古くから人間の“相棒”に例えられることの多いクルマだが、人口知能が搭載されることによって、より近密なパートナーになるのかもしれない。
そんな未来を予感させるのがトヨタが米国ラスベガスで開催されている「CES 2017」に出展したコンセプトカー「Concept-愛i(コンセプト・アイ)」だ。
人工知能がドライバーの感情を読み取り、新たなパートナーに
毎年1月に開催され、多くの新製品や注目の新技術などが出展される「CES(Consumer Electronics Show)」。
従来は家電分野のメーカーが注目を集めることが多かったが、近年は自動車メーカーも意欲的なコンセプトモデルなどを出展し、ショーを支える立役者となっている。
そんな中、トヨタが世界で初めて公開した「Concept-愛i」は人工知能を搭載し、クルマが人に働きかけ、ともに成長することで人とクルマの新たな関係を創造。モビリティ社会の未来像を具現化したモデルとして大きな注目を集めている。
トヨタは2016年1月に人工知能技術に関する先端研究や商品企画を行う研究所「Toyota Research Institute」を米シリコンバレーに設立。人口知能の研究開発に力を入れているが、「Concept-愛i」の発表にも同研究所のCEOであるギル・プラット氏が登壇。今後数年以内に公道での実証実験を計画しており、一部の機能を搭載した実験車両は日本でも走行する予定だと明らかにした。
「Concept-愛i」は人口知能技術を応用することでドライバーの表情や動作を読み取り、感情認識や覚醒度などをデータ化。SNSでの発信や会話の履歴などを基に嗜好を推定することと合わせて、人を理解するための複合技術を確立する。
そして、この技術を起点に安全・安心や運転を楽しむという領域で新発想のユーザーエクスペリエンスを提供するとしている。
自動運転技術との組み合わせで、さらなる安全・安心を提供
「人を理解する」技術と自動運転技術を組み合わせることによりドライブの安全・安心も向上させる。ドライバーの感情や疲労度、覚醒度などを読み取り、インパネの意を変えるなど視覚や触覚に働きかけ、自律神経を刺激することで安全運転に導く機能を搭載。
また、ドライバーが危険な状態に陥った場合には自動運転モードに切り替えを提案する。“ある時は見守り、ある時は助け合う”というトヨタの自動運転に対する考え方である「Mobility Teammate Concept」を具現化した車両だ。
ドライバーに話しかけたり、ルートの提案などを行うエージェント機能も搭載するが、こちらも「人を理解する」技術と連携することで、感情や覚醒度に応じてドライバーの気持ちを先回りした提案を可能に。
ドライバーの嗜好に合わせた話題や、関心の高いニュースなどをクルマ側から提供してくれるほか、好みに合わせて少し遠回りでも楽しめるルートの提案なども行う。
特徴的なデザインは「INSIDE OUT」をテーマに、内装の意匠を外装にまで連続するシームレスなスタイリングを採用。外部の歩行者に対してメッセージを表示する機能も搭載し、クルマ内部のドライバーだけでなく、外を歩く歩行者などとも新たな関係を築くことを模索している。
人とクルマの新たなパートナーシップを提案する「Concept-愛i」、このままの形ではないにしろ、一部技術を使った車両が日本でも走行予定とのことなので、期待に胸が膨らむ。
U-NOTEをフォローしておすすめ記事を購読しよう