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様々な分野で不可欠なツールに! スポーツ分析にも利用できるドローンの可能性

西澤快

2016/12/05(最終更新日:2016/12/05)


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by Lima Pix
 来年3月の第4回WBCに向けて着々と準備が進められているプロ野球界。読売ジャイアンツは、11月5日から宮崎県で秋季キャンプを開始した。

 このキャンプでは練習にドローンを導入し、練習風景の撮影が行われている。これまでの野球のグラウンドで見たことない光景である。本記事では徐々にスポーツ界で広がるドローンの活躍について紹介する。

ドローンのルールはどうなっている?

 2016年1月、高松市で高校の卒業アルバム用に、人家密集地で許可なくドローンを飛ばした50代の男が航空法違反の疑いで書類送検された。

 このような事件をはじめ、日本各地でドローンを許可なく飛ばすケースが多くなってきている。現在、日本のドローンに対する規制はどうなっているのか。

1分で理解! 現在のドローンのルール

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出典:www.mlit.go.jp
 2015年12月に国土交通省は、航空法の改正を行いドローンなどの無人航空機に関する飛行ルールが施行された。下記の3つの空域では、事前に無人航空機の飛行に国土交通大臣の許可が必要である。

ドローンの飛行に国土交通大臣の許可を受ける必要がある区域

  • 空港等の周辺(進入表面等) の上空の空域
  • 150m以上の高さの空域
  • 人口集中地区の上空
 また、ドローンを飛ばすには6つの守らなければならないルールがある。これらのルール以外の飛ばし方をするには、国土交通大臣の許可が必要である。

ドローン飛行の原則ルール

  • 日中の飛行
  • 目視の範囲内での飛行
  • 人や建物から30m以上の距離の確保
  • イベント会場での飛行禁止
  • 凶器や毒物などの危険物の輸送禁止
  • ドローンから物の投下禁止
 つまり、許可なくドローンを飛ばしたければ、趣味であっても3つの地域を避け、6つのルールを守る必要がある。

スポーツ分野での活用

 前述したように、現在、読売ジャイアンツは秋季キャンプにドローンを導入している。導入の目的は、キャンプの練習風景をFacebookでライブ配信するのが目的である。

 キャンプ地の宮崎県から遠いファンも選手の様子を見ることができ、高橋由伸監督もこのようなドローンでのファンサービスには前向きである。また、来春のキャンプからドローンの本格導入を目指していて、守備の陣形や打撃ファームや投球フォームの分析に用いられる見込みである。

エディージャパンの「秘密兵器」としても

 ドローン導入が特に成功した例では、ラグビー日本代表が挙げられる。2012年からラグビー日本代表のヘッドコーチを務め、日本を初の世界ランク9位やテストマッチ(国際試合)で11連勝を記録した名将エディー・ジョーンズ氏が、2015年4月の宮崎合宿からドローンを導入し始めた。

 ラグビーは密集したプレーが多く、ドローン導入以前のような「平面からの撮影」では分析できるプレーに限界があった。ドローンを導入することで、俯瞰した映像での選手のチェックやボールから離れた選手の動きを見ることができるようになり、今まで分析できなかった効果的なプレーの追求ができるようになったのである。

 ドローンの導入以前は、GPS機能などが選手の移動距離などの分析にされていた。しかし、 GPSでは俯瞰的な映像での分析は行われていなかった。そんなドローンの活用が、日本代表初のワールドカップ予選リーグ3勝という結果をもたらしたのかもしれない。

ドローンそのものがスポーツへ

 日本ではまだ普及しているとは言えないドローン。しかし、海外ではドローンはもはやスポーツとして、楽しまれている。ドローンスポーツ最先端を行くのが「ドローンレース」である。

 ドローンレースは一般的にFPVと呼ばれるパイロット視点でのドローン操作レースのことである。日本では、海外でのFPVレースで使う規格の映像通信デバイスを使う際に無線免許が必要になるため、敷居が高くなっている現状である。

  海外で発展しているドローンレースだが、2016年3月にドローンの国際大会「World Drone Prix 2016」がドバイで行われた。

 26カ国150以上のチームが出場し、賞金総額は、100万ドル(約1億1,000万円)という破格の金額である。優勝は、15才のLuke Bannister氏率いるイギリスのチーム「Tornado X-Blades Bannie-UK」で、賞金25万ドル(約2,700万円)を手にした。ドローンレースでは、ドローンに搭載されたカメラで、独特の「臨場感」を味わうことができる。

課題の残るドローン

 現在、ドローンに関する法律の整備は整っていない現状にある。また、安全面など様々な面で発展途上段階である。

 2015年12月、イタリアで行われたアルペンスキーのワールドカップで選手にドローンが墜落しかけるという事件が起きた。

 墜落したドローンは、テレビカメラを乗せた撮影用のもの。墜落の原因はドローンが誤作動し、飛行コントロールが難しくなったことであった。しかし、このドローン落下は安全対策手順に乗っ取って行なわれ、幸いにも競技中の選手には怪我はなかった。
 ドローンの活用には動画のようなコントロール不能よる墜落事故やドローンと電線の接触などによる停電など、様々な危険性がある。ドローンの事故は、人が原因で事故が起きる人的要因と、天候や風向きなど環境的要因の両面から危険があることを考慮して扱う必要がある。


 以上のように、ドローンがスポーツ界に本格的に参入していて、今までにないような視点で競技を分析できるなど、新しい風を吹き込んでいる。また、ドローンそのものがスポーツとして捉えられ、新しいビジネスが生み出されている。ドローンが新たなビジネスモデルとなるのは間違いない。ただ、新しい技術が様々な危険性をはらんでいることを忘れてはいけない。

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