先のアメリカ合衆国大統領選には、「フェイク・ニュース」が関わっていたらしい。世界のリーダーともいえるアメリカの大統領となったドナルド・トランプ氏だが、支持者の個人サイトやネットニュースは不透明な情報や予測を真実のように伝えることで話題だ。ネットが発達した現代において情報を発信することは容易なことであり、誰もがメディアになることができる。
今回は、嘘のニュースとデマと名誉棄損について伝えたい。
フェイク・ニュースの定義
フェイク・ニュースは日本語で「虚偽ニュース」とも呼ばれ、真実ではない嘘のニュースを指す。虚偽新聞など、昔からあったものであるが情報伝達の発達したソーシャルメディアの登場により勢力が増した。
以前は広告収入を目的に運営されるフェイク・ニュースサイトが中心であったが、ネットが普及した現代においては個人が元になっていることが多い。
2016年の熊本地震の際に「ライオンが脱走した」とツイートをした男性が偽計業務妨害という罪に問われたように、身近なツールであるTwitterも深く関係しているのだ。
また、同年12月にはフェイク・ニュースを鵜呑みにしたパキスタン国防相が核兵器の使用をTwitterにて示唆したり、英国のEU離脱を巡る国民投票において残留派が主張していたEUへの負担額が実際は半分であったりと大きな問題になっている。
アメリカ合衆国大統領選でのフェイク・ニュース
アメリカ合衆国大統領選のフェイク・ニュースとして代表的なものは「ピザ・ゲート事件」だ。これは「ヒラリー・クリントン陣営の元選対本部長ジョン・ポデスタがピザレストランを拠点として児童買春組織に関わっている」という作り話を信じ込んだノースカロライナ州のエドガー・メディソン・ウェルチ氏が「本当に関わっているのか調査する」とワシントンD.C.のピザレストランコメット・ピンポンを襲撃した事件である。
このほかにも「ローマ法王がトランプを指示した」「ヒラリーが過激派組織IS(イスラミックステイツ)に武器を譲渡した」などの明らかな嘘のニュースが拡散され投票日が近付くほどに浸透性が高まり、選挙前3カ月の集計では発信された大手ニュース記事の上位20位に計736.7万のエンゲージメントがあったのに対しフェイク・ニュースサイドはそれを上回る871.1万のエンゲージメントが確認された。
また、トランプ支持者向けのフェイク・ニュースで金を稼いだというマケドニアの少年の発言も話題となった。
NBCニュースによると、この少年はトランプ側が優位になるような情報をネット上に発信し日本円にして約688万円を稼いだという。マケドニアの街ベニスでは少なくとも300人の住人が選挙期間中にフェイク・ニュースを発信し、記事の拡散・広告収入で莫大な金額を稼いだらしい。
Facebook創設者のマック・ザッカ―バーグ氏が嘘の拡散を止められなかったと非難の的になったことは、Facebook上で嘘のニュースが事実のニュースを超えるシェアをあげていたことが関係しており。これにより一部の有権者に影響を与えたと言われている。
そもそも名誉棄損罪の意味
世界には名誉棄損という罪がある。他人の名誉を傷付けたとして問われる罪である。不特定または多数人が認識できる状況下において他人の社会的評価を低下させるに値する具体的事実を告げ、他人の社会的評価を低下させる危険を生じさせることをいう。
雑誌・新聞紙・インターネット上の書き込みは不特定多数の観覧が予想されるものであるので、具体的な事実が書かれていれば罪は成立するというわけだ。
インターネット上で不特定多数の人が拡散している場合、個人の特定をされにくいとはいえ明らかに嘘である情報を拡散した場合も罪に問われることがある。その情報が真実かどうか、個々の頭で考える必要があるだろう。
また、飲み会風景を「友人の許可なくタグ付けして投稿する」「友人宅で飲んでいる時に許可なく友人の名前/位置情報付きで投稿する」「友人の誕生日会を許可なく年齢と共に投稿する」。この3つも罪に問われる可能性のある行為である。
インターネットが普及した現代は誰もが気軽に情報を受信・発信することができる。恩恵にあずかる部分は多いが、弊害もあるのだ。
今こそ、大多数の意見に流されず個々の頭で情報の真偽を考える時なのかもしれない。貴方がシェア・リツイートをしようとしたその情報は真実なのか、今一度考えるのはどうだろうか。
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