2月14日にハイブリッドカーの世界での販売台数が累計1,000万台を達成したことを発表したトヨタが「プリウスPHV」の新型をリリース。
プラグインハイブリッド車(PHV)は同社がハイブリッド車に次ぐ「次世代環境車の柱」と位置付けており、このモデルはその基幹となる車種だ。
電気だけで68.2kmの走行が可能
プラグインハイブリッド車とは、ハイブリッド車よりも大容量のバッテリーを搭載し、外部からの充電も可能としることで電気のみでの走行(EV走行)できる距離を伸ばしたもの。
新型「プリウスPHV」は容量25Ah(総電力量8.8kWh)の駆動用バッテリーを搭載し、68.2kmのEV走行が可能となっている。これは初代モデルの26.4kmの2倍以上となる数値で、日常的な使用ならば、ほぼEV走行でまかなうことが可能となった。
モーターは53kW(98PS)の駆動用に加えて、23kW(31PS)を発揮する発電用のモーターも走行時に使用。
この「デュアルモータードライブシステム」によって力強い加速を実現するとともに、EV走行時の最高速度も135km/hまで高められている。
多彩な充電システムに対応
充電システムも充実しており、普通充電は200Vと100Vに対応。200Vコンセントのない家庭でも、納車されたその日から充電することが可能となっている。
ただ、200Vでは満充電まで約2時間20分で済むが、100Vの場合は約14時間と、その部分でのスペックはだいぶ差がある。
もちろん、高速道路のSAなどに設置されている急速充電にも対応しており、こちらは約20分で満充電量の80%まで充電が可能だ。
また、市販車では世界初となる大型のソーラーパネルをルーフに搭載(オプション)。これによって駐車中も太陽光による充電を可能としている。このソーラーシステムで1日平均2.9km、最大で6.1km走行する分の電力を作り出すことができる。
組み合わせられるエンジンは1.8Lで、最大熱効率40%を実現した高効率なもの。ハイブリッド走行時も37.2km/Lと「プリウス」の標準グレードと同等の燃費を実現している。
外部給電機能や先進のナビシステムも搭載
大容量のバッテリーから、外部の機器に電源を供給できる機能も搭載。出力は1,500Wで家電なども動かすことが可能だ。このモデルではエンジンをかけずに給電だけを行う「EV給電モード」も追加され、排気音を出さない状態での電源供給も可能に。
エンジンをかけて発電する「HV給電モード」では1,500Wの出力で2日程度の電力を供給できる。外部への給電は写真のアクセサリーコンセントを使用して行えるほか、車内にも2箇所のコンセントが装備されている。
車内のセンターコンソールには11.6インチの大型モニタを装備。常時接続の通信モジュール(DCM)と「T-Connect」ナビゲーションシステムを搭載し、通信で取得した渋滞情報を活用したルート案内などを利用できる。
クルマから発信される情報を基にオペーレーターや販売店からアドバイスを受けられる「eケア」や、離れた場所から充電の確認や操作、エアコン操作などができる専用スマホアプリ「Pocket PHV」も提供される。
カメラとミリ波レーダーで前方を監視し、前方車両だけでなく歩行者も認識する衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を全車に標準装備し、安全対策にも抜かりはない。
PHVが次世代エコカーの本命と期待される理由
ハイブリッド車が特別なものでなくなり、その次のエコカーは? と市場を見渡せば、トヨタ「MIRAI」などの燃料電池車や日産などが力を入れる電気自動車(EV)が目に入ってくる。
ただ、前者はインフラ整備などに時間がかかるため、普及にはまだまだ時間がかかる存在。EVについては、インフラ整備も進み、航続距離の長いものも登場しているものの、ユーザーが安心してバッテリーを使い切れるか? という心理的な要因が普及の足かせとなっている。
PHVの強みは「電気を安心して全部使い切れる」こと。普段はEVとして使えて、いざ充電が切れたとしても通常のハイブリッド車と同様に走り続けることができるからだ。ユーザーにとっては、この安心感はクルマ選びの際に大きなポイントとなる。
エコカーは普及してこそ環境への貢献になるというのがトヨタの考え方だが、この普及のハードルの低さこそ同社がPHVを「本命」に据えている理由だ。
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