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商品を手に取りそのまま出て行くだけ:「Amazon Go」は世界の小売業界を支配するのか?

菊池喬之介

2017/02/08(最終更新日:2017/02/08)


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商品を手に取りそのまま出て行くだけ:「Amazon Go」は世界の小売業界を支配するのか? 1番目の画像
出典:www.youtube.com
 商品を手に取り、レジを通さず、そのまま出て行く。それだけで買い物が成立するSFのような話が現実となる。

 Amazonは2017年初めに無人店舗「Amazon Go」の一号店をアメリカ、シアトルにオープンすることを発表した。買い物におけるすべてのストレスが排除されたこのAmazon Goの全貌を紹介していく。

またもや画期的なサービスを発表したAmazon

 
 最短で1時間配達を可能にした「Amazon Prime Now」や専用ボタンを一押しするだけで商品が届く「Amazon Dash Button」に続いてまたAmazonが画期的なサービスを開始する。

「商品を手に取り、出て行くだけ(Just grab and go )」がキャッチコピーのAmazon Go。動画を見ていただければわかる通り、うたい文句そのままのサービスが受けられる。

商品を手に取り、出て行くだけ

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 Amazon Goを利用するには、Amazonのアカウントを取得し専用のアプリをダウンロードすることが必要だ。アプリからバーコードを取得し、店内に設置された機械にタップすればそれで入店となる。
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 入店し、商品をバッグに入れるなり手に持つなりすれば、店内に設置されたセンサーが認識してくれる。

 店舗の広さは日本のコンビニより広い約167平米。普段欠かせない日用品に加えて、作りたての食べ物も購入可能だ。
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 気が変わっても、商品を戻すだけでカートから削除してくれる。
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 店を出たら、スマホで何を買ったか確認可能だ。この間、レジ待ちの行列もなければ清算する時間もなし。まさに「Just grab and go」そのままである。

レジレスを可能にするのはAIにセンサーなどAmazon渾身の最新技術

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 Amazon Goを可能にする技術はアマゾンが「JUST WALK OUT TECHNOLOGY」と位置付ける自動運転技術の応用だ。

 いわゆる「ロボットの目」のコンピュータヴィジョン、複数のセンサーから統合的なデータをとる「センサーフュージョン」、そして現在のAIブームの火付け役となったAIアルゴリズム「ディープラーニング」の三つをさしている。

 店内に設置された多数のカメラで顧客を観察し、商品を手にとったかどうかはAIが判断するのである。レジ打ちの人員はもちろん不要で、商品を並べる店員のみで事足りる。

 日本でもセルフレジが導入され始めているが、比べ物にならないほどの利便性である。EC業界で天下をとったAmazonがついに実店舗でもその実力を見せることになる。

Amazonが食品小売業を席巻する

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 Amazon Goの出現は消費者だけでなく、業界の常識を変えそうだ。一部の現地メディアでは、2020年までに2,000店舗以上に拡大すると報じられている。AmazonはEC以外が占める小売の90%に本気で参入しようとしている。

あらゆる面から小売業界に進出

 すでにAmazonは「Amazon Prime Now」や「Amazon Dash Button」など小売業界を震撼させるサービスを提案してきた。それに加えて、今度は最先端技術をふんだんに盛り込んだ実店舗だ。

 単純に考えて、従来の店舗はレジ打ちのコストをカットしたAmazon Goに、価格面で勝てない。加えて、購入についてくるストレスを全て排除した利便性も兼ね備えているのだ。Amazonのサービスがどのような影響を小売業界に与えていくのか注目だ。

Amazon Goの強さは他にも

 Amazon GoにはECの巨匠であるAmazonらしい強さがある。ネット上ではどのような人が何をどのくらい買ったかというデータが取れるように、Amazon Goでも顧客のデータを細かく得ることができる。

 それは、ネットでのデータよりもさらに詳しく、年齢層や性別だけでなく、商品を買うのにどのくらい迷ったか、どの売り場にどのくらい滞在したかなど顧客の情報が赤裸々にわかる。

 こうした情報を基に、最も効率のいいセール時間を割り出すことができたりなど、より効率と質の高いサービスを提供することができるのだ。


 ついにレジ打ちを技術の力で無用のものとしたAmazon。残念ながらAmazon Goは海外進出は決まっておらず、アメリカのみの展開が今年の初めに開始されるのみとなっている。

 だが、無人店舗はAIが日常生活に密接に関わる形として以前から待ち望まれていた存在だ。利用したい消費者はたくさんいることに加え、システムを取り入れたい企業も多いことだろう。日本にレジレス店舗が進出するのもそう遠い話ではないかもしれない。

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