した。
ミッドレンジからハイエンド帯のSIMフリーモデルが、様々なメーカーから販売されている現在。同機はスペック的にさほどインパクトはない。しかし、これがヒットした。
2017年1月18日に開催されたY!mobileの報道発表会では、BCNランキングデータをソースに「スマートフォンの販売台数で大手3ブランドを除く販売台数シェアで約40%を獲得した(2016年4〜12)」ことが明らかになっている。
これを牽引したのが「iPhone 5s」と「Android One, 507SH」の2機種だ。同発表会では、同じくBCNランキングデータをソースに、「(大手3キャリアを含め)Androidスマホのシェアが(1年間で)約2倍に拡大」したことがアピールされた。今やAndroid OneはY!mobileのにとって主力ブランドの一つとなったわけである。
ただし、BCNランキングは家電量販店などで集計されたデータとなっており、大手キャリアの直営店やオンラインショップは含まれないという事情があるため、データの解釈には注意が必要である。
国内第2弾で「S1」「S2」が登場
1月18日の発表会では、Android Oneの第2弾となる「S1」「S2」の2機種が発表された。
そして、S1は2月24日、S2は3月10日にそれぞれY!mobileから発売されている。507SHも継続して販売されるため、実質Android Oneは3機種展開になったわけだ。
S1は、507SHと同じくシャープ製。筐体はフラットなデザインを採用。約5.0インチのフルHD IGZOディスプレイを搭載する。
IPX5/7・IP6Xの防水・防塵をサポートするほか、最大256GBのmicroSDに対応する。一方、ワンセグは利用できない。
S2は、京セラ製。背面はゆったりと膨らんだ形状で、手にフィットしやすい。筐体側面に、U字型の溝があるのも手から滑って落としにくくするためだろう。
画面サイズはS1と同様5.0インチだが、解像度はHD。色彩の表現も、507SHやS1と比べると、やや鮮やかさに欠ける印象を受けた。また、カメラの写りもS1に比べるとやや暗い。
一方、IPX5/7・IP6Xの防水・防塵をサポートすることに加え、米国国防総省の調達基準「MIL−STD−810G」の耐落下衝撃規格にも準拠するのはS2のユニークなところ。強化ガラスと堅牢な構造を採用し、高さ1.22mからの落下試験をクリアしている。
赤外線通信をサポートしているのは、ケータイから初めてスマホに乗り換える人にとって、データを移行しやすくする配慮だ。歩数計機能をプリインストールしていることも、こうしたターゲット層を意識した仕様だと思われる。
両機とも、購入時にはAndroid 7.0を搭載した状態となるほか、発売から最低18ヶ月間、少なくともOSのメジャーアップデート1回と、小規模なセキュリティアップデートが保証される。
ちなみに、ホーム画面には、Y!mobileのオリジナルアプリがフォルダにまとめられてる。この点においては、「完全にピュア」なAndroidというわけではないようだ。同キャリアユーザーにとっての使いやすさが優先されている。
また、Y!mobileの店頭で購入した人を対象に、1,000円分のGoogle Playクーポンコードがプレゼントされる特典も用意されている。こちらは規定数がなくなり次第終了とのこと。
3モデルのスペックを比較
最後に3モデルの価格とスペックを比較しておこう。初代モデルの507SHはワンセグやNFCに対応するし、S1はインカメラやディスプレイの精細さで他機よりも有利だ。
また、S2は壊れにくく赤外線が使える。優先する項目によって、選び方は変わってくるだろう。
留意しておきたいのは、全ての項目で新モデルのS1、S2の方がスペックが高いというわけではないという点だ。
そして、どのモデルもスペックや機能が突出しているというわけではない。あくまで標準的である。ただし、Y!mobileへの乗り換えを検討する人にとっては、価格的に魅力的な選択肢であることは間違いないだろう。
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