

国内スキー観光客のピークが過ぎ、一時最盛期の3分の1ほどにまで落ち込んでいた白馬村の観光事業が、いま外国人旅行者によって活気を取り戻している。
なぜ外国人旅行者が長野県の小さな村「白馬」に集まるのか? 今回はその人気の秘訣と白馬村の行うインバウンド戦略に焦点を当てていく。
白馬に外国人旅行客が殺到する3つの理由

理由①:成田・羽田から直行のシャトルバス
成田空港・羽田空港からシャトルバスが出ており、空港からスキー場に直行できるアクセスの便利さが人気の一助となっている。観光客の中には、東京には1度も立ち寄らず白馬村だけで過ごす観光客も多いという。
理由②:スキー場としての質
白馬村にある4カ所のスキー場を始めとするHakuba Valleyは、北米のアスペンやカナダのウィスラー、フランスのシャモニー・モン・ブランなど世界的なスキー場で構成される、The Mountain Collective(マウンテンコレクティブ)に日本で唯一登録されている。
マウンテンコレクティブとも連動で発売されているHakuba Valley11カ所のスキー場共通のリフト券や年間パスポートは利用客には非常に重宝される。
近い範囲に密集かつバラエティ豊かなコースを滑ることができる。滑走可能面積は国内2位の面積を有する志賀高原の2倍以上の広さを誇り長期滞在する観光客には打ってつけ。
標高3,000mを超える山々が連なり、雪質の良さも折り紙付き。パウダースノウを楽しめる。
標高3,000mを超える山々が連なり、雪質の良さも折り紙付き。パウダースノウを楽しめる。
理由③:飲食・宿泊施設のおもてなし
外国人旅行者の心を掴む要因は他にもある。外国人のニーズに答える、飲食・宿泊施設が充実している点も多くのリピーターを生む理由だ。
多くの飲食施設で英語表記のメニューが用意され、隣接する新潟県で獲れる海の幸を使った日本食も話題となっている。
多くの飲食施設で英語表記のメニューが用意され、隣接する新潟県で獲れる海の幸を使った日本食も話題となっている。
さらに日本酒の利き酒体験や日本食を観光客自ら作れる体験会など日本文化を体験できるサービスも人気を博している。
インバウンド観光で地域活性化

オーストラリアからのインバウンドが増加
白馬を訪れる観光客の中で半数以上を占めているのがオーストラリアからの観光客だ。平成27年の白馬村の調査によれば、オーストラリア人の宿泊客数は平成16年、320人だったのに対し平成27年には51,845人とおよそ10年で162倍に激増している。
日本以外のヨーロッパやアメリカに行くよりも、時差などの影響がほとんどなく北海道よりもアクセスに優れている点が要因だ。
そして白馬村の役場や観光局など自治体が、積極的な誘致活動を行っていることが大きい。
インバウンドに狙いを絞った観光振興
外国人観光客は平均して1週間から10日以上の長期滞在が見込める。国内の観光客では休日を狙った日帰りや1泊、2泊3日程度が多いだろう。
その点長期滞在の旅行者なら、平日にも収益を見込むことができる。さらに国内の観光客に比べ、1日辺りの金銭の消費量も大きく、タクシー需要の増加を始め周辺産業にも嬉しい経済波及効果が多々ある。
観光庁による平成27の調査によればインバウンドの白馬滞在日数は平均8日ほど、平均支出は57万6,000円となり、多くの収益が見込めることが分かる。
観光庁による平成27の調査によればインバウンドの白馬滞在日数は平均8日ほど、平均支出は57万6,000円となり、多くの収益が見込めることが分かる。
今回は世界的なスキーリゾートとなっている白馬村について取り上げた。インバウンドに対する熱心な誘致活動が、白馬に海外旅行者を集める要因となっているのだろう。
しかし、外国人旅行客の誘致に成功した白馬村では現在、地区によって格差が生まれてきているようだ。今後は地域によって生まれた、こうした格差をなくしていくことが求められる。
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