2月22日、NASAはアストロバイオロジー(宇宙での生命存在を探求する学問)の分野において重要な発表を行った。発表の要点を以下にまとめる。
「トラピスト1」系に地球サイズの系外惑星
出典:www.nasa.gov 2月22日、NASAは39光年先の赤色矮星「トラピスト1」という恒星の周りに、地球とほぼ同サイズの7つの系外惑星を発見したことを発表した。その大きさは地球の0.76~1.13倍で、観測にはヨーロッパ南天天文台のVLTや、NASAのスピッツァー宇宙望遠鏡などが用いられた。
太陽系にとっての系外惑星は、太陽系の外の恒星の周囲を公転する惑星のことで、1990年代の観測技術発達により、3,000あまりの系外惑星が確認されている。
この「トラピスト1」系の惑星は、2016年に3つが確認されていた。しかし、観測上のエラーが見つかり改めて精査したところ、7つの系外惑星の存在が明らかになった次第だ。
地球に似た環境が期待される理由:「スーパー・アース」と「ハビタブルゾーン」
出典:www.nasa.gov これらの系外惑星のうち6つは、質量・成分(主に岩石質)の観点から地球に近いとされる、いわゆる「スーパー・アース」である。
また、「トラピスト1」は太陽と比べて暗く冷たい恒星だが、恒星・惑星間の距離が太陽系のそれの数十分の1と短く、幾つかの惑星には適度な温暖さが期待される。
実際、少なくともうち3つは、恒星からの距離がちょうどよく、干上がったり凍りついたりせずに液体として水が存在する可能性がある「ハビタブル(生命の棲息可能な)ゾーン」上に位置しているという。
同一惑星系内に3つも「ハビタブル惑星」が存在する例は珍しく、わずかこれだけの範囲に3つも生命の可能性があるなら宇宙全体では?と、思わず想像も膨らんでしまう。
発表された論文を掲載した英科学誌ネイチャーでは、これらを「地球の7つの妹」と呼称している。
今後ハッブル宇宙望遠鏡やその他最新の観測システムによる観測が見込まれるこれらの惑星群だが、地球から39光年という文字通り天文学的な距離を隔てるため、探査などの実際的なアプローチには光速移動など、何らかの技術革新が求められることは必至である。
しかし、このわずかな範囲に複数のハビタブルな環境の可能性を示唆した今回の発表は、地球外生命体の存在可能性について、我々に新たな地平を切り拓いてくれたといえる。未知との遭遇は、そう遠くないところまで来ているのかもしれない。
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