10月25日に、日本版Apple Payがついにサービスがスタートした。筆者もさっそくこのApple Payを設定。スタート直後から4日間、「iD」や「Suica」を使ってみた。その結果、既存のおサイフケータイにはない利便性とともに、今後の課題も見えてきた。
Apple Payインプレッション
Apple Payはいわゆるウォレットサービスで、現実のものに例えると「財布」のようなもの。その上に「通貨」としてのiDやQUICPay、Suicaが乗り、端末をかざすだけで支払いすることができる。
Touch IDでセキュリティ面は万全
iDやQUICPayの場合、VISA以外のブランドであればオンライン決済にも対応する。iPhoneでネットショッピングをした際に、サイト側が対応していれば、Apple Payに登録したカードで支払えるというわけだ。
Walletの中に、複数のカードが入る形になる。
iDやQUICPayは従来からおサイフケータイなどで展開されてきたサービスだが、その使い勝手は洗練されていた。iPhoneの場合、「Walletアプリ」からカメラでカードを読み取り、名義やセキュリティコードを入れるだけ。あとはSMSなどでの認証をパスすれば、Wallet内にiDもしくはQUICPayのどちらかが発行される。どちらが発行されるかは、カード会社によって決まる。
あとは、店頭で使うだけ。ただし、カード型やおサイフケータイとは異なり、Apple Payでは支払いの際にちょっとした操作が必要になる。
支払いの時に店頭で「iDで」や「QUICPayで」と伝えたあと、ホームボタンをダブルクリック。そのまま指をTouch IDに置いておくと、認証が完了し支払うことができる。このように文字にすると面倒に見えるが、慣れてしまえば一連の操作はスムーズに行える。
店頭では、指紋で認証をしてiPhoneを決済端末に近づけるだけ。
Touch IDでの認証が入ることで、セキュリティが高くなったのはうれしいポイント。万が一iPhoneを紛失しても、他人に使われる心配はなくなる。ただし、その代償として、支払い時に操作をしなければいけないという手間が発生してしまった。カード型やおサイフケータイに慣れている人だと、うっかりApple Payを呼び出すのを忘れて決済できないということもあるだろう。
また、一部の決済端末では、事前に端末内にあるサービスを読み取り、ユーザーが自ら電子マネーの種類を選択できる仕様になっている。
この場合だと、一度Apple Payを呼び出し、サービスを選択したうえで、再度Apple Payを起動させなければならない。筆者もローソンでこれを体験したが、支払いが非常に面倒だった。セキュリティを高めるのはもちろん必要なことだが、認証を必要としないように変更できるなど、設定項目を設けてもよかった気がする。
とはいえ、iDやQUICPayは設定も簡単で、慣れてしまえばスムーズに利用できる。登録から利用までのフローは洗練されており、使い勝手はいい。
Suicaの登録には改善の余地あり?
一方で、Suicaは少々複雑だった。まず、登録のパターンが複数あるため、自分に合ったものを選択しなければならない。
1つ目がカードを読み取る方法。もう1つが、Suicaアプリをインストールし、そこから新規にWallet内にSuicaを発行する方法だ。後者は発行できるSuicaが無記名式、記名式、定期券の3つに分かれている。さらにAndroidやケータイのおサイフケータイから機種変更するという選択肢もあり、合計すると5パターンの発行方法があるということになる。この時点で筆者は少々混乱してしまった。
Suicaは登録のパターンが多く、少々複雑に見えた。
手持ちのカードをiPhone内に転送することも可能だ。
また、無記名式の場合、チャージがApple Payでしかできない。このチャージには、Apple Payのオンライン決済を利用することになる。そのため、冒頭で触れたように、VISAブランドのカードは使えず初回チャージができない。記名式や定期券はSuicaアプリ側にカードを登録でき、そこからチャージができるが、モバイルSuicaサービスへの登録が必要だ。チャージ方法が2つに分かれており、それぞれの対応カードが異なっているのも、分かりづらい部分だ。
ただし、この設定さえ乗り越えてしまえば、あとは使うだけだ。Suicaは「エクスプレスカード」に設定可能で、これをやっておけば改札にかざすだけで利用できる。カード型のSuicaと同じように使えるというわけだ。
Suicaは開始当初トラブルがあり、カードからの読み込みができなかったり、チャージができなかったりと不手際も目立った。一方で、その不具合も徐々にではあるが解消しつつある。iDやQUICPayの使い勝手もよく、iPhone 7/7 Plusのユーザーは、とりあえず設定しておいて損はなさそうだ。
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