先日、北朝鮮/朝鮮民主主義人民共和国の現最高指導者金正恩氏の異母兄である金正男氏がマレーシアの空港で暗殺された。日本の報道局はマレーシアが北朝鮮と「国交」を結んでいることを異例のように報じているが、実際のところはどうなのだろうか。
今回は、日本と国交のない北朝鮮という国・北朝鮮と国交を結んでいる国について伝えたい。
北朝鮮という国は情報が少ない
外務省によると北朝鮮の面積は12万余平方キロメートルで朝鮮半島の55%、日本の33%にあたる。人口は2,515.5万人(2015年、国連経済社会局人口部)であり、日本とは国交を結んでいない。
朝鮮半島にある北朝鮮と韓国/大韓民国はひとつの国であったが、第二次世界大戦で日本が敗北したことをきっかけに2つに分けられた。南下政策を進めていたソビエト連邦とアメリカ合衆国の間で取り合いが起こり、北側をソ連・南側を米国が応援したせいで朝鮮戦争が勃発したのだ。
同じ民族を2つに分けたことは日本をはじめとする世界に責任があり、いつ戦争になってもおかしくない事態にしてしまったことは第二次世界大戦のツケなのかもしれない。
北朝鮮は閉鎖的な国であり情報が少ないとされる。街並みや一般人の生活状況も詳しくは分からないが、脱北者が後を絶たないことや気候から推測するに慢性的な食糧難にあると考えられ、日本からも支援物資が送られていた時期があったが拉致や核ミサイルの問題が解決しないために打ち切られた。
北朝鮮と国交を結んでいないのは26カ国“だけ”
日本に住んでいると北朝鮮と国交を結んでいる国は少なく感じるが、実際は違う。むしろ、国交を結んでいない国の方が少ないのだ。
現在、北朝鮮と国交を結んでいるのは166カ国でロシア・中国・ドイツ・イギリス・スペインが挙げられる。ロシアや中国は朝鮮戦争時から北側を支援していたので省くとして、EU加盟国が並ぶことからも国交を結ぶのが異常だという認識は間違いということが分かるだろう。
ちなみに、国交を結んでいない国には日本・アメリカ・韓国・フランス・アルゼンチンが挙げられる。日本やアメリカは朝鮮戦争時に南側(つまり韓国)を支援していたことから推測がつくが、他の国々がなぜ国交を結ばないのか気になるところだ。
しかし、国交を結んでいるからといって友好的な関係とは言い切れない。
出典:www.globescan.com GLOBE SCANが行った調査によると、国交を結んではいても北朝鮮が自国に対し悪い影響を与えていると答える国が多いのだ。国境を結んでいない日本や韓国が91%というダントツの数字を叩き出すのは分かるが、他の国もあまり良い印象を抱いてはいないらしい。
国交を結ぶことと友好的な関係であることは全くの別問題であることが伺える。
マレーシアと北朝鮮は友好国
国交を結んでいても友好関係にあるとは限らないが、マレーシアと北朝鮮はその中でもおおむね友好関係にあるといえる。理由として、マレーシアにはチャイナタウンならぬ北朝鮮街と呼べるコミュニティがあり、国際社会に関わる窓口となっているのだ。
街中には北朝鮮国営のレストランもあり、港や炭鉱に出稼ぎに行く国民もいるという。また両国間はビザ取得の必要がなくマレーシアから北朝鮮へ旅行するツアーも組まれている。
ビジネスの場として人気のマレーシアだが、2003年にはマレーシアから出航しオーストラリアへ向かった船の中から北朝鮮産とみられるヘロインが発見され問題となった。
これにより北朝鮮と友好関係にあるマレーシアの姿勢も疑問視されたが、ここで関係を打ち切っては北朝鮮が世界と繋がる窓口をまたひとつ失うことになるのだ。それは、世界からしても良いこととは言い難いのではないだろうか。
今回、金正男氏が暗殺されたことは決して許されてはいけないが、これにより北朝鮮が更なる経済制裁を受け国民の暮らしが苦しくなるのは懸念すべきことだ。
国同士の問題というのは非常に難しく一筋縄ではいかないが、偏った情報に踊らされるだけではいけない。互いの国を知ることからはじめ、いつの日かわだかまりが解けるのを願っている。
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