「伝統工芸×アニメキャラ」という構図が最近増えてきている。これまでも、ハローキティやムーミン、ミッキーマウスなど世界的にポピュラーなキャラクターとコラボする伝統工芸品はたくさんあった。しかし、近年増加しているのは、純然たる「ジャパンアニメーション」のモチーフを伝統工芸に取り入れたものである。
そんな「クールジャパン」を体現する動きの中から、個人的に「そんなものと?」と驚いてしまったコラボを紹介していこう。
九谷焼×アニメキャラ
石川県南部発祥で360年という長い歴史を持つ九谷焼。明治時代にはウィーン万国博覧会にも出展され、その美しさから「ジャパンクタニ」として人気を博した。その特徴は力強い色彩ときらびやかな絵付けである。
そんな九谷焼とコラボしているのはどんなアニメキャラなのだろうか。
機動戦士ガンダム(赤い彗星のシャア)
出典:g-cafe.jp この商品は、日本の伝統や優れた技術を、「機動戦士ガンダム」の情報発信基地「Gundam Cafe」から広める「Discovery-G」シリーズの第八弾。九谷焼の中でも、「庄三風」という和洋折衷の最も豪華絢爛の作風で仕上げられた作品。九谷焼の得意とする鮮やかな赤がシャア・アズナブルというキャラクターにとてもよくマッチしている。
中央で、シャアが佇み、その周囲には「シャア専用ザク」、作中でシャアが使用した「ジオング」などが描かれている。見事に和とシャアの融合した一品である。
シャア様からほおばる、シャア様に盛り付ける、シャア様に煎茶を注ぐ。シャアのある食卓は何でもない日常にアブノーマルな、いや、アズナーブルな彩を加えてくれそうだ。
2016年12月10日(土)よりガンダムカフェ各店、GUNDAM SQUAREで購入可能。(準備数に達し次第終了)
ゴジラ
出典:kutani-saishoukai.com 「シン・ゴジラ」の配給元である東映が、6月に石川県に依頼して実現した。地元作家ら20人にそれぞれ絵付けしてもらうことで、1体1体個性的できらびやかな作品に仕上がっている。
「日本を代表する怪獣×日本を代表する陶磁器」よいう組み合わせは迫力満点に仕上がっており、九谷焼独特の絵付けのセンスがゴジラの存在感を引き立てる。ゴジラをゴジラ以上のものへ、さらには別物へと昇華させている。ちなみに、値段は1体2万~25万まで。
ウルトラマン
出典:kutani-saishoukai.com 東映と九谷焼のコラボはゴジラだけではない。「日本を代表するヒーロー×日本を代表する陶磁器」、そうウルトラマンとのコラボも実現している。代表作が上の写真「ウルトラセブンカップ」である。
アイスラッガー(頭頂部からうなじにかけての部分)が九谷焼風に絵付けされているのであるが、そのカラーは青粒鉄仙、金襴手、青地唐草、花盛の四種類。ちなみにこの写真は青粒鉄仙バージョンである。
ほかにもゼットンをあしらった皿やゴモラをあしらったマグカップなど、レパートリーは充実しており、九谷焼のウルトラマンシリーズで食卓を彩れば童心に帰れること間違いなしである。
どれもこれも、心にじっわと、いやジュワっとしみいる作品ばかりだ。
そして、筆者の一番のお気に入りはこの「ウルトラマンテーブルフィギュア(箸置)カネゴン」である。
有田焼×アニメキャラ
佐賀県有田町発祥で400年という長い歴史を持つ有田焼。
17世紀半ば(明から清への転換期)に中国からの陶磁器の輸出量が減少したことで、海外で日本の陶磁器への需要が高まり、有田焼が覆う輸出されるようになったため、世界的に人気を博すこととなった。透き通るような白磁の美しさと細やかな絵付けが特徴である。
そんな有田焼とはどんなキャラクターがコラボしているのだろうか?
