新年早々、ある編集者が筆者にこんなことを聞いてきた。
「荏谷さん、瞑想って興味ないですか?」
それはもう、間髪入れずにキッパリ、ハッキリ言いました。
「ないです!」と。
そもそも自己啓発とかそういう類の話は嫌いなんです。んなことやってる暇あったら、キリキリ仕事しろと。だいたいヨガとか瞑想とか、ビジネスマンにそんな悠長なことやってる時間はないっ!!
しかし、彼は言った。
「仕事の効率化が求められる今だからこそ瞑想なんです、ビジネス瞑想。Googleでは既に会社を挙げてやってます」
な、何っ、あのGoogleが? 嘘だぁ。しかし、検索をかけてみると出てきた! 2007年に「サーチ・インサイド・ユアセルフ」(※Googleの社内向け講演動画)という社内プログラムを立ち上げ、「禅」の導師やスタンフォード大学の科学者と共に5,000人以上の社員に瞑想を推奨していたのだ。
精神力は筋トレのように「瞑想」で鍛えられる
そもそも、座禅や瞑想は仏教の修行の1つだった。しかし、それが欧米に伝わり「マインドフルネス」という心理療法に変化を遂げ、Googleやインテルが社内教育に取り入れたことから、ビジネスにおいても有効な「精神鍛錬」として広まっていったと言う。
むしろ、禅の本家に近い日本では「瞑想」は宗教的なイメージが強いため、一般に馴染みにくく、ビジネス瞑想=「マインドフルネス」という概念は逆輸入され、瞑想を科学的・学術的に研究する「日本マインドフルネス学会」が発足したのは平成25年のことだった。
出典:www.publicdomainpictures.net では、ビジネス瞑想「マインドフルネス」とは具体的にどんなことをするのか。その基本的な概念は「筋トレをすれば筋肉がつくように、瞑想をすれば心が強くなる」というもの。
実際にスタンフォード大学の研究では、瞑想による「免疫力の向上」「集中力UP」「脳神経の結びつきの再構成」が実証されているそうだ。
今すぐできる、マインドフルネスの実践方法
ビジネス瞑想の基本はいたって簡単。おおまかに説明すると、以下の4ステップだ。
① 静かな場所でリラックスして座る
…座禅を組まなくても、ベッドの上でも人の少ない朝の会社の自席でもOK。
② 目を閉じて呼吸をすることだけに専念する
…呼吸によって動くおなかや胸の動き、鼻をとおる息の感覚などを感じる。
③ 内面を俯瞰する
…人によって様々な方法があるようだ。自分の中に泉をイメージしてそこに静かに釣り糸を垂らす人もいれば、幽体離脱したつもりになって、上空から自分自身を見つめるイメージの人もいる。
④ 無になる
…これが難しいのだが、「無になろう!」と頑張るのではなく、①~③に集中することで、自然と他のことを全て忘れていく。
はじめは無理せず1分、3分、5分とだんだん長くしていく。15分程できるようになると高い効果が得られるようになるそうだ。
一見無駄な時間に思えるかもしれないが、いきなり仕事を始めるのと、瞑想後に仕事を始めるのでは驚くほど効率が違う。
それは、瞑想している間に脳内でこれから取りかかる仕事の情報が整理され、頭も体も集中しやすい状態に整うからだ。イライラもなくなり、周囲の人の動きも良く見えるようになる。中には、腰痛や肩こりが軽減された人もいるというから驚きだ。
部下を怒りたくなった時、取引先に苛立った時、感情に任せて行動に移してしまう前に、1分間だけ瞑想をしてみるのも効果的かもしれない。(←筆者の個人的な見解)
ビジネスの重要局面で瞑想していたスティーブ・ジョブズ
by segagman 欧米でマインドフルネスが広まる1つのきっかけとなったと言われる、スティーブ・ジョブズの逸話がある。
ジョブズがビジネスの師と仰ぐノーラン・ブッシュネルは後にこう語っている。
ジョブズの類まれなる発想や実行力の源には、もしかしたらマインドフルネスがあったのかもしれない。
これからビジネス瞑想を始めたい人の入門書3選
この記事を読んで、ビジネス瞑想「マインドフルネス」を始めてみたいと思った方にお薦めの入門書を3冊紹介しておきたい。
なかなかとっつきにくいビジネス瞑想を、無理なくエクササイズ感覚で続けられる実践方法を紹介してくれる入門書。これから始めたい初心者の方にお薦め。
やってみるかどうかは分からないけど、まずは、マインドフルネスが世界中でどのように活用されているのか具体的な実践例を知りたい方はこちら。
ビジネス瞑想の効果をより科学的に知りたい方はこちら。瞑想がいかにしてアメリカで広がり企業に採用されていったか等の歴史的な経緯も詳しい。
筆者も、これまでのガムシャラ至上主義を改め、仕事に「瞑想」を取り入れて、もう1歩成長した大人のビジネスマンになりたいと思った。何より、ストレスの多いビジネスマンにとって、感情を押し殺すのではなく、コントロールすることが出来るようになるというのが魅力的だ。
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