深刻な経営難に陥っている東芝が、東証2部に転落する可能性が強まってきた。
長きに渡り日本経済を牽引してきた大企業の崩壊は、2017年上半期最も記憶に残るトピックとなるかもしれない。
半導体会社の株式売却延期へ
2月15日、東芝は3月中に予定していた半導体事業の新会社の株式売却を、4月以降に延期する見通しを明らかにした。
東芝は評価の高い半導体事業を分社化し、その株式売却による売却益によって3月末時点で債務超過を乗り切ろうと画策していた。この債務超過に関しては2月14日の会見の中で、昨年12月時点で1,912億円と明かされ、同時点の当期純損失は4,999億円とのこと。
今回の株式売却延期により、3月中の債務超過解消は極めて難しくなった。57年間保持し続けた東証第1部のポジションも、失う見通しが強い。
延期の決め手としては、投資家との間での株式売買の条件が芳しくなかったことが考えられる。現状、十分な売却益を得られないために、当初20%としていた売却割合の最大100%への引き上げも視野に入れての再検討が必要と判断した。
過半数以上の株式売却は、そのまま経営権の譲渡を意味する。東芝は半導体事業を事実上手放すことも辞さない覚悟で、今後の交渉に臨んでいくと見られる。
最大の原因は原発事業の失敗
昨年は粉飾決算報道が大きな波紋を呼んだ東芝。日本経済の雄であった東芝の経営が火の車となったきっかけは何だろうか。
14日の会見で綱川智社長は、債務超過転落や半導体事業を事実上手放す羽目になった原因として、「米国の原発事業が一番大きい」と語った。
2006年に東芝は米原子炉メーカーのWH(ウエスチングハウス)を買収した。しかし福島の原発事故の影響による基準の厳格化なども手伝い、米国での原発開発において多数の「コストオーバーラン(諸要因による開発見積額の増額、つまり当初の予定より費用がかさむこと)」を生むなど、結果的に米原発事業における損失額は7,125億円まで膨れ上がった。
このように債務超過転落の元凶となった原発事業の拡大だが、半導体事業を失いかけている今、原発事業は残された唯一の主力事業でもある。綱川社長は今後も原発事業を継続する意思を示している。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう