Appleのフルワイヤレスイヤホン「AirPods(エアーポッズ)」が販売されたと気づいたのは12月13日の23時半頃。筆者はすぐにオンラインで注文し、19日には製品が手元に届いた。本記事執筆時点で丸3日間使用したので、気になる使い勝手について紹介したい。
カバンや上着のポケットからイヤホンを取り出して耳に装着するまで――。普段何気なくしている動作に、一体何秒かかるだろうか。
有線イヤホンの場合、気づけばケーブルが絡まっているものだ。ほどくのに手間がかかる。絡まりの度合いにもよるが、ケーブルをほどく動作には平均して約30秒~1分程度が必要となる。絡まりがひどい時には、数分格闘することも。そんな時筆者は、“自分は何をしているのだろう”と嫌になってしまう……。
一方、AirPodsを耳に着けて、音楽を掛けるまでに必要とする時間。わずか“5秒”だ。この利便性の高さがAirPodsの最大の魅力である。
初期設定は一瞬で完了!
AirPodsは左右のイヤホンが独立したフルワイヤレスイヤホンだ。充電器を兼ねたケースとセットになっている。デザインはiPhoneに付属する有線イヤホン「EarPods」に似ていて、バッテリーを搭載する下部がやや太くなっているのが分かる。まるで音符のようだ。
初期設定は驚くほど簡単だ。iPhone側でBluetoothを有効にし、AirPodsのケースを開ければよい。するとiPhoneの画面に「接続」と表示されるので、これをタップする。
一度ペアリングをしてしまえば、2回目からはケースから取り出せば自動で接続される。電源のオン・オフもケースからの取り出しと収納に呼応して自動で切り替えられる。
実際にする動作は“取り出して耳に着ける”だけでよい。ケースを開けたときの左右がそれぞれ耳の位置に対応しているため、どちらを右耳につければよいかで悩むこともない。
耳に装着すると「ボーン」と音が聞こえる。これで、AirPodsが無事接続されたことが確認できる。
街にBGMが流れる感覚に
AirPodsを装着して気付いたのは、周りの音がよく聴こえるということ。これはEarPodsと同じだ。しかし、カナル型が多いフルワイヤレスのイヤホンとしてはユニークだと言える。
電車に乗っている時には乗換のアナウンスがしっかり聴こえるし、街を歩く時には近づく車の音を認識できる。作業中に音楽を聴いていて、声を掛けられても、ちゃんと反応できる。周囲の音と、音楽が共存する。
使っているとAppleの意図がなんとなく伝わってくる。周囲の音が聞こえることに、ワイヤレスである解放感が加わるため、まるで喫茶店にBGMが流れている感覚になる。Apple Musicを契約していれば、なおさらだ。
音量はかなり大きかった。ノイズは少なく、音割れもしない。音質もワイヤレスとしては良い。有線のEarPodsとほぼ同じ感覚で聴けるのは素晴らしいと感じた。
ただし、周りのノイズをカットすることはできない点には留意しておこう。地下鉄で通学している学生が、英語のリスニング用に使うには適さないということだ。
ちなみに、筆者は通勤時の電車でAirPodsを使っている。発売からまだ日が浅いので、物珍しさゆえチラ見されることも多い。とは言え、イヤホンなので、一瞬「おっ」と思われる程度。じーっと凝視されるような事態はいまのところない。
Siriの使い勝手は良好
音量の上げ下げや選曲などの操作はiPhoneから行うことが多い。しかし、AirPods単体でも操作が行える。
耳に装着した状態で、左右どちらかのユニットをダブルタップする。すると、Siriが起動して音声コマンドが有効になる。マイクはユニットの先端に内蔵されており、周りのノイズをカットして、ユーザーの声だけを集中して拾うようになっている。
筆者はApple Musicを契約しているので、Siriを起動して、「ボサノヴァが聴きたい」「ジャズをかけて」のように喋れば、iPhoneを取り出すことなく作業用BGMを再生できる。これは便利だった。
