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ベジタリアンよりストイック! 日本でも増加傾向にある“ビーガン”スタイルって何?

Mariko Idehara

2016/11/05(最終更新日:2016/11/05)


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出典:www.womenfitness.net
 今、米国レストラン業界でジャンルを確立してきている「ビーガン(Vegan)」。ベジタリアンよりも忠実に菜食主義を守る彼らのライフスタイルは、健康志向の面でも注目を浴びている。ビーガンをライフスタイルとするに至った経緯は、宗教上の理由や健康維持など様々だ。オリンピック陸上競技で3大会連続金メダルを獲得したカール・ルイスはビーガンで知られている。

 今回は、少しずつ日本でもシェアを広げるビーガンとは一体何であるのか?ビーガンの登場によって生まれた新たな新サービスにも迫っていく。また、知っておくと便利なビーガン対応レストランも紹介したい。

卵や乳製品を口にしない“ビーガン”

ビーガンって?

 ビーガンとは、完全菜食主義者・純粋菜食主義者のこと。この言葉は20世紀半ばのイギリスで生まれ、英語表記のvegetarianのanを短縮してつくられた造語である。

 菜食主義者といえば、ベジタリアンを多くの人が想像するだろう。広く一般に言われるベジタリアンは、宗教・思想上または健康上の理由から「動物を屠殺あるいは傷つけられて得られる食品」を口にしないライフスタイルやそれを実行する人々のことを指しており、卵や乳製品は食べる。

 それに対しビーガンは、卵や乳製品も口にしない。そこがベジタリアンと大きく異なる。その徹底ぶりは食生活にとどまらず、洋服や靴といった身につけるものに対しても動物を使用した素材を拒む。例えば、毛皮や皮革、シルク、ウールなどの素材の使用をせず、アクリルやポロエステルなどの素材で代用する。

ビーガンが見据える地球環境問題解決の世界

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出典:www.linkedin.com
 ベジタリアンと区別される理由は、体内に取り込む食品やライフスタイル以外にも思想的な部分に大きく関わる一面もある。それは動物への配慮と環境への配慮というエシカルな理由だ。この思想はベジタリアンにもあるが、ビーガンのような徹底した菜食の背景により強く関係する。

 食肉や革製品のための動物飼育により、頭数が多くなり膨大な温室効果ガスを排出するとして地球環境を害するという考えをもつ。人間が菜食になり、食肉や革製品などを目的とする家畜が減少すれば自然と環境問題も解決できるとする。

 健康やダイエットのためにビーガンを始める人もいるが、自分たちの普段の食事や身につけるものが環境破壊を助長していると感じ、ビーガンに目覚める人も少なくない。また、家畜の中にはひどい扱われ方をする動物が存在し、動物の権利を尊重するためにビーガンに傾倒する人もいる。 

ビーガン料理でビジネス展開

ビーガン普及に一役買う? 「フェイクミート」

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出典:beyondmeat.com
 今年10月10日に世界最大の食肉加工企業タイソン・フーズが、植物由来の「フェイクミート」製品を作る会社に投資すると発表した。投資先となる会社は、動物製品を一切使用しない、見た目も本物を超える「ビヨンド・バーガー」で知られるビヨンド・ミート社。

 ビヨンド・ミート社は、2009年に設立されたベンチャー企業である。彼らの掲げるビジョンは「肉食の代替品を生産することで菜食へシフトし、環境問題解決や動物保護、身体の健康維持を実現するより良い世界をつくる」である。創設者のイーサン・ブラウンは肉食により偏りすぎた食品生産の現状を改善すべきだと感じ、会社の立ち上げを行った。

 タイソン・フーズの投資は、肉代替品に対する需要が今後増加し、植物性タンパク質関連市場が成長していることを物語っている。

日本でも広がるベジタリアン向けサービス“Vegewel(ベジウェル)”