スプラトゥーン
出典:sagakeen.com 販売されるのは『スプラトゥーン有田焼豆皿(ボーイ)』『スプラトゥーン有田焼豆皿(ガール)』の2種。有田焼の特徴である「透き通るような白磁」にパステルカラーで現代的なデザインのスプラトゥーンのキャラクターが躍動感たっぷりに描かれている。
実は、この商品、佐賀県とスプラトゥーンのコラボ企画『Sagakeen』というイベント内で販売されたものである。
『Sagakeen』とは、「イカ」をモチーフにした任天堂の大人気ゲームである「スプラトゥーン」と「イカ」の日本一の名産地である佐賀県が「イカ」を懸け橋にコラボし、イカの名産地である佐賀県呼子で実現した企画である(開催期間:2015年12月1日〜2016年1月31日、現在は終了)。
この企画内では佐賀県の名産である「唐津焼」でイカを再現した箸置きや、スプラトゥーンのキャラクターをビンにあしらったシオカラなど双方の魅力を詰め込んだ商品が販売された。
キン肉マン
出典:www.kin29.com 上の写真は「有田焼キン肉マン箸置 6個セット 赤絵」。赤絵とは絵付けの技法の1つで上絵付けに赤や緑、黄、紫等の鮮やかな色釉(いろぐすり)を用いたものである。キン肉マンのキャラクター1人1人の顔が丁寧に表現されている。
下絵と上絵
- 下絵:釉(うわぐすり)の下に絵を描いて高火度で焼いたもの。白い素地や藍色の部分(呉須という顔料)は高温に強いため、下絵として絵付けする。
- 上絵:釉(うわぐすり)の上に絵を描いて低火度で焼いたもの。赤色や金色といった絵具は熱に弱く、高温では溶けてしまう可能性があるため、上絵として絵付けする。
注目してほしいのはそのラインナップである。左から順に、テリーマン、ラーメンマン、キン肉マン、ウォーズマン、ロビンマスク、カレクックの順になっている。
なぜこの並びでカレクックなのか、バッファローマンやブロッケンJrの方が人気があったのではないかと言われてしまいそうであるが、カレクックが入ることによってスパイスの効いた、ファンにはたまらない並びとなった。
ちなみに、近日発売された「有田焼キン肉マン箸置6個セット 赤絵第2弾」には「アデランスの中野さん」がラインナップの一角をなしている。
信楽焼×アニメキャラ
信楽焼とは、滋賀県甲賀市信楽を中心に作られる陶器の総称で、現代いわれるような特色を持つものは平安末期が発祥である。独特の肌の粗さがあり、胎土に含まれる鉄分や焼成の具合で発色は主に灰色から赤茶、稀に黒褐色に変化ことが特徴である。
そんな古来からの伝統があり、日本六古窯の1つにも数えられる信楽焼はどんなキャラクターとコラボしているのか。
装甲騎兵ボトムズ
出典:twitter.com 「AnimeJapan2016」に出品された作品。「AnimeJapan」とは2013年まで開催されていた東京国際アニメフェアとアニメコンテンツエキスポを発展的に統合させたイベントである。
今年は「日常生活に、伝統とアニメを」をスローガンに様々日本の伝統工芸品とアニメーションキャラクターのコラボがなされた。その中で、信楽焼とコラボしたのが「装甲騎兵ボトムス」である。出品されたのは御猪口と徳利だ。
主人公・キリコが乗る機体「スコープドック」の機体カラーに合わせた緑色で、信楽焼の独特の質感が、「装甲兵器ボトムス」のハードでざらついた世界観によくマッチしている。中央には作中でかつてキリコが所属していた特殊部隊レッドショルダーの「R」のマークが描かれており、ファンにとってはうれしい仕上がりとなっている。
日本の古くからの伝統である「陶磁器」と日本のイマを象徴しているともいえる「アニメや特撮のキャラクター」。一見両極端なようなこの2つは意外と相性が良いのかもしれない。
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