「今日はなんだかいいことがありそう」といった“良い予感”。また、「これは失敗してしまいそうな気がする」という“悪い予感”。恐らく誰もが経験したことがあるだろう。しかし、予感という、どこか胡散臭いものを全面的に信じている人は少ないのではないだろうか。
予感というと、どうしても予知能力のような怪しいものを連想してしまう。しかし、今回紹介する『予感力ー人生を決める! なぜか「ツキ続ける人」の習慣術』の著者、西田文郎氏によれば、「予感力」というものは、誰の脳にも存在している科学的なパワーを生かす方法なのだ。
同氏はメンタルマネージメントの権威であり、スポーツやビジネスなど、あらゆる分野で成功者を輩出している。成功するための思考、習慣とは、いったいどのようなものなのだろうか。
「予感」の正体を知る
エジソンの名言に「天才は1%のインスピレーションと99%の汗によって生まれる」というものがある。この発言は努力の重要性を説くものである、というのが一般的だ。
しかし、「1%のインスピレーションがなければ99%の努力も無駄になる」というのが真意だと主張する人もいる。西田文郎氏もその一人で、そのインスピレーションこそが「予感力」であると主張する。
予感の正体は「無意識」なデータ検索
情報を引き出すプロセスには「流動型」と「結晶型」の2種類がある。「流動型」は意識して記憶のネットワークを使う思考のプロセスであり、分析して結論を出す作業のことである。一方、「結晶型」とは無意識で行われる脳の記憶データの検索作業であり、こちらが予感に該当するものだ。
通勤の際、「今日は郵便局に行くからこっちの道を行こう」と考えるのは「流動型」の作業である。しかし、毎日のように通っている道であれば、別のことを考えながらでも目的地に向かって歩くことができる。これは、意識することのない、「結晶型」の作業が行われているからだ。
いつもと違う道を選んだことで“幸運にも”事故を避けることができたとき、周りの人や、あるいは自分自身もそれを奇跡だと捉えるかもしれない。しかし、それは「結晶型」のプロセスによって危険を察知したことによる必然だったともいえる。
「予感力」を高める9つの習慣
次々にひらめきが起これば、物事が成功する確率も高くなるだろう。では、次々にひらめきが起こるように「予感力」を高めるにはどうすればよいだろうか。
#1:「夢のような未来」を具体的に想像する
子どものような感覚で「こうなれたらいいなぁ」ということをイメージする。叶うかどうかは関係なく、現実的な状況は考えず、空想のみを思いきり飛躍させる。
「この生活でいいのだ」と諦めてしまうことが、最も「予感力」を低下させてしまう。<夢のような未来>を信じられないのは、世の中の固定観念に押さえつけられて自分の可能性を押し殺してしまっているだけである。
#2:夢の実現に<疑いの心>を持たない
<疑い>があると、感情、イメージ、思考のすべてがプラスの状態「メンタルヴィゴラス」にはならない。「ワクワクする将来のイメージ」が脳にあれば、脳は無意識のうちに情報を分析し、さまざまな予感を意識上に与える。
#3:ひらめいたことはメモする
脳は常に回転しているため、ひらめきが浮かんでもすぐに忘れてしまう。メモをとる習慣があれば、<いい予感>を忘れずに活用することができる。また、予感するだけではなく、行動に移す必要がある。
#4:人を褒め、自分も褒める
人は褒められることで承認欲求を満たし、<いい予感>を感じる。相手の長所や成果を褒めて<いい予感>を感じてもらう。また、褒めてもらうことを期待するよりは、自分自身を褒める習慣をつける。
#5:まわりの人に「笑顔」で接する
相手に<いい予感>を与えるには「笑顔」も効果的。特に『モナ・リザ』のような<優しさの笑顔・微笑みの笑顔>は相手に快感情を与え、誰からも好感を持たれるようになる。
#6:笑えないときこそ笑ってみる
アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズの有名な言葉に、「悲しいから人は泣くのではない。泣くから人は悲しくなるのだ」というものがある。
辛い状況でも、ゆとりのある表情をすることで、だんだん嘘が嘘でなくなり、楽しいことが起こりそうな気分をつくることができるのだ。
#7:「うまくいっているときのイメージ」を持ち続ける
by k14 イチローが常にヒットを打つときのフォームをイメージしているように、一流のスポーツ選手は<自分が一番上手くいっているとき>のイメージを常に持っている。
脳に「快」のイメージがあれば、脳はその状態に自分自身を忠実に導いてくれる。
#8:物事をすべて簡単に考える
「世の中はそんなに甘くない」とはいうが、実際のところ、甘く生きていても上手くいっている人はいくらでもいる。「不景気で儲からない」と言いながら、しっかり利益を積み上げる経営者もいる。
現実をありのままに見れば、あらゆることが難しくなくなり、自分の脳にあるイメージが結果を左右していることがわかる。物事をシンプルに考えることで、「自分には無理だ」という思考停止が解け、「自分にもできる」という<いい予感>に変わる。
#9:「マイナス言葉」を使わない
頻繁に頭をよぎる否定的感情を「フラッシュバック」という。「フラッシュバック」は大脳辺縁系や脳幹のイメージを傷つけ、脳の予感をネガティブなものにしてしまう。
否定的感情は「持つ」「言う」「考える」という3つの行動によって連鎖される。嫌なことがあっても口に出して言わないようにし、また、否定的なことを考え始めたら、「これはナシ」「もう忘れた」と切り離して考えるとよい。
不満を口にしてしまったら「イエス・バット法」を使う。「あの上司は部下の意見に耳を貸さない」と言ったら、すぐに「でも、あの上司を動かすようなアイデアができたら面白いだろうな」と続け、フラッシュバックを<いい予感>に変える。
「予感力」にはポジティブ心理学と似た面があるように思われる。それは決して怪しいものではなく、物事を良い方向に導くために必要な心・体の状態を作り出す実践的な理論なのだ。
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