フェラーリといえばリア・ミッドシップエンジンのイメージが強いが、現在のフラッグシップモデルに当たる「F12ベルリネッタ」はフロントにエンジンを搭載したモデル。その「V12ベルリネッタ」の新型モデル「812 Superfast」が発表された。
3月7日からスイスのジュネーブで開催されるジュネーブ国際モーターショーで世界初公開される。同社が初めて市販したモデルの誕生から70周年に当たる節目に登場した“史上最強”フェラーリのスペックに迫る。
歴代市販車“最強”のエンジンを搭載
ロングノーズ・ショートデッキの見本のようなデザインの車体に搭載されるのは、フェラーリが“プロダクション・エンジン史上最強”と謡う800cv(588kW)を発揮するV型12気筒エンジン。
ターボなどの過給器を使用しない自然吸気エンジンでこのハイパワーを実現したのは、自然吸気時代のF1由来のコンセプトに基づく設計と、初採用された350バールの高圧ダイレクトインジェクション、そして可変吸気システムだ。
最高出力は8,500rpm、最大トルクの718Nmは7,000rpmで発揮するエンジンは高回転型の印象だが、3,500rpmから最大トルクの80%以上を発生させるため、低回転域でのドライバビリティは高い。低回転でも扱いやすく、トップエンドまで“スリリングに湧き上がる”と表現されるパフォーマンスが最大の魅力だ。
伝統的な文法に沿いながら革新的な機構を採用
スタイリングはフロントエンジンフェラーリの伝統的なファストバックスタイルで、1969年に登場した名車「365GTB4」を思い起こさせるもの。長いフロント部と短いテーブ部の対比を、彫刻のように削り込まれたサイドのデザインを強調している。
フロントのアンダーボディにはアクティブ・フラップなどの空力デバイスを搭載。そしてボディの後方側面にはエアロダイナミック・バイパスを設けてダウンフォースを起こす前例のない機構が採用されている。
スタイリングと空力性能を統合したデザインこそ、「速いクルマはカッコいい」というフェラーリの伝統に則ったものだ。そのボディは70周年を記念した特別色「ロッソ・セッタンタ(70周年レッド)」で塗装される。
最新の制御技術で機敏ながら乗りやすいハンドリング
随所に70年の伝統を感じさせる仕上がりのマシンだが、最新技術の採用にも手抜かりはない。フェラーリでは初採用となるEPS(電動パワーステアリング)を装備し、同社が特許を保持するサイドスリップコントロールと統合制御。これによってパワフルなエンジンの後輪駆動のマシンを容易に手懐けることができる。
また、車体制御にはバーチャル・ショートホイール2.0システムを搭載し、操作に対する応答時間の短い機敏なハンドリングも実現している。
人間工学に基づき、余分な肉を削ぎ落としたようなインテリアには最新のインフォテイメントシステムや、エアコンディショニングユニットを採用するなとインターフェイスも革新的なもの。そのコックピットに収まることができるドライバーがうらやましくなる。
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