2月27日から3月2日に渡って開催された「Mobile World Congress 2017」(MWC)では、大手メーカー各社が、最新のスマートフォンを発表した。
例年であれば、サムスン電子がGalaxyシリーズのフラッグシップモデルをお披露目していたが、今年は「Galaxy Note 7」の発火問題を受け、発表を延期。その王者の不在の穴を埋めたのは、躍進中のファーウェイだった。
もはや日本メーカーを追い越したファーウェイ
ファーウェイは、MWC会期前日にプレスカンファレンスを開催。同社のフラッグシップモデルの一翼を担う、「P10」「P10 Plus」の2機種を発表した。「スマートフォンのカメラにブレークスルーをもたらしたい」(コンシューマー・ビジネス・グループCEO、リチャード・ユー氏)というように、両機種の特徴はデュアルカメラにある。
「P10」と「P10 Plus」の2機種を発表したファーウェイ。 これまで同社は、ライカと協業し、デュアルカメラを他社に先駆け、導入してきた。P10、P10 Plusでは、この画質を向上させている。
ファーウェイ端末のデュアルカメラは、片側がモノクロセンサーで、もう一方がカラーセンサーとなる。精細なモノクロセンサーで写真を撮り、それに色付けしていくという仕組みだ。P10、P10 Plusは、このモノクロセンサー側が2,000万画素になっており、先代のP9よりも解像感の高い写真を撮れるようになった。
加えて、インカメラも強化。従来モデルでは、ライカのブランドはアウトカメラにしかついていなかったが、これをインカメラにも拡大した。協業の成果として、ポートレートをよりキレイに撮れる機能を搭載。被写体の数に応じて自動的に画角を調整する機能にも対応し、セルフィー需要も取り込んだ機種に仕上がっている。
インカメラもライカと協業し、背景ボカシなどをかけられるようになった。 ファーウェイは、2013年のMWCでブランドの刷新を発表。「Make It Possible」をスローガンに掲げ、スマートフォンやコンシューマー向け事業を強化してきた。
その後、販売台数やブランド力を徐々に増やしつつ、昨年発売されたP9で、初めてライカと協業。これがヒットし、P9、P9 Plusの合計で累計販売台数が1,000万台を突破した。新たに発表されたP10、P10 Plusは、ここからさらに「30%増を狙っていきたい」(ハンドセットプロダクトライン・プレジデント、ケヴィン・ホー氏)という。
2013年にブランドを刷新するとともに、「P6」をMWCで発表。そこから4年かけ、シェアも大きく伸びている。 戦略的に、同社が注力しているのがミッドレンジ以上のジャンルになる。ファーウェイはインフラベンダーとして成長してきた会社で、元々は基地局やコアネットワークを主力にしていた。
端末は、あくまでもその“オマケ”という位置づけで、キャリアを介し、安価なモデルを世界中に展開していた。その方針を大きく転換して、ブランド力向上に力を入れ始めたのが、先に挙げた2013年のMWCだったというわけだ。
インフラベンダーとして培った技術力をベースに、デザインやカメラ機能を強化した結果、ブランド力が必要となるフラッグシップモデルも徐々にグローバルで受け入られるようになった。P10、P10 Plusでも、この基本戦略は踏襲している。
「非常に評判がよかった」(ユー氏)というライカとのコラボはさらに強化。緑系の「グリナリー」と、青系の「ダズリングブルー」の2色は、色見本でおなじみのPANTONEとコラボし、デザイン性も高めた。
「グリナリー」と「ダズリングブルー」の2色は、PANTONEとコラボ。 ネットワーク技術では、P10 Plusが、4つのアンテナを搭載し、通信速度を上げる「4×4 MIMO」に対応した。ホー氏も、「このアップデートには競争力がある」と自信をのぞかせており、日本での発売も明言。発売時には、再び大きな話題を呼びそうだ。
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