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「AI」がヤフーの週休3日を生産的にする:無駄な仕事「シャロー・ワーク」の削減が実現への鍵に

菊池喬之介

2016/12/28(最終更新日:2016/12/28)


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by Franco Folini
  昨今、日本の労働環境問題が叫ばれて久しい。度を越した残業や年功序列の賃金制度などの問題点はまだ残ったままだ。今年は電通の女性社員の自殺があったこともあり、ブラック企業や日本の企業体制に改めて注目が集まっている。

 そんな中、ヤフージャパンが週休3日制の構想を打ち出したことに「これはいい」と感じた人も多いことだろう。プライベートを充実させられるし、次の仕事への準備も万全にできる。

 その一方で、今まで5日でこなしていた仕事を4日でどのようにこなすのかと疑問も出てくる。本記事では、週休3日を実現するために必要な要素とそのメリットに迫っていきたい。

生産性を高めるための週休3日

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出典:docs.yahoo.co.jp
 ヤフージャパンは今年10月に新オフィスに本社を移したのを機に、「働き方」を様々な方面から変えようとしている。オフィスの机の配置もその一つだ。上の画像のように机をジグザグに配置したフリーアドレスで、わざと歩きづらくしている。そうすることで社員同士の交流を増やす意図がある。

 他にも社外の人も入室可能なオープンスペース、芝生や畳をひいた様々なフリースペースなどコミュニケーションを増やす施設を数多く導入。ヤフージャパンはこれらの施設をイノベーションを創出するための「情報の交差点」だとしている。

 そして本題の週休3日制もイノベーションを創出するための一つの施策だという。決して一日休みを増やすことが目的ではなく、生産性を高めるために休みを一日増やすのだ。

「スマホの時代」の働き方へ

 近い将来、休日2日を一週間のうちから自由に選べるように、その流れのまま週休3日にする計画を構想している。人事制度や評価制度との折り合いがあるため具体的な話はまだ話すことはできないと同社の副社長執行役員最高執行責任者である川邊健太郎氏は言うものの、実現に期待をかける声は大きい。

 川邊氏は現在の「スマホ時代」にあった働き方に変革しようと語る。ここ十年のスマホやIoTの登場でインターネット業界は大きく変わってきた。今ではスマホ一台でどこでも仕事できる環境を作ることもできる。

 そんな中、オフィスでパソコンに向かって仕事をするといういわば古い働き方が変わっていないことに対して、川邊氏は変化が必要だと考えてるのだ。

AIが週休3日への最大の鍵

 現在はAIが進歩してきたことにより簡単な作業をAIに置き換えることが現実味を帯びてきた。AIが誰にでもできる作業をしてくれる代わりに社員は人間にしかできない仕事にのみ専心することができる。

 そうすることで、週に3日休んでも本当に大事な仕事に社員は専念し生産性を落とさない。また、週休3日を導入することに川邊氏は今までの働き方では生み出せなかったイノベーションを創出することを期待している。3日間の休みの活用法も生産性を高めるために重要になりそうだ。

創造性豊かな仕事をどうやってするかというと、オフィスに来て仕事をするもよし、休みをとって全然違うところに行って人間として感激するとか人間として本当の勉強をするとか、そういうことによって自分の実力を高めていって才能と情熱を解き放ってもらうもよし。人間らしいことに時間を費やしてもらうのがいいんじゃないかなというのが、週休3日制に込めた思いです

出典:ヤフー、週休3日制は「創造性豊かな仕事で生産性を上げていくため ...
 テクノロジーが進化していく流れに合わせた働き方がヤフージャパンの考えるイノベーションに結びつく働き方。それでも、最低限の条件である今までの生産性を維持することは、やってみなくてはまだわからない。

週休3日のメリットは人材確保にも

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 週休3日制を導入することは人材確保にもプラスだ。現在、IT業界は人手不足に喘いでいる。経済産業省の調査によると、ITエンジニアは2015年時点で国内に約92万人いるがすでに約17万人足りない。さらに、IT関連のテクノロジーが今後発展していくことを考えると、優秀な人材の需要はさらに高まっていくと思われる。

 そのため、労働環境や待遇を改善することはIT企業にとって急務だ。実際に柔軟な労働環境を提供する企業は増えてきている。今年、自宅やカフェなどオフィスではなくても仕事ができるよう規則を変えた日本マイクロソフトの平野拓也社長は採用面でのメリットを確実に感じているという。

 現在、働き方改革が行われている日本では、AIやロボットのような新しいテクノロジーは労働時間削減に期待されている。ヤフージャパンが週休3日制を実現させれば、時代にあった働き方は他の民間企業にも広がっていくだろう。

週休3日を実現するために「するべき仕事」

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 週休3日制は確かに魅力的だ。3日間休むことでプライベートを充実させることは誰だって望んでいることだ。だが、一番の問題は週3日休むことで生産性が落ちることはないかという問題だ。

 週5日から週4日に変え、一日の労働時間は変わらないわけだ。ここで生まれる一日分の仕事量をどのように埋めるのか。今まで週3日労働に成功した企業から考えていきたい。

週4日労働で同様の仕事効率を実現させた37シグナルズ

 37シグナルズはアメリカのソフトウェア企業。2007年夏、同社は新しい試みを始めようとしていた。それまでの週5日労働から週4日労働に短縮したのである。しかも、一日8時間労働はそのままでだ。

 当初、この試みは多方面から批判にさらされていた。フォーブス誌では『なぜ週4日労働はうまくいかないのか』という記事が掲載された。それでも、37シグナルズは彼らのやり方で生産性の維持に成功する。その方法は「シャロー・ワーク」の削減だ。

私たちの仕事効率を低下させるシャロー・ワーク

 シャロー・ワークとはあまり知的思考を必要としない単純な作業のことである。例えば、SNSやメールの確認などの作業である。これらの作業は特に生み出すものはないことに加え、本当に大切な仕事を邪魔する。注意散漫することなく、その仕事のみに集中する時間が削られてしまうのだ。

 インターネットツールが仕事に欠かせなくなった現在は、パソコンやスマホなどが知的労働者の注意を散らせてしまう。絶えずメールのやり取りをしなければならないし、インターネットツールを使っている以上、情報が自然と入ってきてしまう。

 37シグナルズは週4日でも生産性を維持するために、このシャロー・ワークを限界まで削減した。その結果、知的労働者の足を引っ張っていたシャロー・ワークはそれほど重要なものではないことがわかった。少なくともある程度まで削ることは全体の仕事にそれほど影響がないのである。

シャロー・ワークの削減に期待されるAIの能力

 しかも、この話はAIのブームが起こる前の話だ。37シグナルズは何かしらのテクノロジーを使ってシャロー・ワークの削減を成功したわけではない。だからこそ、ヤフーの構想はこれからの働き方の形として期待したい。

 AIを使ってシャロー・ワークを根本からなくす試みは、インターネットツールによって仕事効率が落ちている現代の知的労働者の問題への根本的な解決策になるかもしれない。


 単に休みを3日に増やすというだけでは現実味がないように聞こえる。だが、今の時代人間の労働力を削減するためにAIやロボットといったテクノロジーを応用させることも一つの選択肢になっている。実際に自動運転やAIのオペレーターなどすでに実用化が目先に迫っていたり、成果をすでに出したものもある。

 そして、決して一部の職種に限られたことではない。タクシードライバーやオペレーターだけでなく、普通のデスクワークにも新しい技術が実践される可能性は十分にある。これからのテクノロジーの進歩次第では、あなたの職場にも週休3日が導入されるかもしれない。

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