最近、加熱式タバコの需要が高まっている。世界的に禁煙が強く勧奨される風潮の中、新しい喫煙スタイルとして人気が高い。市場の競争激化も予想され、タバコとの棲み分けはどうなるのか。今後の展望を予想してみた。
「iQOS」人気急騰で入手困難に
2015年9月にフィリップ モリス ジャパンから発売された「iQOS(アイコス)」。テレビ番組などで紹介されたのがきっかけで人気が急上昇。日経トレンディによる「2016年ヒット商品ベスト30」では3位にランクインした。
もっとも確実な入手方法はストアに並ぶこと!
あまりの人気ぶりに、本体(キット)の在庫は各地で品薄状態だ。コンビニエンスストアでは発注すら制限されてしまい、オークションでは定価の倍以上もの高値で取引されている。
現時点で最も確実に入手するには、「iQOSストア」に行くのが良い。都内ならば原宿にあるが、早朝の時間に並ばなければならないので注意が必要だ。
求められるたばことの差別化
厳密には「禁煙した」ことにはならない!
そもそも加熱式タバコとは、タバコ葉を加熱させることで生まれる水蒸気を吸引する仕組みだ。火を使わず有害物質が少ないこと、煙や臭いが出ないから周囲への影響も抑えられることなどが人気の要因となっている。
ただし微量のニコチンを含むために全く害がないとは言えない。故に「iQOS」に変えたからといって禁煙をしたということにはならないので注意が必要だ。しかし加熱式タバコの有害物質の数は紙巻きタバコの9割に抑えられており、健康被害へのリスクは軽減できる。
タバコとの差別化に割れる自治体の対応
加熱式タバコは煙や臭いが少なく、受動喫煙のリスクも低い。現状、日本国内では禁煙エリアでの電子タバコ等の使用ルールが曖昧なために、使用者からは紙巻きタバコとの区別を求める声が高まっている。
特に路上喫煙の規制対象とするかどうかは自治体によって対応が異なる。「火を使わず、やけどのおそれがない」として東京都豊島区や名古屋市、大阪市などの自治体は、加熱式タバコの使用を規制の対象外とした。
一方、東京都千代田区や横浜市など紙巻きタバコと同じものとみなして規制対象としたところもある。紙巻きタバコと同じものと判断する理由も、「タバコ葉を含む」「タバコ税が課されている」や「ポイ捨て禁止の観点」など様々だ。
使用人口が増えて、自治体でも対応が割れている以上、加熱式タバコに対するルールの明確化が今後求められる。非喫煙者の認知度もまだ高くないため、ルールが明確になるまでは紙巻きタバコと同じように指定された喫煙場所での使用が望ましい。
新規参入で競争は起きるのか
出典: Amazon.co.jp JTは「iQOS」を追うように、2015年に加熱式タバコ「プルーム・テック」を発売した。しかしこちらも品薄により、2016年11月時点で実店舗での販売は福岡市内のみで、公式オンラインショップでも新規予約受付を停止している。
BATジャパンは11月8日に加熱式タバコ「glo」を日本で展開することを発表した。12月12日に仙台市内で先行発売される。
現在はほぼ「iQOS」1強の状態となっているが、3社ともに供給が安定すれば加熱式タバコの競争激化が予想される。現状、「iQOS」で楽しめるフレーバーはレギュラー、メンソール、ミントと少ないが、競争の激化でバリエーションの多様化にも期待したい。
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