2017年の春節(旧正月:今年は1月27日〜2月2日)が終わった。中国では春節は家族や親しい友人と夜通し過ごすのが古くからの習わしだが、経済発展と共にその姿も変わってきている。
春節をはじめとする休暇期間中のバケーション先を日本に決める中国人は多いが、彼らはなぜ日本を選ぶのだろう。
今回は、数多くの魅力的な旅行先から日本を選ぶ中国人のタイプについて考えたい。
日本を訪れる中国人たち
日本政府観光局/JNTOによると、2015年に訪日した中国人は499万人を突破した。2014年は240万人を超えるほどであったので、およそ倍である。海外旅行者全体としての数も増えてはいるが、倍にはなっていない。海外旅行支出も2,922億米ドルを突破しており、いま中国は空前の海外旅行ブームと言えるだろう。
世界各国・地域への旅行ランキングを見ると日本は6位、上位には香港・マカオ・タイ・韓国がある。しかし、7位にはアメリカ合衆国があり10位にはフランス共和国・13位にはドイツ連邦共和国と並んでいるので、距離で旅先を選んでいるわけではなさそうだ。
春節ばかりが注目されがちだが、実は全体としての訪日人数は7・8月の方が春節のある1・2月よりも多い。2015年の春節は2月18日~24日で2月の訪日人数は359,080人だったのに対し7月は576,868人。8月は591,510人を記録した。
春節の経済効果
春節といえば爆買いというイメージが強いが、実際にどれくらいの経済効果があるのだろうか。
中国メディアによると2015年の春節期間に訪日した中国人の消費金額は約60憶元(日本円にして約1,140憶円)にのぼったらしい。1人あたりの消費額は28.4万円を超え、全外国人観光客の平均額である15.1万円を大きく上回っている。
また、訪日中国人は定番の電化製品や高級腕時計などのほかに保温機能つきの水筒やウォシュレット付きの便座・紙おむつを購入する人も多く、品質の良い日常品をまとめ買いしている印象も受けた。これは、日本製品が広く信頼されている証拠だろう。
リピーターが少ない現状
日中関係の悪化などが囁かれる中でも訪日中国人の数は増え続けている。なかでも20代~30代の観光客が全体の6割を占めており、文化交流ができていると思われるのだが……。
2006年には12.5日だった平均滞在日数が2015年には5.8日にまで減っており、日本に2回来たことがある人は全体の13%だ。上々の数字かもしれないが、「文化を理解するには2度訪ねてから」というので、是非とも訪日回数を増やしてほしい。
今回は訪日人数や消費額から春節・訪日中国人を分析していった。反日感情が深いともいわれる中国の若者が日本を訪ねてくれることは文化的にも交流的にも良い点が多く、非常に注目するべき点だ。
次なる戦略としては買い物だけに限らぬ日本の魅力を押し出し、リピーター率を高めていくことではないだろうか。観光と爆買いの先にある文化交流と両国の関係に期待したい。
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