関西電力系列の電気通信事業者で、MVNOサービス「mineo(マイネオ)」を展開するケイ・オプティコムが、新しいモバイルサービス「+SIM(プラスシム)」を発表した。
日経電子版をお得に読める格安SIMが登場
「+SIM」は、コンテンツと格安SIMをパッケージ化したサービス。第1弾として、2017年3月1日から「日経電子版+SIM」が発売される。
メディア向けの説明会に登壇した、ケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏。 「日経電子版+SIM」は、日本経済新聞社が提供する日経電子版の購読料と、5GBのLTEデータ通信を組み合わせたもの。
日経電子版の購読料は月額3,889円(税抜)だが、「日経電子版+SIM」では、月額4,946円(税抜)で日経電子版が読めて、5GBまでのネットが使い放題。
つまり、本来の購読料に1,000円ほど追加するだけで、5GB分のデータ通信が使える計算になる。5GBまで使えるデータ通信専用の格安SIMの相場が月額1,600円なので、「日経電子版を600円安く読める」と捉えることもできる。
大手キャリアの契約で日経電子版を購読する場合と比べると、4,000円近い節約につながる。 なお、日経電子版は、Web形式で読めるほか、紙の新聞と同じものを「紙面ビューアー」アプリで読むこともできる。
そのダウンロードに要するデータ通信量は1カ月で約3GBとのこと。5GBのプランで、毎日モバイル回線でダウンロードしたとしても2GBは残る計算だ。
より多くのデータ量が必要な場合は、月額5,946円(税抜)の10GBプランを選択可能。また、5GB・10GBプランのどちらも+700円で音声通話・SMS付きにできる。
日経電子版+SIMのプラン一覧。3月1日~4月27日に申し込んだ場合は、事務契約手数料3,000円が無料になる。実は20代が最も多い電子新聞の購読者
日経電子版の登録会員は339万人(2月1日現在)に達するが、このうち有料会員は50万人(日本経済新聞社が1月7日に発表)。
多くの人が、無料で読める範囲で日経電子版を利用しているのが実情だ。ケイ・オプティコムが「+SIM」のターゲットにしているのは、この無料会員層となる。
ビジネスマン層に読者が多い日経新聞だが、電子版に関しては20代の読者が最も多く、伸びも顕著だという。
若い世代のほうが電子媒体に親和性が高いことに加え、就職活動を機に、日経を読み始める人が多いことも、その理由と言える。
財団法人新聞調査会が発表したデータによると、電子新聞に支払ってもいい購読料として、最も多かったのは「1,000円未満」だったという。
「日経電子版+SIM」は、音声通話付きの5GBプランでも月額5,646円(税抜)なので、現在、大手キャリアのスマホを契約している人が乗り換えた場合は、「毎月の利用料が1,000円ほど安くなり、さらに日経を始められる」ということになる。
日経電子版は、通常の契約と同様にアカウントの認証によりマルチメディアで購読できる。「日経電子版+SIM」を挿したスマホでなくとも、手持ちのタブレットやノートPCで読むことも可能だ。
100万契約を早期に達成するための新戦略
ケイ・オプティコムが提供する格安SIM「mineo」は、今年1月に契約件数が50万件を突破し、2月16日現在では54万件を超えている。
多くの業種が参入し、鎬を削るMVNOの中で、シェア4位につけている。しかし、まだまだ先行投資の段階で、上田氏いわく「ぎりぎり赤字か、とんとん」という。
同社は2017年度末に100万契約を達成することを目標に掲げている。そのために、全国放映のCMを流したり、東京・渋谷に旗艦店を構えるなど、ここ最近、攻めの姿勢を強めている。
2月1日には渋谷センター街にmineoの旗艦店をオープンさせた。今回発表された「+SIM」は、パートナー企業と提携する新しいB2B2C事業として展開。 今回発表された「+SIM」も、早期に100万契約を達成するために導入されたもの。同社が今後、契約件数などを発表する際は「mineoと+SIMの総数を発表し、その中で+SIMがどれくらいを占めるかを明らかにしたい」とのことだ。
なお、詳細は明かされなかったものの、すでに「+SIM」の第2弾として交渉を進めている案件があるそうだ。
キャッチコピーは、「ジブン、アップデート。」。 価格だけでなく、付加価値での差別化を模索するフェーズに入った格安SIM。ユーザーは各社の動向やサービスに注目すべきだろう。
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