2013年に安倍内閣が16歳から19歳の教育機関を対象に「2018年には国際バカロレアDP認定校を200校まで増やす」と、発表してから4年が経とうとしている。
国際的な活躍を見通して国際バカロレアへの入校を目指す親もちらほら見られる。今後、国際バカロレアを受けた人材と一緒に仕事をする日が訪れるのも遠くない。
今回はその国際バカロレアについて振り返ってみる。
ユニークな思考を鍛える世界水準の全人教育
国際バカロレアとは、ジュネーブに本部を持つ「国際バカロレア機構」が提供する国際的な教育プログラムなどのことを指す。
複雑化する世界に対応できるよう、未来に対して問題意識や責任をもって自ら行動がとれるようにするとともに、国際的に通用する大学入学資格を与え、大学進学のルートを確保する目的で組まれたものである。別名IB(International Baccalaureate)とも言われ、挑戦的な総合教育を目指す。
カリキュラムは、年齢に応じて4種類あり、3歳〜12歳対象のPYP(Primary Years Programme)・11歳〜16歳対象のMYP(Middle Years Programme)・16歳〜19歳対象のDP(Diploma Programme)とキャリア関連のCP(Career-related Program)
である。このうち安倍内閣が目標にしているのは「DP」である。
「国際的な視野」を持つ人材を目指す
国際バカロレアの使命は、いままで曖昧な意味で使われていた「国際的な視野」を改めて定義づけ、その理想に近づくために実践を通した教育を実施していくことである。
「国際的な視野を持つ人材とは何であるか?」という問いが中核におかれ、具体的にIB認定校では、その人間性を以下10の人物像で表わしている。
国際的な人材輩出を目指す
グローバル化と叫ばれるようになってから、日本の教育方針も少しずつ海外進出を目指した人材育成の試みを開始。例えば、小学校での英語授業の導入などである。近年では、海外への大学進学も進路の選択肢に入ってきている。
DPと呼ばれるカリキュラムの課程を履修し、ディプロマと呼ばれる認定証書を取得できれば、その認定を認める世界の大学進学の資格を獲得できる。
教科の枠にとらわれない探求型学習
従来は、教師が生徒に教えるという、生徒が受け身の姿勢になりがちであった。しかし、このカリキュラムでは生徒1人1人が物事を多角的に見て、判断し行動するといった探求の形がとられる。
これは、問題解決や人との恊働をする場を授業の中で作り出し、実践させることを可能にする。また授業内容に伴い、育成評価基準も変わり、成績での一律化ではなく性格を含めた多方面からの評価が行われる。
日本導入の課題点
IBで認められている言語が英語・フランス語・スペイン語であり、今まで日本の認定校は全ての授業を英語で行わなければならず、普及に至らなかった。
しかし、2013年に日本語との併用が認められ、認定基準のハードルが以前よりも少し下がった。これで、日本が本格的な導入を検討し始めた。
続々と導入が考えられるはずだったが、IBの認定基準が未だに厳しかったり、IBカリキュラムを教え評価する教師の育成にも労力がかかったりとIB認定校に踏み切れずにいる現状も数多くある。
2018年に200校という目標に対して、2016年12月1日の文部科学省の発表によると、世界の140以上の国と地域で4,677校存在し、そのうち日本では15校に留まっている。
国際的な人材輩出の可能性が大いに見込まれる国際バカロレア。昨年は岐阜県の某幼稚園が全国で初めて認定されるなど少しずつではあるが、導入の兆しが見られる。
政府も来年までに定めた目標に向けて、今年はより一層力をいれていくのではないだろうか。今後の動向に注目したい。
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