 海外でベジタリアンをはじめとする菜食主義者は年々増加しており、宗教上の理由で食べ物を制限するムスリム向けのハラルフードのようにベジタリアンフードは一つの料理のジャンルとして確立しつつある。特にビーガンのような徹底した菜食主義者向けのレストランや食品が数多く出回っている。

 しかし、日本ではまだまだその浸透は浅いようだ。日本料理の味を決める出汁の多くは肉や魚からとられており、見た目だけでは動物性製品かどうかわからない。ビーガンにとっては、とても暮らしにくい環境である。今後、2020年に開催される東京オリンピックの影響で増加が見込まれる訪日客のベジタリアンに対して取り組みが必要になるだろう。

 そのようなベジタリアンフードのトレンドを取り入れ、株式会社フレンバシーがベジタリアン向けレストラン情報サイト“Vegewel”のサービスを開始した。
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出典:vegewel.com
 世界に6億人存在するといわれるベジタリアンは年々割合が上昇している。訪日客多い台湾やイギリスでも人口の10%以上がベジタリアンと言われている。国内でも健康や美容で注目を集め、「マクロビ」「ローフード」などの菜食関連のコンセプトを打ち出すレストランも出て来ている。

 そのような情報が掲載されているこのサイトは、自分のいる居場所付近にあるレストラン情報が閲覧できたり、地域別に検索をかけることが出来る。お店の詳細情報もそのサイトにあり、地図アプリと連動しているので初心者でも使いやすい。ベジタリアンやビーガンはもちろん、そのような相手と食事をする際にお店のセッティングに役立つこと間違いなしである。

知っておきたいビーガン対応のお店3選

 ここで、知っておくと便利なビーガン対応、都内のお店3つを紹介したい。

①伊勢すえよし(西麻布):日本伝統の懐石料理もビーガンに注目!

 西麻布にある懐石割烹「伊勢すえよし」。2016年春から世界中のあらゆる食制限をもった顧客に対して「ハラール懐石」や「ビーガン懐石」などのサービスを開始した。

 外国人向けに複雑な懐石料理の献立の英語翻訳が用意されており、ビーガンに優しいお店だ。日本の伝統を世界に発信していくきっかけにもなっている。

②ソラノイロ(麹町):ベジタリアンでも楽しめるラーメン

 ラーメン業界に新たな旋風を巻き起こしたベジラーメンを手がける「ソラノイロ」。本店(麹町駅徒歩4分)と東京駅店の2店舗を展開する。

 本店メニューには「ビーガンラーメン」というメニューがあり、見た目も華やかで出汁も野菜でとられている。女性の人気も高く、店内には多くの女性がみられる。肉から出汁をとることが多いラーメンはビーガンにとって食べられないことがほとんどだ。そんな彼らを満たしてくれる一品である。

③PURE CAFE(代官山):ストレス解放の空間を作り上げるカフェ

ベジタリアンよりストイック! 日本でも増加傾向にある“ビーガン”スタイルって何? 7番目の画像出典:pure-cafe.com
 2003年にオープンされた代官山のカフェ。空間や食事を通して、あらゆるストレスから解放されていくプロセスを体験できるカフェスペースを提供している。オーガニックの野菜や豆がたっぷり使用された手のこんだ料理が並ぶ。

 モーニングからディナーまで幅広く対応され、素材にこだわったデザートも楽しめる。テイクアウトも充実しており、出勤前や遅めのランチにおすすめだ。ビーガンを取り入れ始めた人や友人を連れて気軽に入れるところが良い。


 今回は、ビーガンとそれに伴う新たなビーガンビジネス、おすすめのビーガン対応のお店を紹介した。ビーガンのように健康目的以外のビジョンがしっかりあるライフスタイルは、世界に対して警鐘を鳴らす取り組みのような役割も担ってきている。ビーガンの場合は環境保護や動物保護といった観点から切り込んでいる。

 今までは食事制限保有者が食品に気を遣うことが多かったが、近年ではサービスを提供する側に配慮がみられる。今後、彼らのニーズに応えたサービスを提供していくことが食品業界の新たなビジネスの創出へとつながるだろう。

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