紙の辞書は重たいし、ページをめくるのも面倒。いまはスマホでも簡単に調べられるけど、文字入力してわざわざ検索するのも気が重い――。
辞書で言葉の意味を調べたいときに、多くの人が感じるこんな悩みを解決するデバイスが発売される。シャープのペン型スキャナー辞書「ナゾル」(12月8日発売)だ。同製品はわからない言葉をなぞるだけで、意味を調べられる新感覚の辞書デバイス。書籍や新聞、雑誌を読んでいてわからない言葉があるときに、本体スイッチを押して、紙面をなぞるだけですばやく意味を調べられる。
約2秒で言葉の意味を調べられる
今回発売されるのは、「国語モデル(BN-NZ1J)」と、「英和モデル(BN-NZ1E)」の2種類。国語モデルには、新語に強い「スーパー大辞林3.0」(約26万5千項目収録)、英語モデルには、専門用語に強い「グランドコンサイス英和辞典」(約36万項目収録)を採用する。
言葉の意味を調べる操作は、「押す」「なぞる」「わかる」の3ステップで完了。本体のスイッチを押すと、読み取りが可能な状態になるので、調べたい言葉をなぞる。正しく認識されると、本体の液晶に言葉の意味が表示される。この一連の流れは、約2秒で完結する。
紙の辞書はページをめくる手間がかかるので、どんなに慣れていたとしても、ここまですばやく調べることはできないだろう。電子辞書も文字キーを押して調べたい言葉を直接入力する必要があるため、数秒で調べるのは至難の業といえる。言葉を読み取ってから意味が表示されるまでが約2秒で完結する、このスピード感こそが「ナゾル」の最大の魅力だ。
慣れてしまえば調べる作業がスムーズに
実際に読み取ってみると、正しく認識されないこともあるが、紙の辞書や電子辞書を使うよりもスピーディに調べられる。結果はモノクロ液晶に表示され、親指の位置にある十字キーを操作することでスクロールする仕組み。複数の言葉を読み取った場合は、左右のキーを操作して、意味を表示したい言葉を選ぶ。
読み込みのコツさえ掴んでしまえば(読み込みたい言葉の少し前の位置に先端をあててなぞると成功しやすかった)、調べるためにかかっていた時間を大幅に短縮できそうな印象を受けた。
なお、国語モデルは、「横書き」のほか「縦書き」の文字も読み取り可能。十字キーひとつで簡単に切り替えられる。また、利き腕の設定にも対応している。デフォルトは右利きの設定になっているが、左利きを選べる。使用履歴は最大100件まで保存可能。一度調べた言葉は、メニューから気軽に確認し直せる。
本体の重量は86gで、サイズは幅158×奥行36×厚さ21mm。シャープペンやボールペンぐらいの長さで、ペンケースにも収まるぐらいのサイズ感だ。電源には、単4形乾電池を2本使用し、単語の読み取りを1日30回行った場合で、約30日使える。
なぜ、用途に特化した電子文具を開発するのか?
現在はスマホ全盛時代。言葉の意味はスマホでも簡単に調べられる。こうした状況下で、なぜ“言葉をなぞって調べる”ことに特化した「ナゾル」を開発したのか。
現在は、電子書籍などのデジタルコンテンツも普及しているが、総務省の調査によると、その利用率は18.2%とまだまだ低い。また、今後、書籍を「紙」と「デジタル」のどちらで読みたいかを尋ねると、「紙」と答えた人が83.3%に達する調査もあるという。書籍や雑誌などはデジタル化が進んではいるものの、まだまだ「紙」を選ぶ人が多数派だと考えられるのが現状だ。
しかし、紙メディアには特有の「困りごと」がある。“いちいち調べるのが面倒”という問題だ。仕事で英語の契約書や資料を読む機会が多いが、知らない単語があっても“なんとなく”で読み進めてしまったり、英語学習の一環として洋書を読んでいるが、辞書を引くのが億劫で、ついそのままにしてしまったり、という経験をしたことはないだろうか。「今すぐ知りたい」と思っても、紙メディアではそれを実現しにくいが、そのニーズに約2秒で応えてくれるのが、今回発売される「ナゾル」というわけだ。
ビジネスパーソンはもちろん、進学・就職祝いのプレゼントにも
「ナゾル」はビジネスパーソンや学生などをはじめさまざまな世代で利用できる。英和モデルは、英語の契約書などを扱うビジネスパーソンや、海外出張者/赴任者、留学生、英語の論文を読む学者や大学生、洋書を読む英語学習者などの利用を想定している。
国語モデルは、読書家のほか、来日している外国人留学生、まだ習っていない漢字を読みたい小学生なども利用対象になる。気になる価格は、1万3,000円前後(税抜、市場想定価格)。手が届きやすい価格帯なので、進学や就職祝い、父の日/母の日、敬老の日などにプレゼントしても喜ばれそうだ。
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