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KDDIが決算発表:ケータイジャーナリスト石野純也が分析するBIGLOBE買収の狙い

石野純也

2017/02/03(最終更新日:2017/02/03)


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 KDDIが、老舗プロバイダーのBIGLOBEを買収した。BIGLOBEは2月から、KDDIのグループ企業として、サービスを提供していく。役員なども刷新され、BIGLOBEの代表取締役社長には、KDDI出身の有泉健氏が就任した。2月2日には、KDDIが2017年3月期第3四半期決算説明会を開催。その席で、代表取締役社長の田中孝司氏が、BIGLOBE買収の狙いを説明した。

 田中氏によると、BIGLOBE買収は、「これまでアプローチできなかったお客様にタッチポイントを拡大」することが目的だったという。

 KDDIは、auブランドでモバイルと固定、両方の通信サービスを提供しているが、同時に成長の原動力として、ショッピングやデジタルコンテンツの提供を中心にした、上位レイヤーのサービスを充実させている。こうしたサービスを、BIGLOBEのユーザーに届けられるというわけだ。

BIGLOBEを買収したKDDIの狙い

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 BIGLOBEには、「240万を超えるお客様基盤がある」といい、プロバイダーや光回線を提供している。また、最近では、MVNOとしてドコモからネットワークを借り、モバイルサービスも提供中だ。

 これらのユーザーに、auのサービスを届け、シナジー効果を発揮するというのが買収の理由になる。また、BIGLOBEはポイント交換サービスの「Gポイント」を運営しており、これも決済サービスの「au WALLETとシナジーを出せるか検討していく」方針だ。
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BIGLOBEは、固定とモバイルの合計で240万のユーザーを抱える。

 買収によって、KDDIグループ全体のユーザー数が増えるという、直接的な効果もある。同社は第3四半期から、MVNOのユーザー数を公開。これはauのユーザー数が減少し、MVNOへの移行が進んでいるためで、「auプラスMVNOで成長を目指す」とauのID数にこだわっていた従来の方針を一部転換した。BIGLOBEは、MVNOで第5位の事業者。ユーザー数もドコモ回線とWiMAXを合わせると、40万を超える。

 KDDIはグループ会社が運営するMVNOを強化し、ドコモ系MVNOやワイモバイルに対抗するが、昨年末時点では、UQコミュニケーションズとジュピターテレコムの2社で契約者数は35.7万と、まだまだ数は少ない。ここにBIGLOBEが加われば、数を一気に増やすことができ、auの落ち込みをカバーできる。短期的な買収効果としては、こちらの影響も小さくないはずだ。

MVNOを生かしていく方針に舵を切ったKDDI

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 一方で、「両方ともネットワークを持っているので、効率化によるプラス影響が、子会社化のシナジーとして期待できる」というものの、これがどこまで達成できるかは未知数だ。すでに言及しているとおり、BIGLOBEの固定回線はその多くがNTT東西で、MVNOもNTTグループであるNTTドコモからネットワークを調達している。大元の回線がまったく別の会社では、すぐに2社のネットワークを統合することは難しいだろう。

 仮にユーザー数が増えても、NTTグループの回線では、敵に塩を送っているようなもの。より強力なシナジー効果を出すため、近い将来、BIGLOBEがauひかりや、auのネットワークを優先的に取り扱い始めるようになるかもしれない。いずれにせよ、本格的なシナジー効果が出るには、まだまだ時間がかかる。

 ユーザー数は減少しているものの、KDDIの決算は増収増益。これは、総務省が策定したガイドラインなどの影響により、端末の販売が落ち込んでいることが一因にあり、販売奨励金の支出が減っているからだ。

 ただし、ユーザー数の減少は、長期的に見るとユーザーとの接点が減り、上位レイヤーのサービスを販売する機会を失うことにも直結する。MVNOを重視し始めたのは、そのためだ。すでにNTTドコモはサービスのオープン化に舵を切っており、一部MVNOがdTVやdマガジンなどのコンテンツを販売している。これを追う形で、auに閉じたKDDIのサービスが、変わっていく可能性もありそうだ。

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