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反対を押し切った「2ステージ制」を2年で廃止:迷走を見せるJリーグに明るい未来はあるのか

Takuro Aizawa

2016/12/02(最終更新日:2016/12/02)


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反対を押し切った「2ステージ制」を2年で廃止:迷走を見せるJリーグに明るい未来はあるのか 1番目の画像
出典:www.jleague.jp
 2016年、明治安田生命J1リーグの年間勝ち点1位が浦和レッドダイヤモンズに決定した。そしてその陰で、Jリーグの村井満チェアマンによる2017年度からの2ステージ制撤廃も発表された。

 Jリーグが2ステージ制に移行して“たった二年”での出来事だった。急転直下、迷走ともとられかねない1ステージ制の復活は何故起こったのだろうか? 

2ステージ制とは? 改めておさらい

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 2ステージ制はJリーグチャンピオンシップと呼ばれる小規模のトーナメントで年間順位を決める方式。年間の勝点と得失点のみで争われる1シーズン制に対し、2シーズン制は1stステージと2ndステージに別れ、それぞれの王者と年間での通算勝点の1位が決定するのが特徴だ。

チャンピオンシップに参加できるチームの条件

  • ①Jリーグ年間勝点上位3チーム(1位は決勝へシード)
  • ②1stステージ優勝チーム
  • ③2ndステージ優勝チーム
  • ※上位3位とステージ優勝チームで最大5チームがプレーオフに参加
 つまり2ステージ制になることによって1stステージ優勝チーム、2ndステージ優勝チーム、年間勝ち点1位のチームが異なる可能性があるのである。

 そのため2ndステージの終了後、年間1位の座をかけてプレーオフが行われる。それがJリーグチャンピオンシップであり、プロ野球で例えるとクライマックスシリーズと日本シリーズに相当する。

年間勝点とステージ優勝チームによって参加チームが増減する

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 前述したように2ステージ制は、年間勝点上位3チームと、1stステージ優勝チーム、2ndステージ優勝チームが参加できる仕組みとなっている。

 先の項で挙げた画像のように、年間勝点上位のチームが順当にステージ優勝を果たしていれば問題はないのだが、ステージ優勝チームが年間勝点上位チームと異なってしまうと、最大で5チームが参加する仕組みとなっているのだ。

 さらに年間順位は勝点とは別にこのトーナメントの結果で決定される。正直ややこしいが、チャンピオンシップ開催による試合数の増加とそれに伴う観客数増加によって得られる収益は、2ステージ制の大きなメリットと言えるだろう。

2ステージ制のメリット

  • ①試合数の増加に伴う観客数と収益の増加
  • ②優勝争いの機会拡大と「分かりやすい試合」の創出による露出の拡充

「年間1位が王者になれない」:2ステージ制が抱える大きな矛盾

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 そもそも、2ステージ制は、年間で最も多くの勝ち点を獲得したチームが王者になれないという大きな矛盾を抱えていた。2004年の浦和がまさにそうで、2000年の柏などチャンピオンシップにすら出場できなかったという前例すら存在する。

 2005年の1シーズン制開始で、世界基準のリーグへと歩みを始めたにも関わらず、それを手放したことに対してサポーターたちは強い反発を示した。それでもJリーグが2ステージ制を復活させたのには理由がある。

 当時のJリーグは慢性的な資金に喘いでおり、財務面でリーグから指導を受けたクラブは18チームにも上っていた。そうした理由もあり、連日スタジアムに反対の横断幕とブーイングが踊る中、Jリーグは資金難への打開策として2ステージ制を強行したのである。

2ステージ制のデメリット

  • ①年間勝ち点1位のチームが日本一になれない可能性があることでの公平性の喪失
  • ②平日開催の急増による過密日程

Jリーグ実行委員会が掌を返した理由

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 では、サポーターの大きな反対の中で強行された2ステージ制はなぜ廃止されたのだろうか? その背景にはDAZNという、イギリスを拠点とするスポーツ専門の動画配信サービスがJリーグに支払った巨額の放映権料にある。

 2017年から始動するJリーグ中継の配信に向けて、10年間のJリーグ放映権を2,100億円で獲得したDAZN。この巨額の放映権料によって、資金難によって採用された2ステージ制をブーイングの中続行する理由がなくなった、という訳なのだ。

 日程面に対する懸念点が2シーズンで1ステージ制に逆戻りした最大の理由であると村井チェアマンは説明しているが、余りにも早すぎる“逆戻り”にファンたちも困惑の色を隠せていない。

秋春シーズン制は? 海外リーグとJで揺れる選手たち

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 Jリーグの日程にまつわる議論は2ステージ制だけではない。現行の春秋制から、秋に開幕し春に終幕する制度に移行するか否かという議論も、活発に交わされている。

 世界中のスタープレーヤーが集まる、サッカーリーグが豊富な西ヨーロッパのカレンダーである秋春制を基本に、FIFAワールドカップなどの国際スケジュールも組まれている。

 また冬期は、日本のプロスポーツでは最大の経営規模である日本プロ野球のオフシーズンでもある。それらに合わせる形で、Jリーグの前身であるJSL(日本サッカーリーグ)は、最後の7年間である1985年度から1991年度までを、秋春制で行っていた。

秋春制のメリット、デメリット

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 秋春制のメリットとしては、ヨーロッパのビッグリーグに日程を合わせることによって、海外との選手の取引がより円滑になるという点がまず挙げられる。Jリーグに所属する選手は、Jリーグシーズン途中での移籍が多くなってしまうという問題の直接の解決手段になり得るのである。

 また、海外に移籍する日本人選手の多さに反比例して、海外から選手を獲得するパターンは非常に少ない。海外リーグはシーズン途中に選手を手放そうとしないため、戦力バランスが非常に取りづらいのが現状だ。

秋春制、賛成側の主張

  • ①ヨーロッパ主要リーグに日程を合わせ海外移籍が円滑になる
  • ②国際カレンダーに対応し日本代表の強化に繋がる
  • ③高温多湿の夏季を避け、体力消耗を減らすことができる
 デメリットは、日本海側などの豪雪地帯での積雪によって、冬季は頻繁に試合中止になることや、選手のパフォーマンスに影響が出るという点が大きなウェイトを占める。

 また、日程こそワールドカップ等のコンペティションに合わせられるが、選手の体力面が厳しいという声もあり、実現は非常に不透明となっている。

秋春制、反対側の主張

  • ①積雪地域では冬季に半分以上の期間ホームゲームが行えない
  • ②秋春制では、新卒の選手にとって開幕までの半年間空いてしまう
  • ③暖房設備導入により予想される多額の出費が予想される
  • ④アウェーの連戦が続きすぎるのはJリーグの公平性を損なう


 2シーズン制や秋春制の問題など、日程面での議論が尽きないJリーグ。スケジュール問題は、選手の海外移籍だけでなく、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)や日本代表の国際大会にも関わる重要なトピックだ。

 日本代表の話題が注目されがちな日本サッカーだが、本来の中心地であるJリーグが日本サッカーの未来を握っていることは間違いない。たった2年で復活した1シーズン制は、Jリーグに進化と安定をもたらすのか注目したいところだ。

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