「Siriは使わない」という人には、iPhoneの「設定」→「Bluetooth」AirPodsの「(i)」から、ダブルタップによるアクションを「再生・停止」に変更することもできる。ただし、AirPodsは片耳を外すだけで、一時停止になり、付け直すと自動で再生再開となる。Siriのままの方が使い勝手はよいと個人的には思う。
楽曲再生時には、iPhoneのコントロールセンターからAirPodsとiPhoneのどちらから音を出すかを選択できる。誰かに動画を見せたいときなど、手動で切り替える場面で活躍する。
Apple Watchがあるとより便利に
問題は満員電車だ。iPhoneはポケットやカバンに入っていて、AirPodsを操作するには、Siriを使わなくてはいけない。いきなり「音量を下げて」と口にする勇気は筆者にもない。iPhoneが取り出しづらいときには苦労する。
このとき、Apple Watchを持っていると便利だ。手元の画面タップやリューズの回転で、選曲や音量調整が簡単に行える。
Apple Watchのミュージックアプリはこのために作られたのではないかと思うくらいだ。iPhoneでApple Musicを流し、EarPodsで聴き、Apple Watchで操作する。このコンビが快適すぎる。
外れそうになることはない?
耳から取れるのではないかと心配する声も多く聞く。しかし、筆者が使用した感じでは自然に落ちることはまずないと感じた(もちろん耳の形状には個人差があるので、人によっては注意が必要かもしれない)。
心配な人は手持ちのEarPodsを耳に着けて思いっきり頭を振ってみればよい。AirPodsも装着部の形状はほぼ同じだ。ケーブルが引っかからなければ、それほど簡単に外れはしないと思う。
注意すべきは2点のみ。まず1つは、ケースから取り出す際とケースに戻す際だ。慣れないうちは落としやすいと思う。取り出す際は、周囲に側溝などがないかを確認してから行うとよいだろう。
2つ目は、ランニングの際や、縄跳びのように単調に上下運動を繰り返す動作だ。思いっきりヘッドバンギングしても外れなかったが、小さい揺れで緩みを感じる瞬間はあった。スポーツジムのトレーニングだと、エアロバイクやマシンを使った筋力トレーニングなら問題なく使えるはずだ。
普段使いならバッテリーの心配はいらない
AirPodsはケースに収納していると充電される。ケース自体は底面にLightningケーブルを接続して充電する仕様だ。
3日しか使っていないので、長時間の使用についての正確な評価は避けたい。ただ、丸1日使って電池は半分程度残っている感覚だ(ケースを含む)。普段使いで困ることはまずないだろう。
電池残量はウィジェットの「バッテリー」から確認できる。表示するには通知センター画面で「編集」からカスタマイズすればよい。また、AirPodsのケースを開いた瞬間にも、iPhone画面に残量が表示される。
Androidスマホでは使える?
ちなみにAirPodsはAndroidスマホでも使えた。この場合、通常通りBluetoothの設定からペアリングを行うことになる。AirPods側は、ケース背面にあるスイッチを長押しすれば、接続可能な状態となる。
ただし、使用できる機能は限られる。Android端末との接続時には、AirPodsをダブルタップしてもSiri機能は使えず、再生・停止の操作になる。また、耳から外した際に再生が自動停止機能も使えなかった。また、Androidとのペアリングを解除するまでは、iPhoneで利用できなかった。
使い勝手を考えると、やはりiPhoneとセットで利用した方が魅力的だろう。
AirPodsはフルワイヤレス製品としては割安
AirPodsの価格は、1万6,800円(税別)だ。激安なアジアメーカー製品を除けば、フルワイヤレスイヤホンの相場は2万~3万円台。市場的には割安な部類に入る。
執筆時点でオンラインストアでの出荷日は「6週」となっていた。試してみたい人も気長に待つしかない状況のようだ。
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