HOMEビジネス オーディオメーカーONKYOは何故スマホ市場に参入したのか:「GRANBEAT」が誕生した背景

オーディオメーカーONKYOは何故スマホ市場に参入したのか:「GRANBEAT」が誕生した背景

井上 晃

2017/01/31(最終更新日:2017/01/31)


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 オンキヨー&パイオニアイノベーションズは1月26日、同社初となるSIMフリースマホ「GRANBEAT(グランビート)」を発表した。2月下旬より発売となり、想定価格は8万4,800円(税抜)。直販サイトや量販店、「楽天モバイル」などのMVNOで取り扱われる。

 「GRANBEAT DP-CMX1(B)」は、オンキヨーが開発したDAP(デジタルオーディオプレーヤー)の「DP-X1A」に似ている。アルミ削り出しのごつい筐体は、男性が持ってもずっしりと感じる234gだ。開発には、富士通コネクテッドテクノロジーズが協力した。
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 上端にはヘッドホン用端子が2つ。2.5mmのバランス出力端子と、3.5mmのアンバランス出力端子が備わる。これはスマホとしては世界初だ。

 左側面のボリュームノブでは、音量を調整可能。緩やかに波打った形状は角張った端末を手に馴染ませる。
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 右側面のボタンでは、曲送りなどの操作が可能だ。画面タッチやボリュームノブの操作を無効かできる「HOLDスイッチ」も搭載する。
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 音源は、DSD/MQA/FLAC/WAV/MP3/AACなどの形式に対応。SIMフリー端末では珍しくハイレゾ音源が聴ける。
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 「aptX」 に対応しているため、Bluetooth経由でも48kHz/24bit再生が可能だ。

 その他、オンキヨーの技術をフル活用し、ノイズを抑制する設計を採用している(詳細は本記事では割愛させていただく)など、こだわりポイントは多い。ちなみにOSはAndroid 6.0。

オンキヨーがスマホ作る意味

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 「2015年11月、我々がDAPを世に送り出したと同時にこれにSIMを入れてくださいという意見がどんどん盛り上がった。そこから今日に至っている」――オンキヨー&パイオニアイノベーションズ株式会社の代表取締役社長 宮城謙二氏は、グランビートが開発された背景について、発表会場にて語った。
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 同社が運営する「e-onkyo music」ハイレゾ音源配信配信サイトでは、2011年時点における楽曲数は1.6万。これが2016年には27万曲に達している。

 e-onkyo musicは2005年に11曲からスタートしたサービスだ。当時、スタジオのマスター音源をインターネットで配信することはあってはならないという論調が多かった時代に小室哲哉さんが11曲を提供。それから10年以上、いまや30万曲というところまで成長した。宮城氏は”これがハイレゾのマーケットの一つの成長の証だ”と述べる。
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 オンキヨー調べのデータによれば、ホームオーディオの世界市場規模は3兆2,000億円。大半は、DAPとそれに接続するイヤホンとヘッドホンが占めているという。これが市場の60%を占める。

 同スライドの右半分は「どういう機材で音楽を聴くか」というデータを示している(出典:MMD研究所)。コンポーネントを使っていた人がDAPを使うようになり、そしてDAPからスマホへと移り変わりが考えられるという。

 宮城氏はオーディオ機器の移り変わりについて次のように語った。

 「ポータブルについては、1980年ソニーの森田さんがウォークマンを世に発表した。我々はまだ学生だったが、初めてウォークマンを装着して街中を歩いた時の感動は非常に新鮮だった。なおかつこういう時代がくるとは思わなかった。1990年代にはMP3が大きく伸びた時代。その当時に、今のDAPというところが出てきた。2000年になるとiPod、iPhoneというところで利便性がどんどん進んだ”」

スマホの利便性を活用する

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 さらに宮城氏はこう続けた。

 「残念ながら、こと音楽に関しては、利便性が進めば進むむほど音質が犠牲になっている。そこで今回、スマートフォンの利便性を多いに使わせてもらおうと考えた。2015年に発表したDAP。これとスマートフォンの利便性を融合した」

 同氏の口からは「会社の将来をかけている」や、「音楽プレーヤーとしては最高傑作」などの強気の言葉も多数発せられた。「GRANBEAT」にかけるオンキヨーの想いは非常に熱い。

  GRANBEATは「グランド」と「音楽の鼓動、ドラムのビート」を掛け合わせた造語だ。ユーザーの心を突き動かしたいという想いで、こうしたネーミングにしたという。

一般ウケは少し難しそうな機種だが、オーディオを愛する音楽ファンの心が高鳴るのか否か。今後も注目である。

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